晴、25度、80%
9月の初め、香港の主人から「月餅」が届きました。まだ私が食べたことのない小ぶりな「無花果の月餅」が5つ、普通の大きさの種類の違う「月餅」が4つ、ふた缶でした。「月餅」は中華圏では贈答品です。中国のお菓子の中では高価なものです。中秋節になると「月餅」をたくさん買い求め親戚やお世話になった方に配ります。私も送られて来た「月餅」を長くからの友人、中国の「月餅」をお好きな方に早速おすそ分けしました。私の手元に残したのは「無花果の月餅」一つと「棗あんの月餅」の一つでした。食べやすい「蓮の実のあん」「小豆のあん」「ナッツのあん」は友人たちの所に飛んで行きました。
中秋節の日まで待ちました。もちろん初めての「無花果の月餅」をおやつにしました。小ぶりでたくさんのナッツを無花果がつなぐような「月餅」です。30年ほど前、香港に渡った当初、30代だった私は大きな「月餅」を幾つもパクパクと食べました。30年経って帰国前には「もう月餅は食べたくないわ。」と言っていたほどです。なのに帰国して3年で中国の「月餅」を懐かしく思いました。中秋節は私にとって「お月見団子」でなく「月餅」なのです。
10月の満月が一番好きです。「棗のあんの月餅」はそれまで待とうと思いましたが、昨日封を切りました。月餅の賞味期間は2ヶ月ほどです。どっしりと重い月餅は封を切っただけでその香りが広がります。 「棗のあん」は一見「あずきのあん」の様に見えますが甘酸っぱい「棗のあん」です。口にあたる松の実がじわっと美味しさをプラスします。皮の焼け具合、あんとのバランスも良く「この味よね。」と一人ニンマリします。
「無花果の月餅」もそれなりに美味しかったのですが、小ぶりなせいか皮が乾き気味でした。昔はこの皮を作るのに「ラード」を使っていました。その頃はもっと深い香りでした。現在では「ピーナッツオイル」が主体です。たくさんの「月餅」を食べて来ました。ハーゲンダッツ、ゴディバなどもアイスクリームやチョコの「月餅」を出します。「月餅商戦」とも言われその年の景気を占う基準にもなると言われます。
先日、主人と話しました。「やっぱり、一番美味しいのは白蓮蓉に塩卵の黄身が2つの月餅ね。」主人も同感の様です。芯を取った蓮の実から作るあんに塩卵の黄身は満月の様に丸のまま入っています。この塩味と餡の甘さが絶妙なバランスです。「来年は真奈さんが香港に来て好きな月餅をたくさん買えるといいね。」と主人。「月餅」を食べながら香港を懐かしみました。