原作の島村和彦のマンガを知っている人間にとっては、あのシマムラの熱血系パロディ的世界観を実写にすることほど無謀なことはない、と思いつつも、「少林サッカー」のあの「お馬鹿さ」に対抗できるとしたら、またシマムラの作品しかないだろうとも思う。オープニングこそぎこちなさが残っているが、話が進むにつれ(慣れるにつれ?)魅力的なお馬鹿さに仕上がって作品。
全力学園の弱小野球部キャプテン・不屈闘志(玉山鉄 . . . 本文を読む
京都という街は不思議なところでただの歴史ある地方都市というだけではなく、「左翼」と「右翼」「在日朝鮮人問題」「同和問題」というものが狭い街の中に混在している。大学構内を覗けば、「民青派」やら「革マル派」「中核」やらといった文字が記載されたビラが配られ、その一方でそれらを毛嫌いし「天皇」がいかに大事かを話す連中がいる。バスに乗ればチマチョゴリを着た女子学生がいて、「このあたりはだから治安が悪い」 . . . 本文を読む
こうした大規模な戦闘もの・アクションものとなるとどうしてこう日本映画って下手くそなんだろうか。リアリティがないからか、すっかり平和ボケしてしまっているからか、あるいはたんに作品自体が面白くないだけか。いずれにしろこれがハリウッド映画だともうちょっと違う感じで受け取っただろうし、韓国映画だったとしてももうちょっと感情移入できたのかもしれない。真田広之はがんばっていたし、そうそうたる面々が出ている。ベ . . . 本文を読む
常に最適なオペレーションを提供するためには、オペレーティングシステムといえども開発した状態ではいられない。それは時には「パッチ」というような形式でもよいのかもしれないが、ソフトウェアのバージョンアップそのものが必要になることもある――ということがこの映画のテーマなのだろうか?あるいは完璧なシステムなど存在せずある種の不確実性を内包することでより安定的なシステムを構築することができる、ということか。 . . . 本文を読む
ロン・ハワードに駄作なし、というと言い過ぎかもしれないが、個人的には監督の名前で映画を見てもいいかなという人の1人だ。「コクーン」「バックドラフト」「アポロ13」「身代金」、それにアカデミー賞を受賞した「ビューティフル・マインド」などなど。基本的には派手な映像美やCG、斬新なカット割を使ったりするのではなく、オーソドックスにヒューマン・ドラマとして「物語」を創りあげていくタイプ。だからこそ安心して . . . 本文を読む
静かに淡々としつつ、決してサスペンス映画にありがちなおどろおどろしさはないものの、その説明的な描写などはあきらかに映画的な作り。麻生久美子と豊川悦司との間の微妙な距離感も終わってしまえば納得という感じ。公式サイトに従えば「映画化は絶対に不可能と言われつづけた、禁断のサイコ・スリラー」。
相次いで惨殺された2人の女子高生。喉元にハサミが十字架のように突き立てられた遺体の様子から、マスコミは犯人 . . . 本文を読む
海の映像の美しさや穏やかさに心馳せることもあるだろうが、現実の「海」に生きるものたちは必ずしもそんなに甘いものではないようだ。ハシナガイルカ、アシカ、シャチ、鰯の大群や海鳥、サンゴ礁など海で生きる動物たちにとっては「生」と「死」が繰り返される世界なのだ。その様子をカメラはとらえ続けるのだが、不思議とそこに残酷さはない。製作7年、ロケ地200ヶ所、撮影7000時間-。奇跡と執念の海洋ドキュメンタリー . . . 本文を読む
「シンドラーのリスト」「プライベート・ライアン」に続き、奇才・スティーブン・スピルバーグが送る歴史大作。ミュンヘン・オリンピックで実際に起きたテロ事件をもとに、暗殺を命じられたイスラエルのメンバーたちの苦悩を、ユダヤ系のスピルバーグがある意味中立に描いた。なんとも重いテーマだが、決して中だるみすることなく、一気に最後まで見せる力量はさすが。
1972年9月5日、ミュンヘン・オリンピック開催中 . . . 本文を読む
例えばジャパニメーションの影響力がこれだけ凄くとも日本国内でもアニメ映画を馬鹿にする人は多数いる。まぁ、確かにアニメとの出逢いの多くが「サザエさん」「ドラえもん」の家族向けか少年・少女向け番組が殆どであり、そのイメージを引きずっている限り、「子供だまし」的な期待しかできないだろう。しかしこの「千年女優」はロボットもでないし、未来が舞台なわけでもない。にも関わらず、実写ではこれだけの表現はできないと . . . 本文を読む
ほりえもんを時代の寵児だとしてさんざん持ち上げときながら、特捜が査察に入ったとたんにここぞとばかりに叩きまくる、こうしたマスコミの異常さは今に始まったことではないが、この映画を見ていると、マスメディアやジャーナリズムの持つ「危うさ」について考えてしまう。本来であればジャーナリズムとは「社会的正義」を伝えることが原点のはずだ。しかし今、マスメディアには「おごり」や「馴れ合い」、「商業主義」が蔓延して . . . 本文を読む
三谷幸喜ワールド全開!のっけから場内は爆笑。とにかく笑う笑う。にもかかわらず、「ラヂオの時間」「みんなのいえ」と比べてどうだったかと聞かれると、満足度は結構微妙なところかも。三谷幸喜の凄さ故に、コメディ特有の罠に引っかかってしまったというところか。とはいえ誰もが楽しめること間違いない1作。
「ホテルアバンティ」の副支配人である新藤平吉(役所広司)はアシスタントマネージャーの矢部登紀子(戸田恵 . . . 本文を読む
まず脚本が素晴らしい。そしてそれぞれの登場人物がリアルに演じられ、見ている誰もが彼らのちょっとした行動や感情、セリフにおもわずうなずいてしまうんじゃないだろうか。テーマそのものは決して目新しくないものの、この手の中ではもっとも洗練された作品の1つに仕上がっている大人の恋愛ドラマ。
小説家志望のジャーナリスト・ダン(ジュード・ロウ)は、ある日ロンドンの街中で、交通事故に遭遇した若いストリッパー・ア . . . 本文を読む
こういう映画がアカデミー賞をとるところにアメリカの良心を感じる一方、このような結末の映画を大衆か許容できるほど、やはり時代というのが変わってきたのかとも思う。親子とは、家族とは何か、あるいは生きるということはどういうことか、人を愛するとはどういうことか、人がにとっての死のあり方とは…様々な要素を内包しつつ、女性ボクサーと初老のトレーナーとの魂の物語。クリント・イーストウッドの最高傑作。
「自分を . . . 本文を読む
最近、仕事のモチベーションが上がらなくって、これはいけないと一念発起!して、久々に高杉良原作の「金融腐蝕列島 呪縛」を見る。実際に1997年の総会屋利益供与事件で揺れた第一勧銀の改革派「四人組」がモチーフとなっており、悪しき日本型経営を引きずった旧態依然とした「OLD」経営陣に対して、強制捜査という無政府状態のなか、ミドルクラスの四人が立ち上がり改革を引っ張ったという。サラリーマンであれば少なから . . . 本文を読む
最近、いろいろ忙しくて思い映画を見る余裕がないこともあって、軽く見ることができるものをとチョイスした作品。ジム・ジャームッシュということで、過剰に感情移入する必要もないし、僕も喫茶店で他のテーブルを眺めているような気分で鑑賞。
「コーヒー」と「タバコ」をモチーフに様々な登場人物たちが織り成すちょっとした会話をまとめた11篇のショート・ムービー集。「ミステリー・トレイン」や「ナイト・オン・ザ・ . . . 本文を読む