マティスとボナール 地中海の光の中へ(神奈川県立近代美術館葉山館)

お茶会のあとに寄ってきました...

あちらこちらのブログから聴こえてくる川村記念館での評判を読ん
でいたのでとても期待していました。期待にたがわない展覧会でし
た。ここのところ刺激の強い展覧会や、参加する展覧会などが多か
ったので、久しぶりにゆったりのんびり作品を楽しむ感にひたれた
展覧会でした。

ボナールは印象派前後の大きな展覧会で、いつも何点かづつ観たこ
とはあったのですが、これだけの作品を観るのは初めてでした...

初期の作品はロートレックを彷彿とさせます。ポスターで生計をた
てていたところも同じだし、どこか意識するところがあったのでは
ないかな...

会場にはボナールが撮った写真が展示されていましたが、1907年に
描かれた『浴室の裸婦』なんかも構図がよい。きっと写真をもとに
描かれたのでしょう。ロートレックの作品と同じように、とても都
会的な印象...

そんなボナールが色彩に目覚めた時期の『浴室の裸婦』(1914年)は
とても美しい作品です。構図もよければ光もいい。ここからボナー
ルの『視神経の冒険』が始まります...

白眉は『陽の当たるテラス』...神奈川県立近代美術館葉山館の広い
壁に、どーんと展示されています。まっしろい壁にかかった色彩の
輪舞を、いつまでも、いつまでも、見つめていたくなりました...

一方、マティスの作品からは、明朗な空気を感じます。特にニース
で描かれた『待つ』という作品や『窓辺の婦人』。開け放った窓か
らの清涼な空気と光...

そう、マティスは色彩の画家のように思っていたのですが、『線に
導かれる』といった言葉が印象的でした。なるほど墨を使って描か
れた『傾けた首』という作品。少ないストロークで、だけどマティ
スだと分からせてしまうその線...

最後の展示室には二人の写真。その中ではマティスを撮った三人の
偉大な写真家のイメージが印象に残りました...
・いかにもキャパらしい端正な創作風景(←これが一番好き)
・いかにもブレッソンなポートレイト
・いかにもブラッサイな見つめる視線...(やば...)


さて、土曜日はオープニングでした...

横浜トリエンナーレ2008の総合ディレクターを務める水沢勉さんも
忙しげに動き回っていらっしゃいましたが、場所が場所だけにお客
さんは少なめ。閉館ぎりぎりまで粘って誰もいない美術館をゆっく
りと楽しませてはもらえたのですが、これではもったいないなぁ...

たまの週末、初夏の陽気に誘われるようなことがあったら是非。
＃ 葉山の海とセットにして...

・マティスとボナール　地中海の光の中へ(神奈川県立近代美術館葉山館)