鴻池朋子展『インタートラベラー 神話と遊ぶ人』 (東京オペラシティアートギャラリー)

鴻池さんの個展は地球の中心への旅...

地殻に待ち受けるのは隠れマウンテンの襖絵です。大きな瞳を持っ
た孤高の山が、我々を見つめています。ミヅマの展示では何かを秘
めるかのように見えてた襖が今回は開かれています...

上部マントルと名付けられたレースの蚊帳の中には囚われのバージ
ニア。大きな翼にオオカミの毛皮をまとった宙空をさまよう生命体...
地の白さがまぶしい...展示スペースの隙間に突然現れる不連続面。
そこでは初めてみみおが登場した十年以上前の映像が流れています...

次の間は本展のひとつ目のクライマックスともいえる下部マントル。
中央に真っ白な百合が置かれた真っ赤な展示室の、四つの壁には四
章の壁画...どれも画像でしか観たことがなかった作品ですが、特に
鮮烈な印象を残してくれたのが『第四章 帰還 シリウスの曳航』で
す。不穏な海原の水面ぎりぎりを飛行する生命体のイメージは高橋
コレクション！！！ネオテニーには出ていない作品。懐が深いです...

マントルを抜けて外核に移るとチラシの襖絵『シラ 谷の者 野の者』、
カラフルな下部マントルとは打って変わって墨絵の世界です。中央
のドクロと、右翼に狼、左翼に蝶...ドクロが吐き出す金粉によって
統合される横長の三幅対は、とてもダークな印象...

内核に進むと昨年のミヅマにも出ていた『焚本』の原画の回廊、そ
こから奥に行くと今回一番お気に入りの『ミミオ・オデッセイ』...
まっ白い生き物や人の足を持ったハチ、六本足のオオカミ...少女の
頭の中でつむがれる不思議な生き物たちのイメージが、白くて大き
な本の上に投影されています。この映像は何度か観たことがあるの
ですが、今回の演出はにくいなぁ...と思いました。

そして我々は地球の中心にたどり着きます...

スクエアな空間の中央には赤ん坊(Earth Baby)、壁にきらめくのは
鏡の欠片の反射...しばしそこにたたずむと、宙に浮かぶかのような
体験ができます。ふっと我に返ると船の上で揺られているような感
覚、そんな岡揺れ気分を残しながら、中心のうしろを巡って地上へ...

地上には制作風景の映像や鴻池さんがインスピレーションを受けた
絵本、あるいはご本人のエッセイなどなど...

小一時間の小旅行を二周ほどしてきました。堪能してきました...

・鴻池朋子展『インタートラベラー 神話と遊ぶ人』 (東京オペラシティアートギャラリー) -9/27

初日のアーティストトークも聴いてきました。私は作品に受けるイ
メージから、夢見るような感覚的な人を想像していたのですが、と
てもシャープで明晰な人でした。後日アップします。

おまけ 鴻池さんの個展を観た感想...
・鴻池朋子展『隠れマウンテン＆ザ・ロッジ』 (ミヅマアートギャラリー)
・鴻池朋子展『私の作品は他者のもの』 (高橋コレクション)