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BRTで仮復旧したJR気仙沼線(1)~車両編

2012-09-11 | バス[東北]

今年夏の青春18きっぷ有効期間は昨日で終了となりましたが、「MAKIKYUのページ」をご覧の皆様方の中にも、この乗車券を利用して国内各地の旅行を楽しまれた方も多いかと思います。

MAKIKYUも7月に関西方面から首都圏に帰還する際に1回目を利用、8月に日帰りのお出かけで2回目を利用したのですが、残る3回分は今月になってから利用したものでした。

今月に入ってから利用した3回分は、昨年春に発生し、未曾有の被害をもたらした東日本大震災における大津波による被災地域でもある東北地方太平洋側の三陸方面訪問で使用したものでした。

その際にはBRT(Bus Rapid Transit)方式による仮復旧と言う形ながらも、昨年春の東日本大震災発生以来、約1年半もの間不通状態が続き、先月ようやく運転再開となったJR気仙沼線の柳津~気仙沼間にも乗車する機会がありました。

BRTによる仮復旧とは、震災前と同様の鉄路によるサービス提供ではなく、実質的にバスによる代替輸送提供と言っても過言ではないのですが、営業上は鉄道線と同格の扱いとなっており、鉄道線各駅に相当する停留所(南気仙沼は周辺が壊滅状況という事もあって少々離れた箇所に設置され、南気仙沼(市立病院口)となっています)に加え、鉄道線時代には存在しなかったベイサイドアリーナ駅(志津川~清水浜間:運賃制度上は志津川と同様の扱い)が新規開業しています。

気仙沼線の柳津~気仙沼間で有効な定期・回数乗車券や普通乗車券をはじめ、各種企画乗車券類(有効期間内であれば、青春18きっぷなどの格安乗車券も可)で利用可能となっています。

先月中頃までのミヤコーバスによる臨時路線バスの定期・回数乗車券のみ振替乗車適用の取り扱いに比べ、MAKIKYUの様な余所者の訪問においては、震災前の鉄道線による運行や、震災後のミヤコーバスによる臨時路線バスよりも大幅に増便された事もあってか、利便性が飛躍的に向上しています。
(所要時間や定時性と言う点では、震災前の鉄道による運行には及ばないのは難点ですが…)

鉄道関連施設だけでなく、沿線自体が大津波による壊滅的な被害を受け、鉄路復旧の見込みが立たない状況下においては、気仙沼線のBRT方式による仮復旧は賛否両論があるかと思いますが、個人的には公共交通手段の確保、並びに沿線住民の交通費負担軽減(特に通学定期券)という点で、現状では最も妥当な方法なのでは…と感じています。


この気仙沼線におけるBRT仮復旧においては、営業上は鉄道線と同等の扱いと言う事もあってか、運営主体は東日本旅客鉄道(JR東日本)となっており、BRT車両(バス)にもしっかりとJRマークが描かれているほか、気仙沼市や登米市などの沿線自治体におけるマスコットキャラクターのステッカーが貼られているのも大きな特徴です。

ただJR東日本自体は現在バス運行に関わっていない事もあってか、近年は公営バスなどでよく見られる運行委託方式(宮城県内では仙台市営バスの一部路線における運行を、宮城交通やJRバス東北が受託している事例が存在します)を取っています。


JR東日本では東北地方における系列バス会社として、JRバス東北が存在しており、同社は震災後の鉄道代行バスの一部運行も担っていますが、気仙沼周辺に拠点を持たない事や、並行する路線バスへの影響なども配慮してか、宮城交通グループのミヤコーバスへ運行委託しており、BRT充当車両にはJRマークと共に、ミヤコーバスの社名も表記されているのが大きな特徴です。

このBRT使用車両はミヤコーバスの既存車両転用ではなく、排ガス規制によって大都市圏での継続使用が出来なくなった中古車両を導入しており、MAKIKYUが乗車した車両ではJRバス関東中央道支店(長野県伊那市)で車検を実施したステッカーを目撃していますので、一旦JRが中古車両として調達した車両を、ミヤコーバスに運行委託している様に見受けられたものでした。


MAKIKYUが乗車した車両は日野ブルーリボンのワンステップ車、バリアフリー対応の黒逆T字窓中4枚扉車と言う事もあってか、外見は中古車ながらもさほど古さを感じさせない雰囲気が漂い、気仙沼周辺で運行している路線バス車両の平均レベルよりはずっと格上です。

とはいえサイドブレーキは、最近の車両でお馴染みのホイールパーク式ではない事など、よく見ると余り新しい車両ではない事が…と感じさせる面もあり、他に神奈川県内の公営事業者から移籍した車両と見受けられるいすゞキュービック(こちらも黒逆T字窓・中4枚扉のワンステップ車で、気仙沼線BRT区間は中乗り・前降りの整理券方式にも関わらず、行先・経由地表示装置が前ドアのすぐ近くにあります)も見受けられ、MAKIKYUが目撃した限りでは、両者の勢力はほぼ半々程度に感じたものでした。


また車内も最新型のLCDモニターによる運賃表示器を装備し、GPSによる運行情報提供も行うなど、運行開始したばかりの路線ならではと感じる面もある一方で、移籍前の首都圏大手私鉄系バスならではの特徴的な内装や座席、ドアチャイムなどはそのまま既置されています。


そのため近年巨大鉄塔を建設した事でも話題になっている首都圏大手私鉄系バスに乗り慣れたMAKIKYUとしては、親近感を感じる反面、最寄駅と住宅地間を結ぶ所要15~20分程度の都市型路線ならともかく、全区間乗り通すと片道約2時間に及ぶ気仙沼線BRT区間で、「硬座」とも言うべきベンチの様な座席に座り続けるのは…とも感じたものです。

様々な路線バスに乗り慣れたMAKIKYUでもこの様に感じる程ですので、日頃路線バスに乗り慣れていない乗客が、この座席に2時間座り続けるとなると、かなりしんどいのでは…とも感じたものです。

JR側も気仙沼線BRT仮復旧と共に、仙台~気仙沼間の割引企画乗車券「Wきっぷ」発売を再開していますが、所要時間の長さや柳津での鉄道線との乗り換え、仙台方面へは更に小牛田での乗り換えも必要な事などを踏まえると、BRT仮復旧区間における地域住民の足としては有用な反面、Wきっぷとほぼ同程度の高割引回数券を設定している仙台発着の都市間バス(ミヤコーバスなど)に比べ、気仙沼~仙台間の都市間移動の足としては、現状では力不足の感が否めない様にも感じられたものです。

とはいえ現在は最知~陸前階上の1駅間のみがBRT専用道として整備された以外は一般道路を走行し、車両も専ら中古車で運行しているものの、JR側がBRT専用道整備を進めると共に、新車でハイブリッドバスを導入する事も発表しており、サービスレベル向上が望める状況ですので、今後の動向も気になる所です。

BRT仮復旧区間における車窓などは、近日中に続編記事で追って取り上げたいと思います。



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