先日「MAKIKYUのページ」では、富山地鉄市内電車の新規開業路線・環状線と、同線で活躍する新型車両(9000形CENTRAM)に関して取り上げましたが、地鉄市内電車では環状線用の新型車両(CENTRAM)だけでなく、既存の市内軌道線用にも環状線開業後に新型低床電車が登場しています。
この新型低床電車が「サントラム」と呼ばれる車両で、昨年運行開始したこの車両は、T100形と言う形式を名乗っています。
富山市は市内電車の規模が国内でもさほど大きいとはいえず、またCENTRAMとさほど変わらない時期に登場していながらも、CENTRAMやほぼ同種の車両を使用している富山ライトレールとは全くの別物と言える車両となっているのが特徴です。
サントラムはアルナ車両製の低床3車体連接車で、以前MAKIKYUが一度乗車した事があり、「MAKIKYUのページ」でも取り上げた事がある豊橋鉄道のT1000形「ほっトラム」に酷似した車両ですが、製造メーカーやスペックが全く異なる全低床電車が、同じ線路で肩を並べて走る都市は、日本中を探しても他には市内電車最大規模を誇る中国地方の1都市位しか思い当たりません。
ほぼ同時期に登場しながらも、雰囲気が大きく異なる2種類の新型低床車が並ぶ姿は、路面電車・LRTにおける積極策を次々と実行している富山ならではです。
車内に足を踏み入れると、中間車両の座席はロングシート配置になっており、中乗り・前降りで必然的に車内を移動する必要性に迫られる日本の使用状況に考慮した構造は、純粋な国産電車ならではで、車内の雰囲気も豊橋の「ほっトラム」や、やはりアルナ車両が製造した最近の低床連接車の長崎電気軌道5000形などを連想させるものです。
案内設備も車外の行先表示は一般的なオレンジ色のLEDを装備しており、フルカラーLEDのCENTRAMに比べると、後発の割には…という印象を受け、車内のLCDモニターによる案内表示も、汎用のバス用を流用した様式になっているなど、CENTRAMに比べるとやや見劣りする印象がありますが、今後もしサントラムが増備される事になれば、行先表示はCENTRAMに影響されてフルカラーLED装備に改められるのかも気になる所です。
また今後富山ライトレールの電車も市内中心部に乗り入れる事になれば、この車両とも顔を合わせる事になり、更に見応えのある光景が展開される事になりますが、市内電車の既存路線では今も吊掛駆動車が主流を占めており、こちらは結構な経年車ですので、現在はまだ1編成しか存在しないサントラムも老朽車取替を兼ねて、今後数を増やしていくのか気になる所です。