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武士の家計簿の推薦2 (あとがきに寄せて)

2011-01-14 06:38:03 | 推薦します!
あとがきを読んで思ったことを忘れないように書いておきます。

著者は、混迷を極める現在の解を明治維新という大変動期を生きた武士の生活に求め、そのボールを投げ、歴史からの返球を待ったと書いています。
「歴史とは過去と現在のキャッチボールである」というのです。

歴史は決して暗記物なんかじゃないという主張が満ちています。

ある一つの社会経済体制が崩壊するときに、過去の人々はどう対応したのか。現代もそういう時期にあるのではないか。


人間には寿命という制限があり、前の世代が経験したこと、それを一からもう一度繰り返したり(若気の至りといったことなど)、変貌を遂げていく世代ごとの交代を繰り返して歩んでいく。だから叡智は汲み上げ汲み上げしていく必要と検証を繰り返していき、黒歴史を繰り返さない、避けれることは避けることが出来なければいけない、という観念と、そこから導く道徳観で新しい歴史を作り上げることもある。
(日本人の持っている道徳感は、よせでは裏切られることもあるので注意が必要)

ただ時代の混迷は姿形を変えて現れる。だから歴史で見られた状況とはまったく同じというわけではないかもしれないが。。。それでも同じようなシュチュエーションがないことはない。




この家族は家計簿だけでなく、書簡にそのお金の使い方などの詳細や考えなどを記し、士分という身分の放棄という事態と直面していた。
日記や手紙、それと家計簿という珍しい古文書が、時事と自分を照らして残っていたという奇跡が時代の持っていた空気をパッキングしているところから甦った。

「武士の家計簿」、ここに書かれていること、実はこれは単なる一つの解ではない。

基本、最後は子供の教育に注力して御家の未来を託していくというのが最終的な解のように見えるが実はそれだけではない。


この一家は政府の高官になることで活路を見出し、武士という身分制度の崩壊を乗り越えていったのだが、最後はかなりのスキャンダルに巻き込まれてこの一家は崩壊を迎えてしまうのである。トカゲの尻尾きりの尻尾にされたというのだ。


だから、これも一つの教訓として読まれることも必要である。そこはやはり映画とは違う結末なのである。面白い新書でありました。
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