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万月堂通信

知床半島、標津町にある民宿「万月堂」から日々の出来事やアウトドアー情報(登山、シーカヤック、釣り、狩猟等)を発信します。

早春の「地の涯」へ、徒歩の旅 ④

2013-04-18 | 登山、スキー
 三日目・・・つづき

 知床岬先端の草原に寝そべって無心になっていると

 「わぁ~!!」

 何事かと起き上がると、スパッツにダニが這っていたらしい。自分のスパッツを確かめるとやはりいた。

 どうやら草原の枯草はダニの温床となっていたみたいだ。長居は無用、すぐ出発だ。


 


 草原のへりには巨大な吹き溜まりが。アカイワの海岸線にはもう雪はないようだ。

 これからは、つらい海岸歩きが始まる。



 最初の難所「カブト岩」の高巻きは、雪は付いていない様だったが、前回も雪のない最上部が凍っていたので、アイゼンを履いて登り始める。新しいクマの足跡が先行していた。やはり最上部は凍りついた土だった。
 次の難所「念仏岩」がすぐ待ち受けている。


 「念仏岩」にも雪はなかったが、途中で凍った所に出くわす可能性があるのでアイゼン着用して登る。

 残置ロープを使ってずり上がる。ここにも新しいクマの足跡が、我々は必死で登らなければならないけどクマにはたいした難所でもないようだ。


 雪解け水で水量の多くなった「女滝」「男滝」を横に見ながら行く砂地には大きなクマの足跡が、あっち向いたり、こっち向いたりして残っている。

 この日の目的地は決めていなかったが、ここまで来れば後一日で相泊に行ける距離なのでもうどこでテントを張ってもいい。

 ゴロタ石の浜辺を冬用の登山靴で歩くのはつらいです。一歩一歩本当にゆっくりな歩みになってしまった。

 結局、2年前の夏に泊まったことのある洞窟の手前の海岸にテントを張った。

 洞窟の奥にはまだ雪があって泊まるには除雪が必要のようだった。


 予定よりペースよく進んで来て、予定より一日早く帰れそうだったので、この日は予備食を供出し、多めのご飯に大量のカレーを作ることにした。

 雪がチラチラ降り出してきたが、酒の残量をあまり気にすることなく飲みながら飯を作り、久しぶりの満腹感を味わった。

 


 

早春の「地の涯」へ、徒歩の旅 ③

2013-04-17 | 登山、スキー
 三日目

 この日は、いよいよ知床岬を回って羅臼側に・・・

 テン場を出て、樹林帯を進むが、雪の上にはクマとシカの足跡が無数に交錯している。シカの足跡は走ってるし、クマはグルグル縦横無尽に。どうやらクマがシカを追っかけ回していたようだ。

 この時期クマのエサは乏しいはずだ。海岸に打ち上げられた魚や海獣の死骸、雪の下のシカや小動物の死骸、昨秋のドングリくらいか?生きのいいシカは大御馳走のはずだ!


 だいぶ前の話だが、春にシーカヤックで知床半島を回った時、アカイワの海岸でキャンプしていたら、遥か彼方でクマがシカを海岸線沿いに追っかけていたのを見つけた。あっという間にシカは、我々の目の前まで来て人を避けるように海に入って避けて、また浜を逃げて行った。クマは、人に驚いて山に逃げて行った。この時のシカは、人のおかげで命拾いした。

 シカは持久力がないので、持久戦ではクマに負けてしまう。



 樹林帯を抜けると雪がなくなり、海岸線に出た。カンジキをザックにくくり付けた。

 ここからは、知床岬先端の草原の始まりだ!


 草は枯れて、非常に殺風景です。少なくともこの辺りには我々二人しかいないはずです。何だか北方の異国の無人島を歩いているような気分で、気持ち良くなってきた。


 これだけ広い草原で、足跡だけでシカやクマの姿は見えないので、飛んでる小鳥以外生き物の気配はなく、動いているのは、ただ黙々と霜柱の立った獣道を歩いている二人の男だけだ!



 灯台も見えて、適当な所を岬先端として大休止。ボンヤリとする。



      ・・・つづく


 


早春の「地の涯」へ、徒歩の旅 ②

2013-04-16 | 登山、スキー
 二日目

 この日は主稜線を一気に岬方面まで歩く予定だったので、早出するつもりだったが、寝坊してしまい早出とまではいかなかった。天気は晴れているが、上空は風が強そうだ。

 案の定、雪面はカチカチで自分はアイゼンを着けたまま出発。快調に昨日の到達点に達する。これから先はかなり急な登りとなる。

 「大崩壊地」のへりは、雪が飛んで夏道も所々見えていた。どうやら寝坊して遅れた我々より先にキツネとシカが足跡を残していた。



 広い主稜線に出るとそこは、氷の世界だった。

 ダケカンバもハイマツも氷の鎧を纏って風に揺れぶつかり合って「カラン、カラン」といい音を出している。

 雪面は河原の小石が全て氷の塊に置き換わったようで、アイゼンの爪はほとんど埋まらないくらい固かった。主稜線上で雪洞、イグルーの作製は不可能だと思われた。

 知床沼も雪原の一部

 
 (ところで無積雪期キャンプ禁止となっていた知床沼ですが、今年から場所を限ってキャンプが許可になるみたいです。)


 
 思ったより風もなく、快調に歩みを進め眼前のポロモイ岳(992m)


 振り返ると知床岳



 この日は国後島が常によく見えてました。


 
 昼頃には、前回のキャンプ地を越えてウィーヌプリ(652m)

 今日歩いてきた道のりです。

 ここで初めて緑色のハイマツに出会いました。

 知床岬方向は

 すっかりハイマツが出ていました。


 ここからは、主稜線を離れ、沢を斜里側に降りることにしました。

 沢はびっしり雪で埋まっていましたが、雪が腐って腿まで踏み抜く事しばしば、抜け出るだけで体力消耗です!

 沢の途中で新しいクマの足跡です。これから先は足跡だらけです。

 海が見えるところまで降りて岬方向に向かいます。

 いいかげん疲れて程よい所でテントを張りました。テン場からの夕日がきれいでした。

早春の「地の涯」へ、徒歩の旅 ①

2013-04-15 | 登山、スキー
 知床岬を尋ねる旅に行ってきました。

 4年前の春にも4人で行ったのですが、この時は岬を目前にして同行者がアクシデントにあい途中退散した経緯があります。

 4年前の記事

 (この時骨折した大先輩は、凄まじい回復力で翌春にはもうスキーで山を歩いてました。)


 今回は前回も一緒に行った友人との二人旅です。コースも日程も前回と一緒です。


1日目

 各地に大雨をもたらした発達した低気圧のために予定より三日出発が遅れましたが、天気予報ではしばらくいい天気が続くようです。

 出発地の相泊に着くと濡れるほどではないにしても小雨が降ってます。

 止むのを待っていても仕方がないので、とりあえず歩き出します。

 すぐに雪が現れ、スノーシューを履きました。(自分は前出の大先輩から借りたワカンです。)こんなに雪が残っているとは思いませんでした。


 冬の知床岳のコースになっている尾根に取り付きます。いつもここは、クマの足跡だらけですが、今回は見当たりません。

 進路を北にとりクズレハマ川を渡り、急な出尾根を登って行きます。久しぶりの重荷が、肩にくるが、徐々に空が明るくなってきて、太陽も顔を出して気分は良くなってきます。


 尾根を乗越してウナキベツ川に降ります。前回は降りてすぐの沼の畔にテントを張ったのですが、まだ時間があるので先に進みました。

 「青沼」と呼ばれる沼の畔にテントを張りました。標高400mくらいで予想通り水面が出ています、これでわざわざ雪を解かさなくても水が得られるので楽です。


 テントを張り終え、まだ時間があったので翌日のための道付けに行く事にしました。

 雪が腐ってきてぬかりますが、空荷なのでどんどん進みます。振り返ると乗越して来た尾根が、


 「大崩壊地」では、気温が上がり緩んで崩れ落ちてくる石の音が木霊してます。


 急登にかかる所で引き返します。明日の朝はこの腐った雪がカチカチになっているはずです。

 ・・・つづく

 

海別岳(1419m)

2013-04-06 | 登山、スキー
 お客さんと山に行ってきました。行先は海別岳。

 二人とも若くて美人なスノーボーダーです。

 アプローチの除雪情報は前もって聞いていたが、今年は造材のためブル道入り口まで除雪されていてこの時期としては非常に便利!

 二人のボードはスプリットボード。登高時、二つに分割してスキーのようにして歩けるもの。こうすることによって、スノーシューの負担が軽くなる。

 聞いて知ってはいたが、実際に見るのは初めてだった。


 分割した後、ビンディングの位置を変えて、左右反対にして履く。比較的短時間でモードが変えられるようだ。


 裏にはその形に切られたシール。


 歩いている姿は、スキーを履いているのと全く同じ。

 ただ一人のシールの効きが悪いのが気になった。

 歩き出してからしばらくして後ろから

 「すみませ~ん!」

 「シール逆に着けてましたっ!!」

 自分「そんな事だと思いましたっ!!」


 それからは順調に高度を稼いで森林限界を超えると視界が広がります!


 最後の急登はボードだと大変そうなのでアイゼンに履き替えてもらって、ニセピーク(通称)へ

 自分は頂上までスキーで

 ニセピークからは頂上がすぐそこに


 登頂しました!4時間くらいかかりました。視界360度!!

 知床連山方向

 流氷もまだ両側に少しながら見えていた。もちろん国後島も。

 反対側には間近に斜里岳、屈斜路湖の凍って真っ白な湖面も見えます。

 風が冷たくて長居はできませんでした。そそくさと下山にかかります。上部は所々カリカリした固い雪質でしたが、少し下ると滑りやすい雪質です。

 休み休み昼食を食べたりおやつを食べたりしながら、春を満喫です!!

 特に森林限界までの広い尾根は滑りやすい雪で、彼女たちも満足したようです。

 下山後、海別岳を振り返る。


 この後、すぐ近くのツルツル美人の湯「峰浜保養所温泉」で汗を流してもらった。


 帰り道、斜里岳がきれいだった。

 一番右側・・・北西尾根、北壁をはさんで真ん中・・・北稜、左に東斜里岳


 


 

東岳(知床連山)1520メーター

2013-03-31 | 登山、スキー
 久しぶりに地元の仲間たちと山に行ってきました。

 知床連山の北の端の東岳です。今日はいい天気になりそうです。

 
 国後島との間には帰りそこねている流氷がくっきりと

 途中真新しいクマの足跡が横切ってました。


 
 東岳直下の壁の手前で一服、帰りはここを滑り降りてくるのが楽しみなんです。


 5時間ほどで頂上、上の方はカリカリの氷でしたが、頂上までスキーを履いて登りました。

 東岳と沢を挟んで硫黄山が目の前に



 南の方角は羅臼岳に続く連山



 北の方角には知床岳

 こちらの山域は雪が少ないのかずいぶん黒くなってます。


 頂上は寒かったです。


 頂上から滑り降りますが、カリカリデコボコでスキーが二度ほど自然解放!


 壁付近からやっと滑りやすい雪質に・・・今シーズンまともに滑るのは今日が初めてだったので慣れるまで腰が引けましたが、徐々に慣れて気持ち良く滑れました。


 途中雪に引っ掛けて転倒、頭を固い雪面にぶつけてしまい、ヘルメットの必要性を感じました。


 下の方は雪が腐ってきてグズグズの雪がたまに現れ、苦労しましたが、楽しい一日でした。焼けたみたいです、帰ってきてチラッと見た鏡に薄汚い自分の顔が映ってました。

斜里岳

2013-03-24 | 登山、スキー
 ここの所土曜、日曜は天気が悪かった。しかも低気圧が発達して猛吹雪ばかり。

 今日の予報はいいようなので山に行ってきました。久しぶりです!


 予定は根北峠から東斜里岳、斜里岳、南斜里岳から根北峠の周回コース。陽も長くなりましたからね!

 天気はいいですが、寒いです。いつもは被らないような厚手の帽子の上からフード二重かさねしても汗をかきませんでした。

 広い尾根から細い尾根に出る頃(樹林限界)には雪質は氷の様に固く、スキーアイゼンがささらなくて独楽のように不安定になり大ブレーキです!

 アイゼンに履き替えスキーをザックに付けている間に二人の若者に追いつかれました。聞くと斜里岳まで向かうようです。

 スキーを背負って歩き出すも足取りが重たいです。

 この段階で南斜里岳経由の予定をやめました!(したらもっと下にスキーを置いて来れば良かったと少し反省!)

 これから先は急斜面です。追い越して行った若者は凍った斜面に手こずっているようです。

 スキーをおろした自分は俄然スピードアップ!若者に追いつきました。

 別々のルートで同時に東斜里岳登頂です。去年登った北稜が間近に見えます。

 
 ここの所ずーっと続いた吹雪でこれから先の稜線はするどい雪庇を伴って厳しそうです。

 ゆっくり慎重に頂上に到着しました。若者も初めての冬の斜里岳に大感激のようです。

 北の方角

 今日は斜里側も羅臼側も流氷が見えたが開いている海の面積の方が多かった。

 屈斜路湖方面


 風も収まってきて頂上でしばし休憩する。歓談、若者たちは山の無い根室から来たとの事。

 帰りが大変そうなので3人で一緒に下山することにする。

 

 行きには問題ない所も帰りは結構慎重になりました。バックステップの手掛かりは親指ほどの太さのダケカンバやハイマツの枝、鉛筆くらいの枝でもバランスを取るのに貴重な存在です!

 今日の気温は中腹でマイナス13度、もう少し暖かくなってザラメ雪になったら周回コースリベンジしたいなと思ってます。



帰還!

2013-03-10 | 登山、スキー
 先月27日から知床縦走に行っていた若い連中が、今日無事帰還しました。皆12日間山に籠ってました。

 9人もの犠牲者を出した低気圧をよく無事乗り切ったものです!



 2パーティー8人分思いっ切り荷物解放です!足の踏み場もなくなりました。


 


 

初滑り

2013-02-07 | 登山、スキー
 猟期も終わったので気持ちは山へ・・・という事で初滑りに行ってきました。3人です。

 当初は知床連山の東岳に行く予定でしたが、前日は猛烈な風で「これでは明日は無理ですね!」と行先変更。

 根北峠付近(斜里岳山麓)で遊ぶことにして出発するもまだ天候は回復しておらず風が強い。とりあえず峠に向かうと行動できる天気なので出発することに。斜里岳とは反対方向のルベス岳にむかう。

 風が強いです!


 頂上から初滑りです。

 雪質は新雪が10センチくらいあるもののその下は先日の暖気で解けた雪が表面凍っていて自分のヘッポコスキー技術では回りません!他の人も手こずってる感じです。

 「登り返して滑ることもない!」と全員一致で戻ることに。


 物足りないので「藻琴山に行こうぜ!」と車を走らせる。

 藻琴山は冬型の気圧配置でも意外と天気の回復の早い所と見ているので期待大!


 もう昼過ぎているので峠に駐車して出発、太陽は見えませんが、視界はいいです、寒いです。

 カリカリの尾根を上がると眼下に屈斜路湖、

 全面結氷しており、「御身渡り」の筋が中島から四方に伸びているのが判る。

 雪庇の発達した細い尾根を進み最後の山頂のでっぱりへ


 下りはコースを沢へ

 出だしだけいい雪だったが、だんだんルベスと同じような雪質に・・・


 今シーズン最初のスキー、雪質はイマイチでしたが、1日で二座登頂で気分もまずまず。夜の宴会の酒がうまかった。

残暑お見舞い申し上げます。

2012-09-05 | 登山、スキー
 記録的な残暑が続いているようです。皆様くれぐれも体調を崩さぬよう留意ください。

 こちらは、数日日中暑い日がありましたが、夜は窓を開けて寝るには寒いほどでした。昨日、今日は霧雨模様で気温も20度に達しません。


 たまたまそんな暑い日に羅臼岳に行ったのですが、また起こりました。そうです!「登山靴破壊」です。これで自分がガイドしたお客さんの登山靴破壊3度目です。

 登りの半分くらいで靴の両脇に切れ目ができたのに気が付いたので、ひどくならない様にテープ、タオルで補強しましたが、破壊のスピードは加速しました。

 右足の靴底はあきらめました。前回は中底が意外にもったので今回も同様に考えてましたが、今回の靴、すぐに足の指が見えてきました。小石が入り込んでどうにもならなくなりました。まだ頂上まで30分くらいかかりそうです。

 ちょうど頂上の下手にクマがウロチョロしていて道のほうにも行きそうな感じだったので、待機がてら修復、

 自分の履いてきた毛糸の靴下を靴の上から履かせてテーピング、タオルで固定。

 

 なんとか登頂して下山開始後すぐにもう一方も靴底はがれる。同様に修理。タオルもなくなり、ついに自分の流れる汗を拭き取ることもできなくなりました


 下山後の記念撮影。よくもったもんです!


 途中出会う人の目線はなんとなく足元を見てましたが、口に出して言う人は、いませんでした。ギブスの様な、素足の様な、ちょっとヤバイ人ですよね!


 いわゆるリタイヤして登山している中高年にはこういうケースはあまりないと思います。現役で装備に凝る暇のない方は要注意です。