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ベトナム統一鉄道~南北の大都市を結ぶ大動脈

2018-02-04 | 鉄道[その他海外]

「MAKIKYUのページ」では先日、ベトナムの2大都市・ホーチミンとハノイの市内や近郊を走る路線バスに関して何度か取り上げており、この2大都市間は都市間バスの運行も存在します。

しかしながらMAKIKYUが昨夏ベトナムに足を運んだ際には、この2都市間の移動で都市間バス(寝台バス)ではなく鉄道(列車)を利用しており、この鉄道が一時期南北に分断されていたベトナムの南北を結ぶ大動脈・ベトナム統一鉄道です。
(ホーチミン~ハノイ間は列車とバス以外に国内線航空便も多数存在していますが、個人的には選択肢の対象外です)

ベトナムの鉄道はインドシナ標準軌とも言われる軌道幅1000㎜(通称メーターゲージ)が大半を占め、ハノイ市内~中国国境までの間などでは標準軌(軌道幅1435㎜)の車両も入線可能な3線区間も存在していますが、各路線共に単線・非電化となっています。

貨物列車も多数運行、また旅客列車は専ら中長距離客向けながらの区間列車も存在するため、2大都市の基幹駅・Sai Gon~Ha Noi間を結ぶ列車は5往復のみの設定となっており、1700㎞強の距離を最速30時間弱で結んでいます。

2大都市間を結ぶ列車は、1往復を除きSEと呼ばれる最優等種別で、MAKIKYUがSai Gon~Ha Noiで乗車した列車もSEですが、全区間乗車だけでなく途中駅で乗降する乗客も多い事もあり、2種類の寝台車(ソフトベッド・ハードベッド)と2種類の座席車(ソフトシート・ハードシート)が混結された長編成となっています。

 
MAKIKYUが乗車したSEの牽引機も、最初は「DOI MOI」という表記がベトナムらしいと感じる角張った形状のディーゼル機関車が牽引していたものの、運行距離が長い事もあってか途中で機関車交代もあり、もう少し新し目で丸っこい形状のディーゼル機関車に交代していました。

乗車した客車はベトナム国鉄の中では最上級のソフトベッド、中国の軟臥とほぼ同等の車両で、格付けとしては日本のA寝台に近いものの、設備的には中国の軟臥と同様に2段式の開放室B寝台と同レベルと言った車両です。


外観は青と赤のツートンカラー、ベトナム国鉄の客車は各等級共にこの塗装ばかりで、外観は余り綺麗とは言い難い印象。

 
ただ車内は綺麗に整備されており、荒廃が進んだ日本の客車寝台末期よりは状態も良好と感じたものでした。


ベトナム国鉄の乗車券はレシート上の感熱紙、券面にQRコードが印刷されているのが大きな特徴で、韓国KORAILの窓口発券乗車券とよく似た雰囲気と感じたものです。

Sai Gon~Ha Noiのソフトベッド上段乗車券は1251000VND、数字の単位がかなり大きいベトナムドンだけあって凄まじい数字と感じますが、日本円に換算すると6200円強となります。

ベトナムの物価を考慮すると決して安いとは言い難いものの、JRならB寝台の寝台料金だけでも6480円かそれ以上を要しますので、定期列車1列車の乗車だと日本では経験できない距離を移動する事も考慮すると、列車で移動できる余裕があるなら是非…と感じたものです。

単線非電化である事に加え、メーターゲージという規格も影響してか、2大都市間を結ぶベトナムの大動脈とも言える統一鉄道でも、日本の亜幹線に近い雰囲気が漂っていると感じたものです。


途中駅もコンパクトな構造で簡素な駅が多く、跨線橋がなく線路上を横断して列車に乗車する事もしばしば、同じ社会主義国でも隣国・中華人民共和国の大規模な駅設備などとは雰囲気も大違いと感じたものです。

 
車窓は南国ならではの農村風景をはじめ、日本の田舎とよく似た田園風景などが拡がる区間も多く存在。


2大都市のほぼ中間辺りに位置するダナンを出発し、少しハノイ方面(北方)に進んだ山越えの区間は、旧曲線の続く勾配線をゆっくりと運行。


この区間では眼下のオーシャンビューも絶景でしたが、しかしながら2大都市間を結ぶ列車も時間帯によってはこの区間を夜間帯に通過しますので、もし旅程を調整できるならこの区間の車窓を眺める事が出来る列車に乗車した方が…と感じたものでした。


またMAKIKYUが乗車した列車は車中2泊の長丁場、他にも長時間乗車の乗客が多数いる事もあり、車販弁当や乗務員の食事供給も兼ねた食堂車も1両連結されています。


2日目の夕食は食堂車を利用、メニューは限られており利用時に注文できた食事類は定食1種類のみでしたが、この定食は40000VND(約200円)と割安で、さっぱりとした味付けのおかずやスープなども悪くないと感じたものでした。
(飲物は別料金・またメニュー表にはフォーなどの表記もありました)


車内では食堂車だけでなく、2日目の昼食でワゴン巡回販売も利用したものでしたが、こちらもVND40000で内容的には食堂車内の定食と大差なく、学校給食を連想するトレー(食後に係員が回収)に盛り付けての提供が印象的でした。


車内販売では食事類以外にも菓子類やデザート、飲料などの販売も随時実施しており、朝食時間帯にはアイスコーヒー(VND15000)も購入したものでしたが、こちらは注文時にコーヒーの注入量が少なくこれしか…と思ったものの、今までに飲んだ事がないと言っても良い程濃厚で氷が少し解けるまで飲むのに難儀する程、コーヒーの本場だけあると感じたものでした。

ベトナムでは統一鉄道のSE寝台車以外にローカル列車の座席車にも何度か乗車しており、こちらに関しても近日中に別記事で追って取り上げたいと思います。



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