晴れ、26度、91%
香港に来て、まだ1,2年目のことだったと思います。ご飯を炊こうとお米びつの蓋を取ると、黒いものがチロチロ動いています。すぐにお米の中に隠れますが、間違いなく虫です。お米の中に虫がいるなんて、生まれて初めての体験です。日向に新聞紙を拡げて、米びつを逆さにしました。ビックリというより鳥肌がたつくらいたくさんの虫です。思っていた数の何倍もいます。日向が苦手なのか、お米に隠れようとします。お米は大切と叩き込まれていますから、私は虫退治におおあらわでした。この虫の名前はコクゾウムシです。もっと大きくすると解るのですが、鼻が長く出ています。
たった2日家を空けて帰ってみると、残り少ない私用のタイ米の中に黒いものがいます。もう20年ぶりくらいにお目にかかりました。お久しぶり。
食品に虫が付くなんて、今の日本では考えられないことかもしれません。でも、ここは東南アジア、お店で売っている物にだって虫付きがあります。一番注意は、もちろんお米です。シンクパックが膨らんでいると必ず、中の様子を確かめます。時間をかけないと解りません。最近はパックに印刷が多くなって、中がよく見えないものもあります。次は、スパゲッティ、これは、イタリア産であろうと中国産であろうとお構いなしです。スパゲッティを外から見て白い部分が見えたら虫食いの後ですから、買わないように。お次ぎは、干したきのこ類、イタリアの高いポルチーニを買って大事に少しずつ使っていました。それが、ある時瓶の蓋をとると、フワッと煙が上がりました。何事かと思ったら、中のポルチーニの影も形もなく粉々に食べ尽されていました。ポルチーニの粉がフワッと舞ったわけです。
これらの虫は、お米ならお米の中に幼虫がいる場合もあるようです。でも発生するのは、いつも決まってこの6月。湿度と気温が急に上がるからでしょう。もちろん虫を退治すれば食べることが出来ます。お米は洗うと虫が食った米は軽くて浮きますから、捨てればいいわけです。椎茸などは熱湯をかけると、虫退治が出来ます。
大変なのはここからです。何かに虫を見つけると、違う場所になおしてあるものも全て点検しなくてはなりません。日本から大事に持ち帰った昆布に煮干し、乾麺、蓄えてあるパン用の小麦粉。大掃除も兼ねて台所の隅から隅まで、頭を突っ込みます。
不思議なことに虫の付きやすいタイ米、バスマティライスの横に置いている日本米、これにはなぜか虫が付いたことがありません。日本米の方が美味しそうに思うのですがね。