ビールを飲みながら考えてみた…

日常の中でふっと感じたことを、テーマもなく、つれづれなるままに断片を切り取っていく作業です。

OpenFlowブームから見るB向ネットワークの次のトレンド

2012年03月21日 | ネットワーク
何らかのトレンドを作り出すような大きな変化というのは、技術的なイノベーションかビジネスモデルの変化によってもたらされる。例えば日本がブロードバンド大国となったのは、その前段としてはLAN機器のコストダウンのようなものもあったにしろ、技術的なイノベーションというよりは、NTT側の価格設定(投資に対する考え方の変更とそれを容認した総務省側の意図)によるものが大きい。

ただこれが企業側のネットワークのここ10年のトレンドというと技術的な変化があったといえる。B向けのネットワークのトレンドというのは、「IP-VPN」や「広域イーサ」といったデータ通信に特化したネットワークのことだ。

それ以前のデータ系ネットワークというと、ハイスペックな品質をもった高品質型の専用線(HSDなど)やエントリー型の専用線(DA128、DA1500など)、あるいはデータ量が少なければバケット通信といったラインナップ。基幹系システムだけであればこれでも良かったのかもしれないが、本格的に企業内でもインターネットが利用され始めると専用線を中心としたネットワーク構成では帯域不足と料金とのバランスが釣り合わなくなる。かといって各拠点にBフレッツを引いてインターネットVPNで結ぶというのはセキュリティ的に心配だ。

そうした中で生まれたのが「IP-VPN」や「広域イーサ」という手法。これらはデータ通信の特性を踏まえた上で、網型のサービスとした上で、エンド~エンドの帯域を保証するわけではないがお客様全体のトラヒック量を平均化することで(統計多重)、網内の設備を有効活用し品質とセキュリティを担保したままコストダウンを図るというもの。

「IP-VPN」ではIPに限ることで、「広域イーサ」ではマルチプロトコルでの対応を可能とし、そうしたデータ系専用のネットワークを提供することとなった。

当初はこうしたデータ系ネットワークも網部分に接続するためのアクセス部分については、帯域を保証した専用線型のサービスを利用することが多かったが、バーストトラヒックにも対応したアクセス回線が登場する(WVS、バーストイーサ)。

例えばセンター型の情報システムの場合、当然、サーバの設置された拠点への通信量が大きくなる。ピーク時のトラヒックに対応できるように1Gbpsの帯域保証型のアクセスラインを用意することは可能だが、当然、コストは高くなる。しかもピーク時は1Gbps近いとしても平均すると300Mbps前後なんてこともある。

そこでこのバースト型のアクセスラインでは帯域を保証するのは高くないが(ex.100Mbps)、ネットワークが空いていれば最大1Gbpsまで出ますよというサービス。混雑度しだいで速度は可変し、1Gbpsは出なくても平均速度としては400~500Mbpsくらいとなり、料金も保証帯域と最大速度の間くらいとなる。

B向けのネットワークサービスというのは、データ通信の特性にあわせた形で帯域の増加とコストパフォーマンスの適合化を続けてきたといってもいい。

では今後のB向けのトレンドはどのようなものであろうか。

当然、コストパフォーマンスを優先していくとなるとIP-VPNや広域イーサからNGNを利用したVPNサービス、インターネットVPNへの流れというのはあるだろう。これまでのフレッツ網に比べてもNGNの信頼性は高まっているし、ネイティブIPv6ネットワークへ切り替えるというのであればこの選択肢は有効だ。

その一方でディザスタ・リカバリを考慮し、サーバの設置場所やネットワーク構成を固定するのではなく、サーバやネットワークそのものを仮想化するという考え方もある。実際、そのためのキーとなる技術「Open Flow」が今年のキーワードの1つだ。

サーバを仮想化し、いつでもどこでもライブマイグレーションを可能とし、そのためにネットワークを仮想化するためには、通信キャリアが提供するネットワークサービスはどのようなものになるのだろうか。

大雑把にいうと、1)各拠点への大容量のインフラ(光など)の整備と2)オンデマンドでのセッションや帯域の管理、3)お客様側でのコントロール の3つを実現する必要がある。

ライブマイグレーションを前提とした仮想化された情報システムを構築するということは、ネットワーク側からすると、いつどこでどこ向けのセッションが発生し、どれだけの帯域が必要になるのかという点に対して「柔軟」に対応できなければいけない。

普段使わないバックアップようの仮想サーバに対しては、サーバリソースもネットワーク帯域もお金をかけたくないが、いざ切り替わったときには即座に仮想サーバの処理能力を高め、広帯域のアクセスラインを用意したい。拠点側側からのサーバへの接続もはじめから両方へのセッションを用意し管理するのではなく、必要に応じて即座に切り替えられるのであれば、1つのセッションの管理の方が簡便だ。

低帯域から広帯域、1セッションから複数セッションまで対応でる大容量のインフラが整備さえされていれば、情報システムの一部として有機的・ソフトウェア的にサーバリソースから網や機器のセッション管理が行われる時代へ。まだまだハードルは高いのだろうか、B向けのネットワークサービスはこうしたトレンドへと向かっていくのだろう。


通信キャリアにとってのグローバル化とOpenFlow - ビールを飲みながら考えてみた…

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