曇、9度、63%
美術展、観劇などの前売り券をオンラインで求めます。チケットは「スマホ」の中にあります。前売り券を求めるとメールのチケットの位置は下の方に残されます。年明けてすぐに「民藝」のチケットを買いました。すっかり忘れていました。不要メールの整理をしているとき見つけました。期間が4月6日まで。慌てて「福岡市博物館」へ向かいました。
「民藝」のチケットを買うと時、わざわざ見に行かずともいいのにと頭を掠めました。「民藝」の中で育ったからです。古い日本家屋、家具調度品は「民藝」と呼ばれるものに囲まれていました。父母も時折「民藝」と口にしていたかもしれません。松本の民藝家具の中で生活していました。テーブルにのぼる食器は「民陶」の土物、大きな壺などが座敷の縁側に並べられていました。成長した私はその「民藝」の匂いが嫌いでした。特に土物の器は自分では買いたくないと内心思っていました。そんな私が「民藝」に立ち返ったのは「着物」に目覚めてからです。「染め」「織り」の和服から、急転「民藝」へ立ち返りました。20年近く前のことです。この家の荷物の整理では「民藝」品をたくさん捨てました。残したくても母の保管状態があまりにも杜撰でした。使えるもの、自分の生活にあったものだけを残しました。今、我が家にいらしたら入るなり「民藝」と感じられるかもしれません。
何時ごろ建てられたのか? 埋立地に建つ「福岡博物館」は夏休みだと言うのにガラガラでした。入ってすぐ撮影可能な空間がありました。「民藝」の家とはこう言うものですよ、と皆さんに見せるためのスペースづくりでしょう。
まるで我が家です。右半分は、
白壁、梁が見える室内に民藝家具、土物の焼き物、織の布。「柳宗悦」が言葉した「美は暮らしの中にある」そのままのライフスタイルです。
展示は工芸品それぞれにスポットが当てられ、日本各地の生産地が紹介されていました。私には目新しいものは何もありません。あるのはこうした温もりのある空間で育ったことへ感謝です。この年になって改めていい生活をさせてもらった、いい生活をさせてもらっていると父母、主人にありがたく思います。
最後の撮影可能な空間は新しい「民藝」でしょうか。 主人の好きな「ジョージナカシマ」の椅子も飾られていました。
今、キーを打つ我が家の居間は木の温もり土の温もりのある空間です。