今、天路の旅人(沢木耕太郎著)を読んでいる。


まだまだ前半。
第二次世界大戦中の中国の最北部への密偵記録である。
少しだけ普通の旅行記とは違う。
当時の日本に覆っていた『お国のために』という気持ちのベースが主人公に存在している点。
死生観が現代とは違い、誰もが死と隣り合わせであり、報国という概念が当たり前に存在していたのだろうな、と思ってしまう。

駱駝を連れて、雪道を行くというシチュエーションが前半だが、この過酷さと裏腹に妙な憧憬とも重なる。
何なんだろうと考えてみたら、スターウォーズ帝国の逆襲の冒頭の雪中シーンを思い出していた。
旅行記は一晩を何ページも割いて克明に記す時もあるが、1行で数日が語られていることもある。
沢木耕太郎の手にかかると、読書が物凄くリアルな旅行時間に化ける。主人公に去来する想いも想像出来てしまう。
ウヰスキーのストレートをチビチビ飲む感じで読むのも一興。
石田ゆうすけ著の『行かずに死ねるか』の釣りのシーンは絶品だったなぁとか思い出してる。

良き日曜をお過ごしくだされ!