ビールを飲みながら考えてみた…

日常の中でふっと感じたことを、テーマもなく、つれづれなるままに断片を切り取っていく作業です。

ホテルの朝食を食べながら考えてみた

2011年07月08日 | ビジネス
出張先で懇親会を終えて夜の10時前にチェックインした時には、フロントにいる2人くらいしか従業員は見かけなかったのだけれど、翌日になって、ホテルのレストランで朝食をとろうとした時、その従業員の多さにびっくり。

金額も決して安いホテルではなかったし、楽天トラベルの評価もそれなりで、ある程度の品質が確保されたホテルなのだろう。フロントと案内係で5人くらい、レストランでも2~3人くらいがお客の案内や朝食を運んだりしている。これで厨房の人などもいれると、10人くらいがこの場で対応をしているということか。

ホテルというのは、固定費の高い産業なのだろう。

先に「ホテル」という施設に投資を行い、接客や運営に必要な従業員を用意する。これはお客さんがいようがいまいが必要な「費用」だ。収入があろうがなかろうが、これら固定費が発生することになる。

そのためホテルには稼働率をどのように上げるかということが大事になる。損益分岐点(≒固定費)を超えて稼働率(≒収入)があれば黒字だし、足りなければ赤字ということになる。ホテルなんかで、当日に宿泊料が格安になるのたはそういった理由だ。

しかしホテル業界というのは非常に厳しい状況に置かれている。企業自体が宿泊出張を自粛させているし、3.11以降は外国人観光客も減っている。何よりも日本は人口縮小社会だ。いくらアクティブシニアが増えたとはいえ、それにしたって限界はある。

ホテル数は飽和状態だし、かといって施設そのもののメンテナンスやリプレイスは必要不可欠だ。スマートフォンやWifiのゲーム機が増えれば、それへの対応も必要になる。魅力のないホテルではお客さんが離れてしまう。常に求められる環境を用意し続けなければならない。

利用者が減れば競争の激化を生み、当然それは価格競争を引き起こす。稼働率をキープできたとしても、客単価が下がれば収入は目減りする。

僕らSIerからすると、ICTを活用することでサービス品質を落とさずにコストダウンを測りましょう~と言ってあげたいところだけれど、ホテルというのはある意味、労働集約型産業でもある。このホテルのように「接客品質」「(従業員による)おもてなし」がウリになっているような場合、単純に業務をITに置き換えるという訳にはいかない。対応した内容(結果)でけでなく、対応の仕方(プロセス)そのものがこのホテルの品質を決めているのだから。

所謂、ホテル向けソリューション、ホテルシステムと言われるラインナップがあるのだけれど、それらはやはり客室の環境管理だったり、業務支援だったり、宿泊管理だったりだ。お客さんに対してのサービス向上に寄与するというものではない。

お客さんへの「おもてなし」をICTによって実現する。顧客満足度を維持したままコスト削減を実現する――こうした新しいコンセプトを具現化し提案できることがSierには求められているのだろう。

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