「DEATH NOTE(デスノート)」の漫画版を「面白いですよ」と後輩から薦められて読んだ時ももう1つ乗り切れなかったのだけれど、それはあまりにも物語が作者側の用意された以外の読み方ができなかったからというか、台本を読まされているだけというか、そこからはみ出る想像力や浪漫、感情移入を拒否されているというか、そんな感じがあってもうひとつはまることはできなかったのだけれど、まぁ、なんというか、この映画 . . . 本文を読む
攻殻機動隊のTV版ではあるものの監督は押井守ではなく、「人狼 JIN-ROH」などで演出をつとめた神山健治。そのためか据えられているテーマも押井守が「生命」「身体」「情報」といったどちらかというと「人間」という存在そのものに向いているのに対し、神山がすえた視点というのは社会との関係に向けられている。『GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊』では失踪してしまう草薙素子が、こちらでは失踪 . . . 本文を読む
1971年にアメリカのスタンフォード大学で行われた「スタンフォード監獄実験」をモチーフに、投げ込まれた状況の中で人が「自分」を維持することがどれだけ難しいか、あるいは与えられた情況によって人はいかに非道なものになれるか、を描いた作品。
【ストーリー】
タクシー運転手のタレク(モーリッツ・ブライプトライ)は、模擬刑務所での心理実験に応募する。その実験前夜、彼は、車でタクシーに突っ込んできた . . . 本文を読む
子供の頃に読んだシェークスピアの「ベニスの商人」は、悪徳シャーロットをポーシャの機転で打ち砕き、アントーニオが救われて大団円を迎えるというHAPPY!な「喜劇」だったが、現代向けに再構築されたこの映画はそんなに単純なものではない。あらゆる「正義」が相対化され、利害関係が複雑化した世界のために息吹を吹き込まれた現在版「ヴェニスの商人」は我々に問いかける。この世界こそ「喜劇」ではないか、と。アル・パチ . . . 本文を読む
スピルバーグの映画はどうも性に合わないようで、こうすればお客さんは喜ぶんだろ的な演出がどうも我慢できない。そんな中で数少ないもう一度見てみたいスピルバーグ作品の1つがこれ「マイノリティ・レポート」。トム・クルーズは相変わらずトム・クルーズだし、ストーリーもまぁ、ある程度読めてしまうしというところではあるのだけれど、まぁ、何となくまとまっている感じが○。
【ストーリー】
2054年のワシン . . . 本文を読む
例えば「バックドラフト」では消防士として活躍している兄と消防士としての覚悟を決めきれない弟とが、「リバー・ランズ・スルー・イット」では真面目で秀才の兄と、陽気で才能に恵まれながら自分の生きる道を見いだせない弟とがそれぞれの葛藤を抱えて生きている。もしこれがただの友達であれば、そのまま離れることもできる。しかし兄弟というのはそんなものではない。他者でありながら他者になれない関係。オダギリジョーが主演 . . . 本文を読む
この切なさはどこからくるのだろう。失われた郷愁か、こうあって欲しいという願望か。「ピンポン」「青い春」「竹光侍」などで独自の作風を展開している松本大洋の名作。原作を知っている人も知らない人もお薦めです。
【ストーリー】
義理と人情とヤクザの町、宝町には2人の少年、クロとシロが住みついていた。親を知らない2人は、かつあげやかっぱらいで、毎日を過ごしていた。ある日、昔なじみのヤクザ、ねずみが . . . 本文を読む
久しぶりに北野武監督の「ソナチネ」を観る。これまでもはまった映画が何本もあったが、しかし一番お気に入りの映画は何か、と問われれば間違いなくこの映画だろう。常に「暴力」の世界に生きていた男たちのひと時の休息、人間的な生き方との出会いを通じて、生きることに内在する「暴力性」や「死」があくまで日常に位置することを描き出した作品。これは1つの哲学である。
【予告編】
ソナチネ (1993) - 劇場予告 . . . 本文を読む
ちょっといくつかブログパーツを貼り付けてみます。
特に意味はありません。
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あぁ、gooが指定しているものしか貼れないようです。残念。
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「下妻物語」の鬼才・中島哲也監督と中谷美紀がタッグを組んだ話題作「嫌われ松子の一生」。今年、何故か大ブレークしたBONNIE PINKが出ていたり、完成披露試写会の中谷美紀のコメントが話題を呼んだりと注目を集め、実際、その作品は所謂、「映画」の世界から出てきた監督では作り出せない中島哲也ワールドが繰り広げられている。物語自体はというと、教師からソープ嬢へ、更には殺人、アイドルきちがいのひきこもりと . . . 本文を読む
ひろゆき失踪説が流れていながらも止める止められない「2ちゃんねる」同様、これだけ大きくなりすぎた「YouTube」に対して、海外では「違反だからNG」という対応から「どう活用するか」に力点を置き始めているのだけれど、どうやら日本では相変わらず既得権益をどう維持するかしか頭にはないようだ。
日本の著作権関係23団体・事業者の要請で、YouTubeが約3万の著作権侵害ファイルを削除 - CNET J . . . 本文を読む
世界の巨匠・北野武にして公開から終了までが1週間だったか2週間だったかというのは、名作「ソナチネ」以来のことだったのではないかあまりの公開期間の短さに、思わず見逃してしまったが、その間に聞いた感想で肯定的なものは何一つない。いずれにしろ、「その男、凶暴につき」以来の北野武ファンにとっては、他者の評価など関係ない。「3-4x10月」がなければ「ソナチネ」が生まれなかったように、北野武の映画はその作品 . . . 本文を読む
「今まで1番泣いた映画は?」と聞かれたら、この映画はその候補の1つにあげるだろう。「いまを生きる」や「陽のあたる教室」に比べたら無名に近いかもしれないが、この実話に基づいて描かれた物語は、必要以上に感動的な演出がないからこそ、リアルに直接、見るものの心を打つ。ただ泣ける、ただ心震える、そんな秀作。
独自の教育方針で知られる海洋学校、オーシャン・アカデミーに入学した17歳のチャック(スコット . . . 本文を読む
現実が「正義」と「悪」に分かれていて、「原因」と「帰結」が明確で、努力をうれば常に「明るい未来」が保証されているのであれば、この物語は必要ないのだろう。昔読んだ「童話」のように、昔見たTVドラマのように。でも現実はそんなに分かりやすくはない。それはこの物語のロスだけではなく、警官を信じられず、教師を信じられず、あるいは母親でさえ信じられない日本でも同じなのだろう。決して、明るくはない物語。しかし絶 . . . 本文を読む
原作の想いを踏襲できたかどうかは別として過激な映像とスリリングな展開で成功を収めた「オールド・ボーイ」の監督パク・チャヌクの復讐三部作の第三弾。「オールド・ボーイ」ほどではないものの、過激な映像表現と他の韓国映画とは一線を画する佳作。
天使のような美貌と残忍な手口で世間を騒然とさせた幼児誘拐事件の犯人クムジャ(イ・ヨンエ)は、服役中、誰に対しても優しい微笑を絶やさなかったことから「親切なクム . . . 本文を読む