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万月堂通信

知床半島、標津町にある民宿「万月堂」から日々の出来事やアウトドアー情報(登山、シーカヤック、釣り、狩猟等)を発信します。

知床岬徒歩の旅・・・2

2011-08-08 | 登山、スキー
 洞窟の一夜は快適だった。上半身はシュラフの外で充分だった。

 ただ洞窟の最奥なので波音と川の音が増幅されたまに目が覚めると気になった。

 今回私の足ごしらえは地下足袋だった。さあ出発と地下足袋を履き、こはぜをはめようとすると錆びていたのか次々に折れて行った。しょうがないので落ちている縄で地下足袋の上から足首に巻いて脱げないようにした。

 洞窟を出てしばらく歩きにくい巨岩帯を飛んで歩いていると前方の浜にクマがいるのが見えた。様子を見ながら近づくと海に入って沖に向かって泳いでいる。何してるのかと思ったら、仕掛けられている定置網に沿って覗きながらかかってる魚を探しているようだ。

 そのうち口にマスをくわえて戻って来た。浜に上がり美味そうに喰っていた。こちらもいなくなるのを待つわけもいかないので、近づいて追っ払うことにした。この段階で同行の女性は足が棒になってしまい、便意まで催してきたようだ。ひとフン張りさせてからクマにこちらの存在をアピールしたが、クマはあくびをしたり、ケツを掻いたり、しまいに胡坐を掻いて動く気配も無い。しょうがないので波打ち際をあくびしてる隙にそそくさとクマの横を通り過ぎて行った。

 念仏岩の高巻きは岬側の壁で行きも帰りも持参のロープで確保した。

 最後の難関、兜岩の高巻き、トウゲブキの黄色い花畑がきれいだった。



 峠から来し方を振り返る。


 よくここまで歩いてきたもんだと呆れかえる。

 ペキンの鼻から先は網走地方の天候エリアで陽射しが強く腕の日焼けがザックの上げ下ろしの度に擦れて痛くてしょうがない。

 峠から滑り台を滑るように降り、赤岩の浜に出る。しばらくすると二匹の犬が出迎えてくれた。


 すっかりテレビで有名になった藤本のばあさんの犬だ。

 今年は知床半島先端部はコンブがなく(今春の流氷の影響らしい)、赤岩には藤本のばあさん一人住むだけだ!
 挨拶しに行くとお茶をご馳走してくれた。寄るコンブもないので毎日家の片づけをしているそうだ。以前骨折した足が痛くて調子悪いと言っていた。


 いよいよ後少しで岬だ!灯台も見える。浜から草原台地に上がり、先端を目指して行くと前方から二人歩いてきた。環境省の腕章を着けていて「アンケートをとらせてください。」と言われた。全く興醒めしてしまった。

 ぶっきら棒に答えてから、気を取り戻してやっと着いた。


 アブラコ湾の流氷で無残に削られた突堤でのんびりする。帰りの難所越えを考えると達成感に浸ってばかりもいられず、後ろ髪を引かれながらも戻らなければいけない。

 赤岩のばあさんにお別れの挨拶をして帰り道を急ぐ。

 兜岩の高巻きの最後20メーターくらいは侵食が進んで以前より悪くなっている。手の爪を立てて這い上がりロープを出して確保した。


 本日も10時間近く行動した。

知床岬徒歩の旅・・・1

2011-08-07 | 登山、スキー
 今年は本当に雨の少ない年です。暑い日も多いです。

 8月一杯で北海道を離れる若いご夫婦のご依頼で相泊から知床岬まで歩いていくことになりました。潮の時間を調べると天気さへ良ければ三日間で行けそうなので予備日1日をプラスして計画を立てました。


 どうやら天気はしばらく良さそうです。相泊からはコンブ干しで忙しい番屋の前を邪魔にならないように歩きます。コンブ番屋群を抜けるといよいよ人のいない領域に入ります。

 崩れ浜のゴロタ石は非常に歩きにくい。

 最初の難所は観音岩



 太い漁用のロープをつかんで攀じ登る。


 段々暑くなってきて、汗が噴き出してきます。海中に浸かると冷えて気持ちよい。



 干潮時しか通過できない岩礁帯が続くので潮の干満時間を調べておかないとだめだ。



 壁のへつりも何とか落ちないで通過して、ペキンの鼻から絶景を見る。




 10時間近く歩いてやっと今回のベースキャンプ地に到着。ツバメ飛び交う洞窟の中だ。



 正面に見えるはずの国後島は霧の中にあって見えない。

硫黄山(1552メーター)

2011-07-17 | 登山、スキー
 久しぶりに硫黄山登山道が使えるようになったので行ってみた。
 こちらは霧雨が降っていたが、向こう側の天気を期待した。斜里側は雨降りではなかったが、ガスがかかり曇っていた。

 道道の許可申請はあらかじめファックスで送ってあったが、現地の監視所にも申請書があった。朝は無人であった。
 張り紙には「登山者用の駐車スペースは、手前の2台分。すでに二台止まっている場合は800メーター戻ったところにあるスペースを利用してください。」と、とんでもない事が書いてあった。

 しばらく歩き登山口辺りを見ても入林届けを書くようなところは無かった。

 この夏道を歩くのは実に25年ぶりであった。
 もう5.6年使われていなかったのもあってか?噴火口辺りの岩石帯は視界のない時は迷いそうな場所だ。

 ハイ松帯に入ると湿度が高いので汗が噴き出してきた。お客さんが頭に巻いたタオルを絞ると汗が流れた。硫黄川に出てほどなく雪渓が出てきてホット一息、思ったより上部まで繋がっていて助かった。雪渓上にはクマの糞が転がっていた。雲海の上に出たのか青空が見え出した。雪渓も消え火山礫を支稜線まで上がると



 知床岳頂上、国後島の高山が見えた。

 楽しみにしていたシレトコスミレはすでに花の時期を終えたみたいだ。


 歩き始めて4時間くらいで頂上に着いた。
 頂上ドームも道ははっきりしなかった。
 頂上から羅臼岳方向はガスが切れることなく姿が見えなかった。


 頂上付近はいろんな大小の虫が無数飛び回っていた。短い高山植物の受粉に忙しいようだ!人に悪さをするような虫がいないのが幸いだ。


 下山し、監視所の人と話をすると雪渓上でクマに出会うケースが多いそうだ。
 



知床峠~羅臼湖~知西別岳

2011-05-19 | 登山、スキー
 知床峠の通行可能時間も昨日から午前9時から午後4時半まで延長された。

 今日は羅臼湖経由で知西別岳(ちにしべつだけ)に行ってみた。出発時間が10時過ぎていたので時間が延長された意味はほとんど無かった。

 
 羅臼湖もかなり水が上がっていて静かでカエルの鳴き声と鶯の鳴き声しか聞こえなかった。正面にはこれから行く知西別岳の大沢が遠くに見える。


 黙々と大沢を詰め最後はスキーを引きずって稜線に出る。ここでこの前行った天頂山、羅臼湖を挟んで羅臼岳を見ながらおにぎりを喰う。

 羅臼岳の南西ルンゼの雪渓もすっかり融け、分断されたみたいだ。



 頂上まではハイ松が出てるみたいなのでスキーを置いて行った。ハイ松も根元には雪が残っていたのでたいした苦労もしないで頂上に到着。頂上からは遠音別岳がよく見える。


 女将は知西別岳初登頂。大沢の途中までは来てたんですけど!

 後は滑って戻るだけ。


 ザラメ雪もかなり腐れ気味になってきたけど、女将数回こけただけで急斜面も無事クリアした。


 この大沢の雪渓も後数日でハイ松が出て途切れ途切れになりそう。

 そろそろスキーも終わりかな?

知床峠~天頂山

2011-05-13 | 登山、スキー
 冬季通行止め解除からほとんど「開かずの峠」となっていた知床峠に行ってみました。連休中は積雪のせいもありましたが、晴天なのに開かない日がありました。これは低温の為、道路が凍結状態であったせいみたいです。

 確かにうちから見る限り、山の積雪状況はあまり変わらないように見え、特に斜里岳はかえってより白さが増しているようにも見えます。


 昨日は久しぶりに朝から天気も良く、峠は車で賑わっていて修学旅行と思われる大型バスから降りてきた沢山の女子高生が寒そうに記念撮影してました。

 はじめ羅臼岳でも行こうかと来たんですが、羅臼岳頂上付近はハイ松に雪が着いていて風が強く寒そうだったので、反対方向の天頂山にした。駐車場から少し歩くとスキーが使えてそれからは歩きやすい所を繋げながら最後ハイ松を少し漕いで到着。


 ハイ松の出た頂上からは峠を挟んで羅臼岳。



 南方向には知西別岳。ふもとには羅臼湖、沢の出入り口付近に水が融けだしているのが見えた。今度の日曜はここで遭難救助訓練が大規模に行われる予定。

 頂上の風下側でおにぎりを食べ、国道まで滑り降りた。滑りやすいザラメ雪で、久しぶりにスキーをした女将のリクエストでもう一度登りかえして一滑り。

 
 

海別(ウナベツ)岳

2011-04-10 | 登山、スキー
 雪融けの速さにせかされるように海別岳に行って来た。

 この辺りでは珍しくスキーで頂上まで行ける山。

 ついこの間行った斜里岳もハイ松の緑色が目立ってきた。


 今日も3時間ほどで頂上に着く。南風だが寒くて長居できず。
頂上から知床の連山がよく見えた。

 今日の海別岳は3名しか訪れなかった。帰りは方向を間違えながら、なんとなくスタート地点に着いた。前回の反省から、今日はガッシュは留守番にしました。

知床岳

2011-04-08 | 登山、スキー
 やっと天気も回復してきて、前日にはうちからも知床岳の姿が見えたので絶好の春山登山が期待された。

 相泊からは海岸線を少し歩いただけで、後はスキーが使える。海抜0メーターからの出発。すぐに前日歩いたクマの足跡が雪上に残っていた。



 稜線上は強風が吹いているようで、雪煙が舞っている。弱くなってくれることを期待してスキーを担いで稜線までの最後の急斜面を上がった。



 風下に当たる根室海峡の上空には強風の影響で特異な形の雲がとれない。


 

 再びスキーを履いて進むも強風にあおられて前進が難儀になるになる。約1000メーター地点で全員意見一致で撤退決定!

 最近の暖かさで一気に雪解けが進んでいます。連休に知床方面に登山を計画されている人は要注意です。

斜里岳

2011-03-31 | 登山、スキー
 この土、日斜里岳に行ってきた。

 昼過ぎ、思ったより重くなった荷物を背負ってスキーで進むも雪がスキーやシールにくっついて頻繁に立ち木に当てて落とす。山は最近雪が降り続いたようで段々深くなっていく。

 高度が増すにつれ、雪質がパウダーとなり数十センチの軽いラッセルになった。この日は標高700メーターくらいの沢中でテント泊。テントの入り口から斜里岳の頂上がいきり立っているのが、よく見えた。



 前半は熟睡、後半は寒くてウツラウツラだったが、よく眠れた。今日は沢の右岸の北尾根から頂上経由で左岸の北西尾根を下降し、沢のテント場に戻る予定だ。

 北尾根の取り付を捜しながらスキーで出発。頂上は雲の中だ。


 スキーを脱いでツボで尾根に取り付くが、膝までのラッセルで斜面も急だ。

 北尾根に上がっても期待していた硬く締まった雪はなかった。春とは思えないくらい寒く、アイゼンバンドの調整を忘れていて、装着に時間が掛かっている間に左手の人差し指の感覚がなくなってしまった。



 天気は回復しそうに無く、雪質も相変わらず悪い。水を入れたボトルは凍り付いて開かなくなり、ヒゲからはツララが垂れた。

 砂糖のようにサラサラでアイゼンの決まらない深雪を4時間かかってようやく標高1350メーターの大槍のせまい出っ張りに着いた。
一瞬、視界が開け行く手の稜線と頂上が見えたが、それ以後二度と顔を見せなかった。

 

 これから先はいったんロープを使って鞍部に下降し、小岩塔からなるやせ尾根を伝って最後の雪壁に取り付くようだが、変わらない天気と雪質にめげて退却することにした。

初滑り

2011-01-25 | 登山、スキー
 先日の日曜日遅ればせながら初滑りした。もちろん山スキー、今シーズンはビンディングを新調「ジルブレッタ500」。

 近隣の町から毎週のように集まるバックカントリースキー愛好家、今回は10人を超えて集まった。目的地は羅臼湖。雪の少ない今シーズンだが、少しずつだが積雪量は増えているようだ。

 羅臼町の熊の湯を出発、思ったより新雪が積もって先頭のラッセルもたいへんだ。

 途中、通称「目隠し沼」で一服。



 風が強く、遠くは雪雲の中の様子。

 羅臼湖まで行かずに帰ることにする。そこから望む根室海峡には今期初となる流氷が見えた。



 下りは雪が深すぎていまいちだったが、傾斜のあるところはパウダースノーを楽しむことが出来た。

 
 

薫別岳

2010-10-13 | 登山、スキー
 たまに「薫別岳」に登れますか?と聞かれる。

薫別岳は北見、根室の国境稜線上から出る支稜線上に数ある突起の一つでしかない。

家から山を見れば真正面に見えるが、どの突起が薫別岳なのか人に説明するのは大変なくらいだ。



 写真ほぼ中央の出っ張りが薫別岳。

 登れますか?と聞かれれば「登れますよ!」と答える。「登山道があるんですか?」と来るが、「そんなものないですよ!でも歩けるのでしょ!」と言うとその後はほとんど話が進まない。

 今まで数回頂上に行っているが、いずれも積雪期。今回初めて雪のない時期に頂上を踏んだ。800メーターも標高があるなんて今回はじめて知った。



 頂上にはりっぱな三角点があった。確か頂上付近は木があったはずだが、と思ってよく見ると周りの木は切られていた。

 

 頂上だけ行くならたいした藪漕ぎも必要ないだろう。今回は別の目的があったので暫くぶりに猛烈な根曲がり竹とハイ松のブッシュと格闘した。