洞窟の一夜は快適だった。上半身はシュラフの外で充分だった。
ただ洞窟の最奥なので波音と川の音が増幅されたまに目が覚めると気になった。
今回私の足ごしらえは地下足袋だった。さあ出発と地下足袋を履き、こはぜをはめようとすると錆びていたのか次々に折れて行った。しょうがないので落ちている縄で地下足袋の上から足首に巻いて脱げないようにした。
洞窟を出てしばらく歩きにくい巨岩帯を飛んで歩いていると前方の浜にクマがいるのが見えた。様子を見ながら近づくと海に入って沖に向かって泳いでいる。何してるのかと思ったら、仕掛けられている定置網に沿って覗きながらかかってる魚を探しているようだ。
そのうち口にマスをくわえて戻って来た。浜に上がり美味そうに喰っていた。こちらもいなくなるのを待つわけもいかないので、近づいて追っ払うことにした。この段階で同行の女性は足が棒になってしまい、便意まで催してきたようだ。ひとフン張りさせてからクマにこちらの存在をアピールしたが、クマはあくびをしたり、ケツを掻いたり、しまいに胡坐を掻いて動く気配も無い。しょうがないので波打ち際をあくびしてる隙にそそくさとクマの横を通り過ぎて行った。
念仏岩の高巻きは岬側の壁で行きも帰りも持参のロープで確保した。
最後の難関、兜岩の高巻き、トウゲブキの黄色い花畑がきれいだった。

峠から来し方を振り返る。

よくここまで歩いてきたもんだと呆れかえる。
ペキンの鼻から先は網走地方の天候エリアで陽射しが強く腕の日焼けがザックの上げ下ろしの度に擦れて痛くてしょうがない。
峠から滑り台を滑るように降り、赤岩の浜に出る。しばらくすると二匹の犬が出迎えてくれた。

すっかりテレビで有名になった藤本のばあさんの犬だ。
今年は知床半島先端部はコンブがなく(今春の流氷の影響らしい)、赤岩には藤本のばあさん一人住むだけだ!
挨拶しに行くとお茶をご馳走してくれた。寄るコンブもないので毎日家の片づけをしているそうだ。以前骨折した足が痛くて調子悪いと言っていた。
いよいよ後少しで岬だ!灯台も見える。浜から草原台地に上がり、先端を目指して行くと前方から二人歩いてきた。環境省の腕章を着けていて「アンケートをとらせてください。」と言われた。全く興醒めしてしまった。
ぶっきら棒に答えてから、気を取り戻してやっと着いた。

アブラコ湾の流氷で無残に削られた突堤でのんびりする。帰りの難所越えを考えると達成感に浸ってばかりもいられず、後ろ髪を引かれながらも戻らなければいけない。
赤岩のばあさんにお別れの挨拶をして帰り道を急ぐ。
兜岩の高巻きの最後20メーターくらいは侵食が進んで以前より悪くなっている。手の爪を立てて這い上がりロープを出して確保した。

本日も10時間近く行動した。
ただ洞窟の最奥なので波音と川の音が増幅されたまに目が覚めると気になった。
今回私の足ごしらえは地下足袋だった。さあ出発と地下足袋を履き、こはぜをはめようとすると錆びていたのか次々に折れて行った。しょうがないので落ちている縄で地下足袋の上から足首に巻いて脱げないようにした。
洞窟を出てしばらく歩きにくい巨岩帯を飛んで歩いていると前方の浜にクマがいるのが見えた。様子を見ながら近づくと海に入って沖に向かって泳いでいる。何してるのかと思ったら、仕掛けられている定置網に沿って覗きながらかかってる魚を探しているようだ。
そのうち口にマスをくわえて戻って来た。浜に上がり美味そうに喰っていた。こちらもいなくなるのを待つわけもいかないので、近づいて追っ払うことにした。この段階で同行の女性は足が棒になってしまい、便意まで催してきたようだ。ひとフン張りさせてからクマにこちらの存在をアピールしたが、クマはあくびをしたり、ケツを掻いたり、しまいに胡坐を掻いて動く気配も無い。しょうがないので波打ち際をあくびしてる隙にそそくさとクマの横を通り過ぎて行った。
念仏岩の高巻きは岬側の壁で行きも帰りも持参のロープで確保した。
最後の難関、兜岩の高巻き、トウゲブキの黄色い花畑がきれいだった。

峠から来し方を振り返る。

よくここまで歩いてきたもんだと呆れかえる。
ペキンの鼻から先は網走地方の天候エリアで陽射しが強く腕の日焼けがザックの上げ下ろしの度に擦れて痛くてしょうがない。
峠から滑り台を滑るように降り、赤岩の浜に出る。しばらくすると二匹の犬が出迎えてくれた。

すっかりテレビで有名になった藤本のばあさんの犬だ。
今年は知床半島先端部はコンブがなく(今春の流氷の影響らしい)、赤岩には藤本のばあさん一人住むだけだ!
挨拶しに行くとお茶をご馳走してくれた。寄るコンブもないので毎日家の片づけをしているそうだ。以前骨折した足が痛くて調子悪いと言っていた。
いよいよ後少しで岬だ!灯台も見える。浜から草原台地に上がり、先端を目指して行くと前方から二人歩いてきた。環境省の腕章を着けていて「アンケートをとらせてください。」と言われた。全く興醒めしてしまった。
ぶっきら棒に答えてから、気を取り戻してやっと着いた。

アブラコ湾の流氷で無残に削られた突堤でのんびりする。帰りの難所越えを考えると達成感に浸ってばかりもいられず、後ろ髪を引かれながらも戻らなければいけない。
赤岩のばあさんにお別れの挨拶をして帰り道を急ぐ。
兜岩の高巻きの最後20メーターくらいは侵食が進んで以前より悪くなっている。手の爪を立てて這い上がりロープを出して確保した。

本日も10時間近く行動した。