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SPECULA #7「都市と芸術をめぐる現実(リアリティ)」川俣正vs桂英史
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ポップアートのある部屋(村上龍)
書籍
/
2005-09-25
ふと、村上龍の『ポップアートがある部屋』が読みたくなった。堆
くダンボールが積まれている洋室を必死に探してみたけど見つから
ない。仕方がないから飯田橋の本屋で買って、中央線で読んで、東
海道線で読んで、家の近所の深夜まで営業しているレストランで読
み終えた。
この作品での村上龍の文体、音楽やファッションなどの固有名詞を
ちりばめる感覚は、まさにポップアート、爛熟した生活に退屈を感
じている人たちの、露悪的な暇つぶし...
十二枚の作品からインスパイアされた十二篇の短い小説。村上龍は
アート好きなのか、そんなことは知らないが、時代の変化を敏感に
嗅ぎ分ける流行作家が、現代アートを題材に小説を書いていた時代
は確かにあった、そう、本の二十年前...
私が好きなポップアートの作家はアンディ・ウォーホル、リキテン
シュタイン、そしてジャスパー・ジョーンズ。この短編集でもウォ
ーホルのエルヴィスに自分を重ねる男や、いつまでも年をとらない
リキテンシュタインの『鏡の中の少女』のイメージにはポップ・ア
ートならではの物語を感じる。
そして、最も印象に残ったのはジャスパー・ジョーンズのアメリカ
国旗に『嘘をつくな』と言わせる作品。人は実にいろいろな感じ方
をする。作品の前では何事にもしばられない、そうした自由な感覚
が、人を作品の前に導いていくのかもしれない。
ブログに感想を書くことで、自分の興味が広がったのはもちろん、
作品の見方が変わってきたように思う。私が観る作品、私が行く展
覧会は、私の生活と分かち難く結びついている。
これは有名な作品だからとか、世間で評判が高いからとか、そんな
ことはどうでも良くなってくる。創造力のかけらもない私は好きな
ものを観る、好きな時に観る、好きな場所で観る、好きなように観
る、例えば ipod で音楽聴きながら、例えばビールをひっかけなが
ら...
ある日ある時の一期一会をこれからも楽しんで行こうと思う。
・
ポップアートのある部屋
村上龍
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