雨、24度、98%
今年も、香港はLe French Mayのシーズンがやって来ました。フランス文化祭とでもいう食文化から音楽、舞踊まで幅広くフランス文化の様々な催し物が行われます。5月から6月にかけて、しかも、ここ2年程はマカオを含んでいます。フランス領事館が主催で、数多くの協賛の団体で運営されていて、今年で21回目です。そして、年々催しの幅が広がってきました。昨年は、まさかと思うピカソ展がありました。ピカソ展の時にも書きましたが、絵画においては、音楽や舞踊に比べて香港で紹介される機会が本当に稀でした。大きな展覧会は見逃していないはずですが、私が、香港に住むようになって、まだ5本の指で数えられるくらいです。展示施設の問題があったようです。高温多湿の香港で、絵画を管理出来る文化施設が少なかったからだと、ごく最近知りました。
今年はシャガールが35点程ですが、我が家から歩いて15分程のギャラリーで、展示されていました。 香港島セントラルから山向きに上がった、ウィンダムストリート、以前はペルシアンカーペットを売る店が建ち並んでいたこの街は、今では、ランカイフォンとソーホを結ぶレストラン街に変わりました。このギャラリーは私設のごく最近出来たものです。
展示点数も少ないので、入場料は無料。私設なので、なんとドアマンが入り口でドアを開けてくれました。しかも観覧者は私ひとりでしたので、ありがたいことにデスクの女性が、全ての絵の説明をしてくれたという、おまけ付きです。
「ソロモン雅歌」と日本ではいわれている絵の、ラバーズの部分の試作が色違いで2点ありました。「青い牛」「ニンフ」など初期の作品を見るのは初めてです。色の使い方も、筆致も変化が見られます。 ロシア生まれのシャガールは、結局はフランスの市民権をとって、フランスで亡くなったそうです。構図にしても色遣いにしても、シャガール独特な明るさが好きです。でも、どこかにロシアで育った片鱗が見られないかと目を凝らします。シャガールのように男女が寄り添う姿を書き込んだ画家も少ないでしょうね。
香港のギャラリーで、まさかこんないい絵画が見られるようになるとは思ってもいませんでした。絵の説明をしてくれた女性の方、初め私に声をかけてくれたとき北京語でした。訪れる人は、地元の香港人より観光の中国人の方が多いそうです。なんだか寂しい話です。
雨続きの香港、シャガールの深い青、微妙な赤の色が心に残ります。