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チクチク テクテク 初めて日本に来たパグと30年ぶりに日本に帰ってきた私

大好きな刺繍と大好きなパグ
香港生活を30年で切り上げて、日本に戻りました。
モモさん初めての日本です。

新藍塘麺飽餐廳 香港

2013年06月14日 | 香港

雨、23度、93%

 香港で同じ場所でずっとお店を開いているのは、大変なことです。家賃の急騰もありますが人の好みの変化のはやさもまた、頗るはやい街です。香港島セントラルの路面店はここ2、3年でがらっと変わってしまいました。家族経営の店などやって行けない家賃の高さです。しかも、皆さん中国からの観光客の好きそうなものばかり並べた店になりました。

 堅道(ケインロード)は、そんなセントラルから上向きに15分も歩くとたどり着きます。この堅道から下セントラルまでは、SOHOといって一大飲食店街です。世界中の食べ物屋さんが結集しています。このSOHOですら、以前は、普通の住宅街でした。堅道の辺りも、新しい店ができては、つぶれて行きます。そんな中、20年以上も店の造りも変わらずやっているパン屋兼軽食屋が「新藍塘麺飽餐廳」です。看板が以前は、藍の色つまりブルーだったのが黄色に変わったぐらいで、店の造りは一向に変わっていません。向かって右手にパン屋、左手が軽食、ご飯の上にカツをのせたようなものを作っていて、店の奥で食べることが出来ます。そのまた奥でパンを焼いています。

道に面したパンのケースです。 このパンの種類だってちっとも変わっていません。昔からある香港のローカルのパンです。どのパンも柔らかくて甘め。柔らかすぎて食パンは中折れ、つまりちゃんと立っていませんでした。

 香港のパン事情、日本のパン屋が一大貢献しています。大手の工場生産の山崎パン、インストアーベイカリーならドンクにパナッシュ、リトルマーメイドなどがあります。日本のパン屋のパンは高くてもおいしいので、やはり人気です。こうした日本のパン屋の食パンはもちろんちゃんと立っています。ここ10年程、やっと香港の食パンも立つように焼く技術を学んだようです。日本のパン屋の進出前は、本当にたくさんの地元のパン屋がありました。立ったまま、歩きながらでも調理もしないで食べられるパンは、香港の生活にマッチしています。

 この新藍塘麺飽餐廳の近くに、日系の東海道アロームというパン屋さんが出来ました。でも、2年と続きませんでした。その次に、地元大手のマキシムのパン屋が出来ました。そこもつい最近店じまいしました。依然、新藍塘麺飽餐廳は堅道にドンと構えています。久しぶりに中に入ってみました。 中のケースには、ケーキが入っています。新製品のくるみのパイが紙皿にのせられて売られています。こういう気安がなんともいえません。下の段中央は、ココナッツのパイです。その右横はくるみ入りのパウンドケーキ、この2つ、香港のケーキの定番みたいなものです。

 パンのケースの一番上パンは、$8(90円ぐらい)で売られています。私が初めて買った時は$2,5でした。甘くて柔らかくて、歯にクッチョと付きそうなパンばかりです。お昼間は近くの学校の生徒たちで一杯です。夕方にもなれば、明日の朝のパンを買う人が並びます。

 モモさんが我が家に来る前のことですから、10年以上になるでしょうか、大きな台風がやって来ました。香港のシグナルで10でした。全ての交通機関は止まります。当然、デパートから銀行全部閉まっています。主人と家にいたのですが、天井の照明器具が揺れ始めました。なんだか怖くなって、台風の街に出てみました。人も車も通っていません。堅道まで降りて来ると、この新藍塘麺飽餐廳はお店が開いていて、湯気が立ちこめています。家族経営ですから、こんな悪天候だってお構いなしです。パンが焼けて出てきます。近所のおじさんたち奥で朝ごはん中です。こんな日ですから、パンが売れ残るかもしれません。主人と二人にしては多めにパンを買いました。

 日系のパン屋さんに行けば、見た目もきれいなパンがこの店の4倍ぐらいの値段で買えます。フランスのポワラーヌのパンだって飛行機でやって来ます。でもね、いつまでもここでこうしてお店をやっていて欲しいと、つくづく思ってしまいます。