ビールを飲みながら考えてみた…

日常の中でふっと感じたことを、テーマもなく、つれづれなるままに断片を切り取っていく作業です。

ネットワークの開通工事のオペレーションとOPEN化

2012年06月25日 | ネットワーク
仕事柄、ネットワークの構築を行うことが多いのだけれど、そんな時に苦労するのが、IP-VPNなどのネットワーク回線を開通させるための工事調整。ネットワークのポリシーの設計だとか、Configの設定だとか、そんな知識や技能が必要な話ではなく、お客様と通信キャリアと、場合によってはテナントビルの管理者などとの日程調整だといえばそれだけの話。ただこの作業が実際にはなかなか苦労する。

まず1つのVPN回線を引くだけで3~4回の作業が発生する。大まかに言うと、まず回線を敷設する場所への1)現地調査、NTTの局から建物のPD盤まで光回線を引き込むための2)アクセス工事、PD盤から建物内の引き込む場所までの3)宅内工事及び開通試験だ。これらの作業が1ステップ毎に発生するため、いざネットワーク回線を引こうと思っても申込から1~2ヶ月かかるなんて事もある。しかも1つの工事工程ごとに日程調整が発生し、それもこちらの希望日どおりに実施されるとは限らない。

もちろん作業員のリソースは限られているし、そのために工事が重なればお客さんの間で日程を取り合いになるのも仕方がない。もちろんお客さんの側の都合があるにしても、それはどこも同じ、約款にしたがって同じ料金を払う以上、希望がかなうかどうかは分からない。しかし、だからこそ、ここでお客さんの希望日程を「調整」できるかどうか、社内で融通を利かせられるかどうかが「営業」の能力とみなす節がある。そして反対にそれができない営業に対しては、「何でできないんだ」と日程調整を無理強いしている感がある。

しかし果たしてこのような仕組みは適切なのだろうか。

例えば限られたリソースを多くのお客さんで取り合うというプロセスを考えた場合、全く対照的なアプローチの例が飛行機の「空席予約」の仕組みだ。

ANAにしろJALにしろ1機の飛行機の座席数は限られている。特定の日時・場所へ行きたい利用者の間で該当の便の座席が取り合いになることになる。その際、航空会社ではその座席数というリソースをOPENにし、利用者が自らがWEB上の予約画面から、利用したい便の、利用したい座席を予約できるようにしている。

利用者の中には必ずしもその便である必要のない人もいるだろうし、急にどうしてもその便に乗らなくてはならなくなった人もいるだろう。そして本当に必要な人が必ずしもその便に乗れるとは限らない。それでもこのシステムで必ずしも不満が出ないのは、透明性が確保されていることと、利用者自らがハンドリングできることにあるだろう。乗りたい便に乗れないと分かったら、直ぐに他の便の空き座席を探すといったことができるのだ。

そこには「ブラックボックス」化したリソース配分の仕組みも「調整力」といった不透明なルールも存在しない。利用者の「納得感」があるのだ。

かって専用線がまだ高価で特定の大口ユーザーが利用者の中心であった時代であれば、こうした不透明な仕組みであっても不満は少なかったかもしれない。大口のユーザーには社内でも影響力のある営業が担当となっていたであろうし、まだ全体的に余裕をもってそれぞれの日程調整を行うような風潮だっただろう。

しかしもはや世界は変わってしまった。大企業はもちろん、中堅・中小企業にとってもネットワークは生命線であり、接続される拠点数も膨大だ。さらには1つの企業内ネットワークに閉じているわけではなく、複数の企業が相互接続し、それぞれのサービスを連携させているなんてことも当たり前のようにある。もはやネットワーク回線は希少価値ではなく、大多数のユーザーに導入され、利用される「消費財」のような存在となったのだ。

そうした状況の変化によって、例え同じような工程であったとしても、導入までのオペレーションも変化が求められるのだろう。よりOPENに、より迅速に…

こう書いていて気になったのだけれど、果たしてこの流れは回線工事だけのものだろうか。これまでの多くの日本の制度・システムがこれと同様の状態だったのではないだろうか。何故、震災後にSPEEDYの情報が公開されなかったのか。アメリカの軍用機の測定した放射線情報を得ていながら公開しなかったのか、さらには何故その事実を隠したのか。そして市民の怒りとは何なのか。

かっては保護の対象だった市民も、理性や市民としての成熟度が高まり、彼ら自身が自ら判断することを望みだし、その情報を阻害したものに対する怒りだったのではないか。自ら判断するという「納得感」こそ望んでいるのだろう。


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1 コメント

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Unknown (さんちょぱぱ)
2012-06-30 20:16:48
確かに、回線工事の日時はクセモノだよね。

なかなか思った通りにいかないし、営業に言ったことが、現場の作業員に伝わってないってことは、よくあるし。

説明から作業まで、スキルの差、あるしね。

でも、基本は丸投げ!だよー!
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