みみずく医者の備忘録

名古屋市名東区の内科開業医です。日々の出来事や診察室でのエピソードなどを織り交ぜて綴ります。個人的なメモ代わりです。

膠原病

2015-08-06 13:53:58 | その他
膠原病
◎膠原病とは  膠原線維の炎症と変性

膠原病という名前は、一つの病気を指し示しているのではなく、ある共通の病的変化を起こしてくる病気をひとまとめにした呼び名です。
ちょうど、腎臓病とか心臓病とかいうのと同じように、一種の分類名と考えてもよいと思います。
皮膚、血管、関節などではそれぞれがばらばらにならないようにお互いを結びつけている組織があります。
それを膠原線維と呼んでいます。
この膠原線維に炎症が起こり、そのあとにフィブリノイド変性という変化を残すのが膠原病です。膠原線維は全身に分布していますので、膠原病は全身性の炎症性疾患ともいえます。

◎どんな病気か   6つの病気が含まれます
膠原病には6つの病気が合まれます。
すなわち、全身性エリテマトーデス、強皮症、皮膚筋炎(あるいは多発性筋炎)、結節性多発動脈炎、慢性関節リウマチ、リウマチ熱です。
どの病気も原因がまだわかっておりませんが、リウマチ熱だけは溶連菌に感染して、2~3週前後で発病してきます。
いずれの病気も経過は慢性でよくなったり、悪くなったりを繰り返します。
各自に特徴的な症状がありますが、共通する症状も多いので、病気のはじまりではしばしば診断が困難なことがあります。
共通する主な症状は、長く続く原因不明の発熱、関節痛(炎)、リンパ節の腫れ、レイノー現象(寒い時に手指が白くなったり、紫色になったりすること)などがあります。

◎治療法は ・・・ 定期的に検査を
療法は ・・・ 定期的に検査を共通する症状が多いからといって、治療法や看護の仕方は同一ではありません。
膠原病というとすぐ副腎皮質ステロイド剤が頭に浮かぶほど、この薬の名前も有名になりました。しかしこの薬は全身性エリテマトーデス、皮膚筋炎と結節性多発動脈炎ではしばしば使われま
すが、その他の病気ではよほどのことがないかぎり一般には使用しません。

いずれの病気も全身病で、経過が慢性であることと、使用する薬によっては重篤な副作用もありますので、定期的に検査を行なう必要があります。
その検査結果をみながら、その都度治療法を
決めています。

指導・北里大学内科助教授(当時) 柏崎 禎夫


出典
日医ニュース 昭和59年3月20日 第541号「24時間の医学」N0.323より転載

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