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福井鉄道・F10形「RETRAM」~多重移籍の外国型車両

2016-05-14 | 鉄道[北陸]

先月MAKIKYUが福井鉄道(福鉄)に乗車した際には、土休日発売のフリー乗車券を利用した事もあり、福鉄で活躍する様々な車両に乗車する機会がありましたが、その際には「RETRAM」にも初めて乗車したものでした。


RETRAMは元々ドイツ・シュツットガルトの市内電車で活躍していた車両を土佐電気鉄道(高知県・現とさでん交通)が購入、735形として主に観光客向けの電車として走らせていたものの、近年は稼働率が低下し休車状態になっていた車両です。


何年も土電の桟橋車庫で放置状態になっていた車両を購入、形式をF10形に改めると共に福鉄向け改造を施した多重移籍車両で、以前土電の車庫で放置状態になっていた車両を見た際には、再起自体がまずないと感じる程でしたので、国内で再移籍して活躍と言う話を最初聞いた時には、随分驚いたものでした。

ヨーロッパ風の路面電車も、近年各地で登場が相次ぐ新型低床車に限れば、日本でもありふれた存在になりつつありますが、旧型車両に限ると日本国内では幾つかの動態保存車が存在するだけですので、希少な存在と言えます。

RETRAMは2014年に福鉄での稼働を開始していますが、冬季は積雪状態となる事も多い土地柄故に冬期運休、これに加えて非冷房車という事もあって夏季も運休となる上に、運行開始当初は車両不具合での運休も頻発したため、乗車機会がなかなかない車両という状態でした。

とは言えここ最近は車両の状態も比較的安定している様で、丁度運転日に福井へ足を運ぶ機会と重なった事もあり、ようやく乗車できた次第です。


内外共に日本の路面電車とは大きく異なる雰囲気、運転台のマスコン形状なども見慣れない独特なモノとなっています。


車内はドイツの路線図や広告類が存置され、上部が僅かに開く客窓の開閉方法も、国内の鉄道車両では殆ど類がない方法になっているなど、見所満載の電車と感じたものでした。

ただRETRAMと言う名前通りレトロな外観ながら、下回りは旧来の釣掛式ではなく、また近年大半の車両で用いられているVVVFインバーター制御への改造も行われていませんので、走行音に関しては意外と平凡な車両と言う印象を受けたものでした。


専ら観光向けで車掌乗務での運行となる事もあり、福鉄名物のステップは手動式のモノとなっており、極力種車の雰囲気を壊さない様に配慮した事が伺える一方、各駅での乗降時には車掌がステップ引出し・格納を行っていました。

行先表示幕も手回し式、おまけに40㎞/h程度になるとそれ以上はなかなか加速しないという車両性能上の問題もありますので、ダイヤに余裕がある土休日の限定ダイヤ運転以外での運用は困難、車両稼働数が最大となる平日朝ラッシュ時には、予備車として稼働させるのも厳しい印象を受けたものでした。

福井県の補助を受けて導入した車両ながらも、経営環境的にも決して芳しいとは言い難い中で専ら観光向けとしてしか使えず、機構的にも外来車両故に特殊な古参車両を維持する事は容易ではないのでは…と感じたものでした。

しかしながらRETRAMは日本国内では極めて希少な存在の車両だけに、運行には様々な制約が生じますが、今後の活躍にも期待したいと感じたもので、「MAKIKYUのページ」をご覧の皆様方もRETRAM運行日に福井へ足を運ぶ機会がありましたら、是非一度RETRAMに乗車してみては如何でしょうか?



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