雨、16度、95%
主人が香港から戻って来る前にはいつも尋ねます。「何か食べたいものは?」今回は「おいなりさん」でした。主人曰く、おいなりさんは私の自慢料理に一つだそうです。子供が小さい頃はよく作りました。久しぶりに作るおいなりさんです。
おあげの形は西と東では違います。長方形な東、真四角な西。料理を始めたのが東京でしたからいつも福岡のおあげの形に戸惑います。母は対角線に切っていたように覚えていますが、小さなおいなりさんしかできません。正方形の一辺を切り袋を作りました。油を抜きコトコトと炊きます。甘い匂いはおあげさん独特のものです。中に詰めるすし飯は五目にしたこともありましたが、白の切りゴマをたっぷり入れただけのすし飯にしました。おあげを絞らずにたっぷり煮汁を含ませたまますし飯を詰めます。作っている横から主人の手が伸びます。
出来たおいなりさんをお弁当箱に詰めました。手が汚れてもいいようにお手拭きも添えました。ハンカチに包んで主人に持たせます。主人の行き先は義母の病院です。病院の前で主人を下ろして私は帰宅しました。病室で義母と二人で食べてもらおうと思いました。
結婚して以来、義母は息子である主人に会うときは必ず私が横にいます。二人だけで話したいこともあるでしょう。私がいたら話し辛いこともあるでしょう。久しぶりの主人の帰宅のことは義母には話していませんでした。主人が「お母さん。」と言って顔を見せた時、きっと義母は驚いたはずです。そして内心大喜びしたと思います。
さて、おいなりさんを挟んで水入らずで何を話したことやら。別れ際必ず母の体をさする主人の手の優しさを思います。母親思いの主人です。仕事がますます忙しくなり、義母と会うのも間遠になります。「これからも時々親子だけの時間を作ってやらなくては。」これが私の義母孝行のつもりで