去る3月30日に横浜では、市営地下鉄の新路線・グリーンラインが晴れて開業となりましたが、その新路線で使用される車両が10000形と呼ばれる車両で、MAKIKYUも開業当日に乗車する機会がありましたので、取り上げたいと思います。
同線は線路幅こそ既存路線(ブルーライン)と同様の標準軌(1435mm)ですが、建設費削減も兼ねて車両限界は小さくなっていますので、リニアモーター駆動を採用した小型車両となっているのが特徴で、既存のブルーラインとは車両の互換性はなく、車両のデザインや外観を見ても、ブルーラインとは全く別物と言えます。
おまけに車内の内装(既存のリニア地下鉄の中では、格段と言える福岡の七隈線には及ばない気がしますが、出来栄えはまあまあの部類に入るかと思います)や自動放送なども、ブルーラインとは全く異なりますので、グリーンラインのこの車両に乗車していると、センター北~センター南の1駅間ではブルーラインと並行する状況であるにも関わらず、同じ事業者が運営する路線?と思ってしまう程です。
ただ全席優先席制を採用し、これに関連するステッカーが貼られている事や、車内の座席モケットが1色のみとなっている事、首都圏の他鉄道事業者では広く普及しているオレンジ色のつり革(優先席付近が該当・全席優先席では必要性なし)が見当たらない事などで、辛うじて横浜市交通局の電車と感じさせられる状況です。
(首都圏の地下鉄では東京メトロは路線毎に個性を打ち出しながらも、どの路線を利用しても東京メトロの電車に乗車しているという一貫性を感じるのに対し、東京都交通局も路線によってバラバラですので、一貫性のなさは今後首都圏公営地下鉄の特徴になるのかもしれませんが…)
またグリーンラインは日吉~中山間が開業したばかりで、当面はこの区間を各駅停車のみが走る状況であろうと推測(区間も短いですし、途中に退避設備などもありませんので…)されるにも関わらず、車両の行先表示LEDは種別(普通)を表示しているのが大きな特徴で、他路線との乗り入れやホームの共用などがないにも関わらず、ご丁寧にも行先と路線名を交互表示する仕様となっていますが、これも果たしてこの路線では必要なのだろうかと感じさせられます。
(横浜市交通局もブルーラインであれば、新羽や上永谷の駅設備を活用して急行運転もできそうで、路線の長さなども考えると、こちらは種別表示があってもおかしくない気がするのですが…)
ちなみにこの形式の試作車両が登場した頃には路線名が決まっておらず、グリーンライン(終点の中山は緑区ですので「緑線」でも良さそうですが、日本の路線名ではあまり事例のない英名の方がインパクトがあると感じます)という路線名が決まってから、初期に導入された車両は窓周りのカラーテープが貼り直されており、営業運転開始前に早くも塗装変更されたという異色の経歴を持っているのも特徴です。
(塗装変更前の車両に関しては、以前「MAKIKYUのページ」で取り上げた事があり、興味のある方はこちらをクリックして下さい)
横浜市交通局では既存路線(ブルーライン)と随分様相の異なる路線として開通したグリーンライン、開業当日に乗車した際の駅の様子なども追って取り上げたいと思いますが、横浜市民の一人(現在MAKIKYUは横浜市某区民の一員です)としても、末永く市民をはじめ多くの人に愛される路線として走り続ける事を願いたいものです。
写真は10000形電車の外観(2枚の写真は、前面LED表示の違いに注目)と、車内の様子です。