MAKIKYUが先月初めに青森・函館を訪問し、それからもう1月が経過したのですが、先月函館を訪問した際には函館市内で市電の新型低床路面電車に乗車する機会もありましたので、取り上げたいと思います。
この車両は一昨年導入され、9600形という形式と共に、「らっくる」という通称もあります。
最近各地の路面電車で導入されている低床の新型車は、従来から国内の路面電車を手がけてきたアルナ車両が手がけた「リトルダンサー」シリーズと、外国勢(日本で組み立てなどを行うものも含めて)に2分されていますが、函館の車両は前者の部類に入ります。
「らっくる」は北海道では初の全低床電車であると共に、馬車軌(軌道幅1372mm)の路線では初めてのノンステップ低床車にもなっています。
(馬車軌の路面電車は他に東京の2路線があるだけで、この2路線は路線の性質上、ノンステップの全低床車を導入する必然性がありませんので、当然の成り行きといえばそれまでですが…)
全低床車の構造上単車での製造は困難な事もあってか、函館市電では唯一の2車体連接車になっているなど、函館では初物づくしといった感のある車両となっています。
車内には最新型らしく運賃表示機の役割も兼ねたLCDモニターも設置されるなど、冷房装置すらない昔ながらの古参車が今も多数行き交う函館市電の状況においては、斬新過ぎる印象を受けたものです。
ちなみに函館市電は日本の路面電車では典型的な運賃収受方法で、距離に応じて運賃が変わる整理券方式(中乗り前降り)を採用している事もあり、車内を後→前へ移動する事が不可欠となります。
この事もあってクールな印象を受ける車内は、ロングシート主体の座席配置で通路を移動する事を考慮したレイアウトと言えますが、機器配置の関係で出っ張りが生じる運転席背後の部分にクロスシートを配置しているのも特徴です。
運転席背後のクロスシートは、構造上の問題もあって1段高くなっているのですが、絶好のポジションという事もあって走行中の様子を眺めるにも最適で、特等席とも言っても過言ではないと感じたものです。
また「らっくる」は前扉(運転席脇にある降車扉)のみながら、乗降扉に折戸を採用している事や、運転台もワンハンドルマスコンではなく、一般的なツーハンドル(路面電車の新型車両では、他に東京の都電荒川線が該当し、偶然ながら両線は数少ない馬車軌の路線という共通性もあります)となっている点などは、国内各地の低床路面電車に乗車しているMAKIKYUとしても、物珍しさを感じたものです。
この「らっくる」は運行ダイヤが限定されているとはいえ、まだ1本のみの希少な存在ですので、なかなか捕獲し難い状況ですが、今後増備が行われるのか否かも気になる所です。
今後の末永い活躍に期待すると共に、「MAKIKYUのページ」をご覧の皆様も函館を訪れる機会がありましたら、是非一度乗車してみては如何でしょうか?
素人目には力行と制動を繰り返す路面電車はツーハンドルの方がデッドタイムが少なく運転しやすそうな気はしますね。
レスポンスが悪かった時代の間接制御の評判の悪さなど、シビアな運転を要求される併用軌道の厳しさを思い起こします。
そう言えばどういうわけか日本では足踏み式が普及しませんね。
路面電車のワンハンドルも、最近輸入された車両などは比較的操作しやすそうな印象を受けますが、国産車の左右が連動するタイプ(左右どちらでも操作可)などは、見た限りでは結構デッドタイムが多そうな気もします。
ただ電気指令式となれば、ブレーキの作用も格段に早いですので、旧型に比べれば遥かに扱い易く、自動車などと並走する事も多い路面電車では尚更かと思います。
最近の新車でもツーハンドルを導入し続ける社局は、従来車と大きく扱いが異なる事を嫌っている事が大きいのでは…と思いますし、また足踏み式が普及しないのも、従来車との操作扱いが大きく異なる事が大きいかと思います。