曇、20度、73%
昨日の香港、気持ち良く晴れ上がりました。半袖でも過ごせる気温に乾燥注意報まで出されていました。帰国するまではひと月に一度山に登りました。香港の山は高くありません。アクセスが良く、早朝から高齢者もゆっくりと山を目指します。「いってらっしゃい。」と主人を送り出して日が昇って山に入りました。もう何回この山を上り下りしたことでしょう。
土曜日です、グループで家族でと人もたくさんです。帰国後一度だけ福岡の山に入りました。日本の山は女性一人のハイキングというわけにはいかないと心得ています。久しぶりの山登り、果たしていつもの頂まで登れるか心配でした。開けた分岐点まで30分ほど、 そこから600段近い階段を登ると頂きです。 この季節一番先に咲く「タチツボスミレ」が迎えてくれました。一人の山登りは気兼ねなく考え事ができます。自分のペースで歩きながら風が吹けば立ち止まり思う存分その風を楽しみます。
2年前登ったのが最後、ペースもその頃と同じ速さです。頂から見る香港島の中心地、 九龍サイドも新しくビルがたくさん出来ています。日に日に変わって行く香港です。ビクトリア湾を背にして南に向きを変えます。そこに広がる南シナ海のこの景色だけは30数年前と変わりありません。
この頂に立ってお日様に迎えられ、風を全身に感じながら30年間心の波立ちを鎮めてもらいました。山を降りる時には心も身体も不思議なくらい整います。木漏れ日の優しさ、時には急な雨にも会いました。昨年の大きな台風の傷跡をいく箇所かで目にします。それでも街の変わり様とは違い山は変わらずにいてくれます。
思いかけないものに出くわしました。 野良犬の親子です。以前はどこの山にもいた野良犬ですが、厳しく捕獲されてここ数年は見たことがありません。食べ物を持たずに来たことを後悔します。「無事に生き延びてね。」
香港で過ごした30年が私にとって何だったのか、そんな問いを胸に歩いた61歳最後の日でした。