ビールを飲みながら考えてみた…

日常の中でふっと感じたことを、テーマもなく、つれづれなるままに断片を切り取っていく作業です。

オンキョーも参戦!音楽配信「高音質」は差別化になるか

2005年08月07日 | コンテンツビジネス
iTMSの日本進出によって、既存の音楽配信サイトが続々対抗値下げをしているけれど、そんな中オンキヨーは8月5日、24biの高品質音楽配信サービス「e-onkyo music store」の提供を発表した。価格はiTMS後ではちょっと高めの200円から255円とのこと。果たして勝ち目はあるのだろうか。

 オンキヨー、音楽配信サービス「e-onkyo music store」を開始--24bitの高品質で勝負

 有料音楽配信サービス各社が一斉に値下げ--iTMSの影響強し


iTMSの功罪の「罪」の部分として、音楽コンテンツのデフレを招いたことが挙げられる。それまでのパッケージビジネスであればシングルCDで700円~1000円/枚(2曲+カラオケバージョンなど)。1曲あたりは350円~500円、しかしあくまで2曲セットのバンドル販売なので販売単価は700円~だ。それに比べてiTMSは1曲毎の販売で価格は150円/曲。販売単価でいえば、1/4以下だ。

もちろんこれらはビジネスモデルが違うからで一概にどちらが総収入が多いかは分からない。ただiTMS以前の音楽配信の総崩れ現象や、海外の事情はどうか分からないけれどWinnyやWinMXの他に「携帯電話」「レンタルCD」という競合があるだけに、なかなか微妙なところだろう。

そうはいってもこのiPodの普及状態を考えるとiTMSはそれなりの売上があがるだろう。ではそんな中で新たに立ち上げる音楽配信サービスには何が必要となるのだろうか。

サブスプリクションモデルやNiftyのように携帯との連携というものもあるだろうが、個人的にはこの「高音質配信」には注目したい。

これまではCDが音楽流通の主役であり、レコードよりも手軽にいい音が楽しめるということもあってその普及率は高かったのだけれど、オーディオマニアやレコードファン、クラシックコンサートに行く人なら、CDの音が物足りないという経験はあるだろう。それがMP3やAACとして、より手軽に「それなり」にいい音が聞けるようになったわけだけれど、それはあくまで「それなり」の音質でしかない。要はCDでも満足していなかった層にとっては、より劣悪な環境になったに過ぎない。

その一方でパッケージメディアが中心の頃は、当然大手レコード会社が流通手段を押さえていたわけだけれど、「中抜き」メディアである「インターネット」の登場は流通革命をもたらした。顧客との接点は「インターネット」を通じて日本中、あるいは世界にまで及び、仮に自主制作CDを作ったとしても店舗やレコード会社の流通網を気にせずに販売することが可能となった。そして音楽配信――。こうなるとパッケージを作る必要さえないから、最小限の製作コストで音楽を提供することが可能となる。

そう考えると、個人的には、クラシックやJAZZ、あるいはアコースティック系の音楽を中心に、多少高くてもいいから本当にいい音を求めている人たちに、いい音を視聴できる環境を提供して欲しいと思う。以前にも書いたが、コンサートという「生」の体験とCDというパッケージによる視聴体験では、手軽さといったメリットがあるにしても、その差を埋めることのできない「差」があるのだ。だから地方の人が高いお金を払ってでもサントリーホールまでコンサートを聞きに行くのである。この「差」の間を埋めることのできるものがあれば、そこには新しい市場が生じるだろう。

 ゾクゾクする「音」空間

 「高品質」と「高再現性」が開く音楽配信の未来

もちろんそのためには視聴環境も重要であり、データを受信できる「PC」からいい音を再生できる「オーディオ機器」までをトータルで提案する必要がある。既存の音楽配信のようにPDPに縛られる必要もないし、むしろPCからアンプへの正しい道筋を提案すればいい。そういう意味ではiPod/iTMSとは必ずしも競合するものではない。また本当に「音」の感動を求めている人たちを相手にしようというのであれば、「globe」ではなく、クラシックやJAZZを提供しなければならないだろう。それらを聞く層は本当にそれだけの感動を与えてくれるのであれば2000円でも3000円でも払うのだから。



 本命上陸!iTMS、日本市場攻略の課題

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