美術と本と映画好き...
徒然と(美術と本と映画好き...)




先日の『老人と海』に継いで、主人公の男臭さを感じさせる小説を
読みました。これは短編集で、鰻、闘牛、蛍、鴨、羆、錦鯉、海馬、
と様々な動物を狂言回しに人の欲望、

この本は、監督今村昌平、主演役所広司のカンヌでグランプリを受
賞した『うなぎ』という映画の原作が収録されていたの買った文庫
本。かれこれ十年前に買ったのですが、何度か挑戦して、その度に
読み切ることができなかったところを、今回は一気に読んでしまい
ました。

きっかけは夏休みに札幌へ行ったとき、往路の北斗星で仲良くなっ
たおじさんと知床話に花を咲かせたときに、吉村昭の名前が出てき
たからです。

この短編集はもともと文芸誌に掲載されていたもので、鰻、闘牛、
蛍、あたりは訳あって独り身の主人公が、身近な女性の自分に対す
る淡い気持ちを少しずつ感じとっていくようなお話です。登場する
女性は皆、陰があって控えめです。何かいかにも親父好みの都合の
よい物語のような気がして、ちょっと読むのが辛かったのですが...

鴨あたりから様子は変わってきます。

息子が陰ある女性に惹かれていくのをそっと見守るお父さん、ある
いは『老人と海』よろしく羆と対決する初老の男、錦鯉を偏愛する
孤独な男、そして、不幸な少女を幸せに導く決意を持った海馬撃ち
の少年...

泥臭い人間描写と細かなところまで取材された動物の生態に、とて
も引き込まれてしまいました。そういえば、映画の『うなぎ』も今
村昌平らしく、泥臭く、熱い映画でした...久しぶりに観たくなって
きたなぁ...

海馬 吉村昭
うなぎ 完全版
・『老人と海』の感想

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