森羅万象、政治・経済・思想を一寸観察 by これお・ぷてら
花・髪切と思考の
浮游空間
カレンダー
2007年11月 | ||||||||
日 | 月 | 火 | 水 | 木 | 金 | 土 | ||
1 | 2 | 3 | ||||||
4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | ||
11 | 12 | 13 | 14 | 15 | 16 | 17 | ||
18 | 19 | 20 | 21 | 22 | 23 | 24 | ||
25 | 26 | 27 | 28 | 29 | 30 | |||
|
goo ブログ
最新の投稿
8月6日(土)のつぶやき |
8月5日(金)のつぶやき |
6月4日(土)のつぶやき |
4月10日(日)のつぶやき |
2月10日(水)のつぶやき |
11月12日(木)のつぶやき |
10月26日(月)のつぶやき |
10月25日(日)のつぶやき |
10月18日(日)のつぶやき |
10月17日(土)のつぶやき |
カテゴリ
tweet(762) |
太田光(7) |
加藤周一のこと(15) |
社会とメディア(210) |
◆橋下なるもの(77) |
◆消費税/税の使い途(71) |
二大政党と政党再編(31) |
日米関係と平和(169) |
◆世相を拾う(70) |
片言集または花(67) |
本棚(53) |
鳩山・菅時代(110) |
麻生・福田・安倍時代(725) |
福岡五輪幻想(45) |
医療(36) |
スポーツ(10) |
カミキリムシ/浮游空間日記(77) |
最新のコメント
Unknown/自殺つづくイラク帰還自衛隊員 |
これお・ぷてら/7月27日(土)のつぶやき |
亀仙人/亀田戦、抗議電話・メールなど4万件突破 |
inflatables/生活保護引き下げ発言にみる欺瞞 |
これお・ぷてら/10月2日(火)のつぶやき |
THAWK/10月2日(火)のつぶやき |
これお・ぷてら/10月2日(火)のつぶやき |
THAWK/国民の負担率は低いというけれど。 |
THAWK/10月2日(火)のつぶやき |
THAWK/[橋下市政]健康を奪い財政悪化招く敬老パス有料化 |
最新のトラックバック
ブックマーク
■ dr.stoneflyの戯れ言 |
■ machineryの日々 |
■ えちごっぺのヘタレ日記 |
■ すくらむ |
■ 代替案 |
■ 非国民通信 |
■ coleoの日記;浮游空間 |
■ bookmarks@coleo |
■ 浮游空間日記 |
過去の記事
検索
URLをメールで送信する | |
(for PC & MOBILE) |
岡田斗司夫『いつまでもデブと思うなよ』
人間のからだは、食物をとおしてカロリーを摂取し、労働や運動をすることによってカロリーを消費し、維持されている。平たくいってしまえば、(カロリーの)摂取量>消費量の場合、その差が脂肪となって蓄積され肥満するということだ。だから、肥満をあらためるべく減量しようと、あるいは肥満にならないようにしようと思えば、摂取量と消費量の差を少なくとも縮めなければならない。要は、摂取量を減らすか、消費量を増やすか、の2つの方向が考えられる。でも、消費量を増やすといっても、所詮、一日の、あるいは1週間、1カ月のうち融通の利く範囲は通常限られているのだから、これはなかなかたいへんだろう。なかには運動で減量に成功した人もいるにはいるだろうが。
岡田氏が勧めるのは、したがって、摂取量を減らす方法である。
といっても、権威づけられた特別の手法によるわけではない。自らレコーディング・ダイエットと名づける方法を推奨している。命名から容易に分かるように、食べた物、食べた時刻、カロリーなどのデータをひたすら記録するのだ。メモをとるというわけだ。
この行為のなかに実は秘密がある。先に欲望の赴くままに、とのべたが、これをあらためるのである。つまり、自分の食生活を可視化するのだ。肥満は、食べたいという欲望の赴くままに食べることによってつくられる。ならば、記録を重ね、肥満のもとになる自分の食の習慣をつまびらかにする。記録によってそこが明らかになるにつれて、食べたいという欲望も萎えてくるらしい。自らの実践をとおして氏はそうのべている。食べたいと思わなければ、もちろん摂取するカロリーは減るし、ダイエットできるというわけだ。実に理に適っているではないか。だいいちシンプルだし、ダイエットのための器具もむろん要らない。
寄る年波に勝てず-この物言いもすでにまちがいだけれど-最近、お腹の周りのぜい肉が気になりだした。メタボ(*1)予備軍、いや正規軍かもしれないという、他に置き換えがたい不安に苛まれてこの本を手にした。
少なくともこれまでは自分には無縁だと考えてきたくらいだから、減量に成功する喜びなんてむろん経験したことはない。
これを手中にしようと、氏にならってせっせとメモをとる毎日が続く。
■よろしければクリックを ⇒
■ブログ村ランキングもお願い⇒
*1;2008年4月から、健診制度は、メタボリック症候群と糖尿病に特化し、アウトソーシング化されるなど、大幅に改変されます。特定健診・特定保健指導制度というものです。
けれど、働く者からすれば、メタボリック症候群より、長時間労働など不適切な環境をなくす方が先のような気もします。不安定雇用や失業も心身の疾患に強く結びつくし、長時間労働の人ほど糖尿病や心疾患になりやすいことを示すデータさえあるようです。社会全体をながめると、こういう「撹乱因子」をなくす必要があると思います。
大連立頓挫で増税を一旦下す。
冒頭のこの記事と重ね合わせてみた記事がある。
福田首相は15日夕、消費税率の引き上げについて「今すぐ上げるという話にはならない。段階を追っていくことが大事だ」と述べ、2008年度税制改正での引き上げを見送る考えを明らかにした。
首相官邸で記者団の質問に答えた。原油高や株式相場の低迷などで景気の先行きが不透明さを増していることに配慮し、早期の消費税率引き上げを否定したものとみられる。
首相は「まずは無駄を省き、どこまでスリム化できるかをやらなければいけない。新しい経済成長戦略も考えている」と語り、歳出削減と経済成長による歳入増を優先する姿勢を強調した。その上で「増え続ける社会保障費を現状でカバーしていけるかよく考えた上で、次の段階に進む」と述べ、社会保障の給付と負担のあり方を議論した上で、消費税率引き上げを検討する意向を示した 。
首相、来年度の消費税率引き上げ見送り意向
消費税増税は、社会保障のための、などという前置きをつけてしばしば語られてきた。これは欺瞞的に思える。税の負担が逆進的で、社会保障の機能、つまり所得の再分配とは相反するからだ。
増税には、従順な日本国民もこれ反発し、消費税導入をもくろんだ、時の政権を選挙で負かせたこともあった。だから、自民党も増税には少なくとも慎重にならざるをえない。
上記の記事が伝えるのは、福田首相の発言にこの「慎重さ」が体現されているともいえるだろう。
けれど、実は、福田・小沢密談にもとづく大連立が頓挫し、消費税増税をとりあえず取り下げたという見方が正鵠をえているような気がする。
そもそも安倍前首相は選挙前に消費税増税を語っておいてこの秋から議論するとして、選挙では一切ふれることはなかった。大敗したのちの密談の上で、民主党と消費税増税の基本方向で一致し、実施にという筋書きを自民党は描いていたと考えられる。すでに内閣府が増税率を2.5%と打ち出していたし、基礎年金を全額税方式でという民主党に寄り添った方向を経済財政諮問会議が明らかにしていたことを考えると、なおさらそう思うわけだ。
歳出をカットすれば「名目経済成長率3,4%は達成可能」(*1)と言い切る中川直秀氏ら「成長派」の言葉は余りに空虚だが、この記事が伝えるのは、総選挙を控えて、大連立頓挫の今、未だその時期にあらず、みたいな「慎重さ」をちらつかせながら、増税の機をうかがう自民党の姿ではないか。要は、増税派にとってみたら、事態は参院選前のままというジレンマにあるということだ。
ただ一つ、変化があったのは、自民党の大敗と小沢氏が連立に動いたという事実である。
増税反対派が突っ込んで考えたいのは、この事実が増税論議に今後、どう影響するのだろうかということである。
■よろしければクリックを ⇒
■ブログ村ランキングもお願い⇒
*1;「自民、消費増税巡り綱引き」日経新聞(11・15)
PS;朝日新聞のインタビュで、小沢氏は、自らの考えにまちがいはなかった旨のことをあらためて言明しています。直裁にことは進まないにしても、連立の芽は絶たれていないように思えます。
【関連エントリー】
社会保障目的などとごまかすな;消費税。
守屋喚問;明らかになる日米の政財軍癒着
守屋氏喚問で「宴席に額賀・久間氏」 民主、問責も視野(朝日新聞)
昨日はたまたま休日であったために、放映されていた参院外交防衛委員会での証人喚問のもようを観ることができました。喚問で、守屋前事務次官は、宴席で久間、額賀両氏が宮崎元伸・「山田洋行」元専務の接待を受けていたことを明らかにしました。
もう一つの重要な点は、この宴席に秋山直紀氏(日米安全保障議員協議会」事務局長)が同席していることを守屋氏が証言したことです。秋山氏のかかわる団体は、「日米安全保障戦略会議」を開催していますが、同会議は、日米両国の軍需産業と日米の防衛族を結集するもので、いよいよ事態は、日米両国の政財軍の癒着構造が強く疑われるものとなっています。
福田政権には、真相を徹底究明し、国会をとおして国民に報告する重大な責任があります。
宮崎氏は8日午後、業務上横領容疑で逮捕されました。その数時間前に、「しんぶん赤旗」日曜版に同氏が電話をかけてきたそうです。宮崎氏の話をもとに真相に迫る同紙のスクープは興味深いものがあります(エントリ末尾にインタビューを同紙から引用、*2)。
同紙によれば、宮崎氏は「口封じのため、国会喚問の前に逮捕するという話がある」と。
15日に予定されていた参院での証人喚問。過剰接待が問題になっている守屋武昌前防衛事務次官との関係だけでなく、政界についても、「聞かれれば語る」と同容疑者は話しました。そうなれば衝撃が走ります。
宮崎容疑者が本紙に語った政界との接点の一つは久間章生元防衛相でした。
宮崎氏が設立した日本ミライズと山田洋行は、米ゼネラル・エレクトリック社(GE、*1)の代理店契約をめぐって激しい争いを展開、代理店になれば1000億円の利権を手に入れることができるのです。久間氏をどう囲い込むのか、これは両社にとって大問題だった。だから、守屋氏とは親密だった宮崎氏も久間氏を敵に回したくなかったということです。
宮崎氏は米軍再編でも利権を手中にしようと暗躍。在日米軍再編関連工事は、沖縄、岩国、横須賀などの国内とグアムなどで予定されています。「しんぶん赤旗」日曜版によると、発注は米側と日本側でおこなうものがあり、日本ミライズは米国防総省が発注する米企業の「日本側代理人」となる企業のもとで、「事業参画企業調査及び選定」をおこなう予定です。
総額1.2兆円にのぼる巨大プロジェクト。日本側負担はそのうち7000億円です。同紙は、ポイントとなるのは、「アメリカ政府と日本政府のどちらが発注し、入札参加企業の基準がどうなるか」と指摘します。また、米側負担でつくる施設はもちろん、日本の負担で着手する部分も米側が発注するという見方があって、日本ミライズはそこに目をつけているとのべています。
こんな内実は、巨額の金にむらがる日本と米国の政府、そして企業と軍の計り知れない癒着の構造を頭の中に描くのに十分なものではないでしょうか。そして、たとえば米軍基地再編に関して、日本政府が関係する自治体に補助金をちらつかせ、反対する自治体には補助金をカットするという「兵糧攻め」にもたとえられるような、姑息な手法を使ってまで、再編を強行しようとする意図も、はっきりしてくるではありませんか。
あらためて全容の解明を強く求めなければなりません。
■よろしければクリックを ⇒
■ブログ村ランキングもお願い⇒
*1;GE社は、自衛隊海外派兵を前提に、発注予定であった次期輸送機CXのエンジンメーカー
*2;宮崎容疑者が逮捕前、編集部の取材で語ったことは―。
【守屋武昌前防衛事務次官などとの関係】
守屋さんと知り合って23年ぐらいになる。ゴルフをいっしょに始めたのは今から12年ぐらい前。偽名については、長くやっていると問題になるからそうしたほうがいい、と私から申し入れた。
ユニホーム(自衛隊制服粗)との付き合いは部下にまかせていた。予算はバンバン出している。
海上自衛隊の艦船のレーダーをめぐり守屋さんが国産を主張し、大物防衛族議員が米企業をおしたことがあった。そういうこともあり、煙たがられていた。
【政治家との関係】
金丸(信・元自民党副総裁)さんが後援者に「防衛大出身でいい人はいないか」といってきた。その話が山田洋行の創業者を通じて私にきたので、昔からの知り合いだった田村(秀昭・元参院議員=自民党から新生党、新進党、自由党、民主党、国民新党)さんを紹介した。最初の選挙ではすぐに金が集まらず、創業者が「何らかの形で用意してほしい」というので協力した。田村さんに何か頼むと、「ああそれなら、あそこにいって相談したら」といわれた。
(公明党から出馬・初当選した)東(祥三・元衆院議員=現民主党)さんを顧問にしたのは、田村さんの紹介だ。「(落選して)困っておられるから、助けてあげて」と頼まれたからだ。小沢(一郎・民主党代表)さんの献金(計600万円、のち返還)も、誰かは忘れたがやはり頼まれたからやった。こちらから自主的にやったんではない。
【天下り】
顧問については役所から、こういう人を、といってくる。うちは防衛庁(現・防衛省)や自衛隊で仕事をしてきた人を大事にしてきた。そういう方が顧問でいることは、防衛庁側から敬意を示してもらえる。
首相訪米で何を約束する?
いよいよ福田首相が訪米します。
難問山積。首相も頭が痛いところでしょう。
テロ特措法、北朝鮮問題。いずれも日本と米国の間に亀裂が走った問題です。これをどう解決するのか、それが福田政権に問われるものでしょう。
テロ特措法問題では、たしかに衆院本会議で新テロ特措法を自公は通過させましたが、その後の審議日程は未定であって、成立の見通しはまだ立っていません。すでにゲーツ米国防長官が来日し、日本の給油活動再開を急げとばかり、圧力をかけました。これを露払いというのでしょう。むろん首相は新テロ法の衆院通過を訪米みやげにしたいわけでしょうが、米側はこれで招致するとは思えず、ブッシュ大統領と会談し、首相が何を約束するのか気になるところです。思いやり予算特別協定期限切れ、基地移設、そしてサブプライムローンを発端にした信用不安にどう対処するのか、いずれも米側からは強い要求が出そうに思えます。
給油活動が中止されても軍事的影響なしというのが米国の見解ですが、活動再開を強く迫るのは、日本が活動を再開しないと、アフガン戦争のゆきづまりがいっそう深まることにたいする米国の懸念が根底にあるからでしょう。韓国も年内撤退を好評していますし、米国が増派を要請したNATOからも批判がつづいています。
米国はだから、すでに自民と民主の間に垣根はないと推測できる、特措法ではなく恒久法をと強く求めるのではないでしょうか。
この報道(*1)は、裏をかえすと、北朝鮮の「テロ指定国家」解除が矛盾を深刻化していることの表れともいえます。米国は年内にも指定解除をめざしているといわれています。安倍前首相が最重要課題として強調してきた拉致問題ですが、この報道が伝えるような拉致問題を視野に入れているという対応と同時に、指定解除と拉致問題を関連づけず、切り離して指定解除をおこなうとする見方もあります。
要するに、米側はどの課題をとっても、いっそうの米世界戦略への貢献を日本に要求することは避けられないようです。日米同盟強化の再確認を迫ることになるのでしょう(*2)。
福田訪米は、参院選を経た新しい政治状況のなかで、日本と米国の関係をあり方を考える機会になるのではないでしょうか。福田首相が何を約束して帰国するのか、それもまた、今後の政治のありようを大きく左右すると予測しないわけにはいきません。
■よろしければ、応援のクリックを ⇒
■ブログ村ランキング、こちらもお願い⇒
*1;「家族に米大統領補佐テロ国家解除に慎重姿勢 拉致官」(読売新聞11・15)
*2;産経新聞(11・14)は露骨に同盟強化を説いています。
首相訪米 同盟の危うさを直視せよ
テロをなくすには。
新テロ法案を自民、公明両党が通してしまいました。法案は参院に移されますが、審議入り日程がきまっておらず、廃案の可能性がないわけではありません。
戦争でテロはなくならないと私なんかは考えますし、従来のテロ特措法をいくらか手直しして自衛隊の軍事行動参加を盛り込むような法案を通してはならないと思うのです。一方で、こんな立場にとって、懸念すべき動きも鮮明になっています。それは、自民党と民主党の間で恒久法をめぐって歩み寄る可能性もまた広がっているということです。件の福田・小沢密談もこの点で意気投合したともいわれているほどですから。民主党がとくに恒久法制定に力をいれているようです。
新テロ特措法案は、①補給支援活動(海上阻止活動に従事する他国艦船への給油・給水を指します)について、政府は、同時にイラク作戦やアフガン空爆任務を持っていても支援可と答弁、②旧テロ特措法にあった国会承認規定は削除―するなど無視できない問題点をふくんでいます。
民主党の対案では恒久法の制定を強調しています。また、インド洋での海自による給油活動をふくめた海上阻止活動も、国連決議があれば検討することをうたっています。活動は原則として停戦合意が成立している地域に限定されているものの、自衛隊の派遣を予定、さらに武器使用について(復興支援活動にたいする)「抵抗を抑止するためやむを得ない必要がある」場合に認めていることは重大です。いうまでもなく、これは現行のPKO法やイラク特措法をも上回るものです。
アフガニスタンでは武装勢力と政治的交渉をとおした和平にむけた努力がはじまっています。新テロ特措法案は、和平交渉と両立するのでしょうか。衆院テロ特別委員会(11月5日)では、伊勢崎賢治さん(東京外大大学院教授)が参考人質疑に立ちました。氏は、NPO活動をとおしてアフガニスタンで武装解除にあたった経験の持ち主です。
テロリスト殲滅のためのピンポイント爆撃で、女子、子どもが巻き添えになっている。これがアフガン世論の反感を買っている。自衛隊のインド洋の活動を継続することは、日本の国益にはならない。
伊勢崎氏はこう語っています。当ブログで中村哲氏の報告を紹介しましたが、中村氏もまた、そっとしてほしいと、日本の「国際貢献」のあり方に苦言を呈しています。国会での議論は、アフガニスタンの人びとの願いや気分・感情を果たしてくんだものなのかどうか、あらためて問われるところです。
テロをなくすといいながら、米国の報復戦争を支援する方針は即刻やめなければなりません。テロをなくすために何が必要かは、アフガニスタンの人びとこそが知っているはずで、すでにアフガンのなかで実践にうつされているではありませんか。
■よろしければクリックを ⇒
■ブログ村ランキングもお願い⇒
PS;新テロ法が衆院通過した今、この間の経過を追ってみました。騒動もいくつかこの間ありましたが、その脈絡がなんとなくみえてくるようです。
以下は、関連する当ブログエントリーをテロ特措法と日米関係に適当に整理したものです。いうまでもなくテロ特措法と日米関係および安保条約は分けることのできないものです。
(テロ特措法)
安倍前首相;米国のためにはってでも。
中村哲「名誉ある孤立を」に耳を傾けよ。
恒久法への流れできる?
海自の撤収に思うこと
恒久派兵で一致してしまうか?
海賊がテロリストだったら…
給油活動か、ISAFかの問題か?
海自給油問題はどこまできたか。
小沢「ISAF参加」発言の波紋
小沢氏、土俵に乗る。海自給油代替案。
テロ特措法のゆくえは。
(日米関係・安保条約)
米大使館の滞納にみる日米関係
日米関係を見直せば。
ひれふす小泉氏と安保条約
思いやり予算。これも「ばらまき」。
「日米同盟」って何。
安倍前首相;米国のためにはってでも。
後味の悪い辞任劇で去っていった前首相に関心があるわけではありません。そうではなくて、関心があるのは、体調もよくないといわれる彼にここまでいわせるものは何かという、この点です。
推測するのは、盟主米国にたいする忠誠心だろうということです。
すでに、ゲーツ国防長官が訪日し、かさねて米国の立場を強調しました。日本は国際的役割を果たせということです。そして、福田首相はこの15日、訪米し、ブッシュ大統領と会談する予定です。こんな政治日程からも分かるように米国艦船への給油活動は欠くべからざるものです(参照)。けれど、給油活動は一つの具体的な忠誠心であって、強固な日米同盟を再確認することに核心がある。米国の世界戦略への日本の貢献こそ、あらためて日米首脳会談で確認されることではないでしょうか。
日米両国の関係で、これほどまでに日本が米国の意向に逆らったのは過去におそらくなかったでしょう。米国も従順な日本に何が起こっているのか、無関心ではいられなかったはずでしょう。だからシーファー米駐日大使が小沢代表と会わざるをえなかった。それからというものは、アメリカからの日本への牽制がたびたび繰り返されてきたのは、多くの方がごぞんじでしょう。日本はこれまで米国という「外圧」にきわめて弱い、従順な犬のようなものでした。
ところが、参院選の国民の意思がかつての日米関係をも揺さぶったといえそうです。とにかく日本の給油活動が中止されたのですから。けれど、状況はまた、しだいにかつてに戻りつつあるともいえる。民主党も恒久法にまんざらでもない。その上、小沢氏の辞任劇にも米国の圧力があるという論調もある。国会内では、いまや恒久法に傾きつつあるといってもよいでしょう。
危険な段階にあると思います。小沢劇場での騒動をへて、新しい局面に入りつつある。こんな中での、福田首相の訪米ですから関心をよせざるをえない。昨日の新テロ法案の強行採決には、日米政府、支配層の思惑がこめられたものでしょう。安倍首相の「はってでも出たい」というのはその一つの表現にすぎないわけですが、支配層の結束をそこにみるのです。
テロ根絶ではなく、米国への忠誠こそが優先される日本の政治がここにあります。
■よろしければクリックを ⇒
■ブログ村ランキングもお願い⇒
【関連エントリー】
日米関係を見直せば。
大連立に危機感。カヤの外の公明党
公明党の太田昭宏代表は10日午後、党本部で開かれた全国代表者会議であいさつし、福田康夫首相と小沢一郎民主党代表との先の党首会談について「国会のねじれ状況を打開する意図で行われたもので評価したい」と表明した。党首会談で協議された「大連立」に関しては「模索の中で選択肢の一つとして表に出たものと理解している」と述べるにとどめ、直接的な評価は避けたが、この後の質疑で北側一雄幹事長は「現行の衆院選挙制度で第1党と第2党が連立を組むのは事実上、容易でない」と述べ、困難との見方を示した。
自民、民主両党の大連立となれば、公明党の影響力が一気に低下しかねないだけに、地方組織を中心に不安が広がっており、会議では出席者から「大連立をどう判断する。自公中軸の路線は今後ぶれることはないか」「2大政党のはざまでわが党が埋没しないか不安だ」といった声が噴出した。北側氏は、首相から自公連立の堅持を小沢氏に伝えてあったと説明されたことを紹介し「公明党が外されるという意識は全く持っていない」と、不安の解消に努めた。
大連立の話は、紆余曲折があったものの、小沢辞意撤回で幕が引かれようとしているかにみえます。
民主党の右往左往ぶりに喜んだのは自民党なのかもしれませんが、一方でこの党のように、はじきとばされることに危機感を募らせているところもある。私は、このまま連立の話が立ち消えになるとは思っておらず、案の定、こんな鳩山氏の発言もあります。
衆院選後の大連立否定せず・民主の鳩山幹事長
すでに何回かのエントリーで二大政党制とは何か、それが小沢劇場で展開された一連の喜悲劇に端的に表されているとのべてきました。支配勢力は権力を維持するために、そう簡単に戦略を変更するとは思えません。
そこで、自民党政治の延命のために連立し、大臣の椅子もこれまで確保してきた公明党ですが、二大政党で一致してしまえば、議論のなかででているように埋没する可能性はたしかにある。同党幹部は、首相から自公連立の堅持を小沢氏に伝えてあったと説明されたことを紹介し「公明党が外されるという意識は全く持っていない」と、不安の解消に努めたといいます。しかし、福田・小沢の密室協議を公明党が知らなかったのは事実でしょうから、カヤの外にすくなくとも置かれたわけです。民主党との関係重視の圧力が働いていることはまちがいないでしょう。同党の懸念も理由がある。
選挙制度の見直しの意見もでるなど、大連立構想のゆくえと解散総選挙のみとおしは予測がつきかねますが、大事なのは、ここ半月ばかりの一連の動きをどうとらえるのか、ここにあると私は思います。 一連の動きで欠けていたのは、政党の事情優先の連立構想であって、国民不在だということです。公明党の議論もまた、同党の事情によるものでしょう。
参院選で国民が示したのは自民党にかわる政治でした。自民党にかわる政治は民主党ではやれないのでは、これもまた小沢劇場が示したものでした。衆院選挙がいつあっても、政権のあり方が問われる選挙になりそうです。各党がどんな政策と展望を示すのか、これを見極めることが大事です。なにより国民そっちのけの議論には厳しい批判が必要です。
■よろしければクリックを ⇒
■ブログ村ランキングもお願い⇒
中村哲「名誉ある孤立を」に耳を傾けよ。
ずっと前に「ペシャワール会」会報(10月号)がとどいていましたが、ようやく目をとおすことができました。その中で、中村哲医師(*1)が現地のもようを簡潔に、それを知らない私たちにも状況が手にとるように分かる筆致で伝えています。そして、氏は、国際貢献の名のもとに米軍の作戦に追随する動きを、民衆の半分が飢えている状態を放置して、「国際協調」も「対テロ戦争」も、うつろに響くとして厳しく批判しています。氏の「『国際社会』からの名誉ある孤立を」という言葉は、いまの日本の国会内外の議論をおおもとから揺さぶるものではないでしょうか。
日本では、小沢騒動があったものの、この一連の動きのなかで、少なくともテロ特措法と給油活動再開に関しては、自民、民主の間では恒久法の制定という基本方向で一致しているようにも思えます。冒頭の記事内容もふくめて、私は危険な段階に今あると率直に思います。
政府与党は12日の衆院テロ防止特別委員会で採決した上で同法を成立されることをねらっていると伝えられています(参照)。
けれど、アフガニスタンの状況をメディアが伝える機会はけっして多くはありません。現地からの中村医師のレポート(以下)をぜひご一読いただければ幸いです。
====
治安悪化へ対応
隣国パキスタンでは、内戦前夜を思わせる状態が続いています。行政の混乱だけでなく、既述のアフガン難民強制送還による影響もあり、ペシャワールでは暗殺、爆破事件が頻発するようになりました。8月下句、パキスタン.アフガニスタン両国の政情の緊迫化に伴い、わがPMS(*2)も「非常事態」と認識、以下の当面の方針が打ち出されました。
1.懸案のPMS病院基地病院は、ジャララバードに11月までに全面移転する。約10年間機能した基地病院は捨てがたいが、アフガン側で再興を図る。まずダラエヌール診療所を充実、ハンセン病等の診療設備を長期的視野で建設。
2.マルワリード用水路は、突貫工事態勢を敷く。2年分の予算を投じても、第2期7キロを来春にまで完成、数千町歩灌概を実現すべく全力を尽くす。パキスタンから強制帰還させられる難民の大半がニングラハル州にとどまり、州やカーブル政府にとっても大きな圧力になっている。その負担を軽減すれば、少なくとも同州北部の混乱を避けうる。
3.安全対策には万全を期すが、都市部は我々にとって危険になりつつある。日本政府の動き次第では、我々の安全に甚大な影響を及ぼす。欧米軍への協力姿勢が打ち出されれば、独自の現地情報と判断に基づき、日本人ワーカーを段階的にアフガニスタンから退去させる。危機管理の白衛対策をとる。
4.「海外からの安全情報」は、しばしば現実と異なるので軽挙妄動しない。指示があるまで粛々と任務を継続し、日本人ワーカーが退去しても基本的な事業に中断なきよう、作業工程、事業規模等を考慮する。地元農民や地元医師の手でも続けられる態勢をとる。一朝事あれば、思い切った方策をとる。
「国際社会」からの名誉ある孤立を
政情と「国際世論」を見る限り、「むなしい」の一語です。もう放っておいて欲しい、そう思います。6年前の「アフガン報復爆撃」と「アフガン復興ブーム」のとき、誰が現在の状態を予想したでしょうか。欧米諸国の車事介入、「対テロ戦争」の結末は既に結論が出たと言えるでしょう。武力介入は、良き何物も、もたらしませんでした。アフガン民衆の現状を抜きに進む先進諸国の論議に、忍耐も限界に近づきつつあります。
よく「日木だけが何もしないで良いのか。国際的な孤児になる」ということを耳にします。だが、今熟考すべきは、「先ず、何をしたらいけないか」です。
「徳は孤ならず、必ず隣あり」と言います。目先の利を離れ、和を唱えて孤立するなら、それは「各音ある孤立」であり、世界の人々の良心に力強く訴え、真に国民を守る力、平和への国際貢献となるでありましょう。その時、私たちはアジア民衆の友であり、平和日本の国民であることに、胸を張ることができるでしよう。
民衆の半分が飢えている状態を放置して、「国際協調」も「対テロ戦争」も、うつろに響きます。よく語られる「国際社会」には、少なくともアフガン民衆が含まれていないことを知りました。しかし、このような中でこそ、私たちは最後の一瞬まで事業完遂を目指し、平和が戦争に勝る力であることを実証したいと思います。皆様のご理解とご協力を切にお願い申し上げます。
<「診療の拠点をアフガニスタンに」から一部抜粋(「ペシャワール会報」no.93、2007年10月3日)>
■よろしければクリックを ⇒
■ブログ村ランキングもお願い⇒
*1;BLOG BLUESさんが、エントリ;平和省創設初代平和大臣中村哲、攻撃的護憲でいきまっしょい!で、中村哲医師をとりあげています。
*2;ペシャワール会医療サービス。1998年、難民救援団体としてパキスタン政府に登録され、当時無視されていたハンセン病患者の診療から出発、その後、アフガニスタン山村部の無医地区診療モデルをつくることをめざして活動。
戦争屋;軍事の民間委託でどうなる。
その民間軍事会社についての報道が目にとまりました。記事は、国連人権理事会の「雇い兵の使用に関する作業部会」が7日、イラクやアフガニスタンで「民間警備・軍事会社」の「雇い兵」が急増しているとのべた報告を国連総会に提出したことを報じたものです。記事はこうのべています。
(作業部会の)報告は、「一部の国連加盟国が、過去十年にわたり、多様な軍事的機能を外部委託・民営化してきた結果、民間軍事・警備会社が急増している」とし、「アフガニスタン、イラクでの紛争にかかわる、民間軍事・警備会社の数は驚異的な増加」を遂げていることを指摘しました。
報告は、「民間警備・軍事会社」の「警備員」などと呼ばれるものの実態は、「雇い兵制度の新たな様式」だと述べています。
報告は、雇い兵による人権侵害の責任が問われるのは、雇い兵を提供する企業と契約を結ぶ政府だと警告し、政府の直接の管理下で活動している場合などは、なおさらであると指摘しました。
「雇い兵使用に関する作業部会」は、国連人権理事会の決議に基づき05年に創設されました。人権理事会は、同作業部会に、雇い兵の活動が「人権や民族自決権にあたえる影響」などを監視することを付託しています。(しんぶん赤旗11・9)
要は、「民間警備・軍事会社」の名の下で活動する「雇い兵」が急増している現状への警告とうけとめてよいでしょう。
そこでイラク戦争で米軍が活用するブラックウォーター社の現状を分かりやすく示した図があります(AFP、上写真。クリックすると拡大します)。
あえて説明は要しないでしょう。要点を列記するにとどめます。
- 雇い兵一人は支払われた費用は1日14万円で、米兵の6~9倍に相当する。年間5082万円。
- イラク戦争が泥沼化するにしたがい、同社との契約はまさにうなぎ上り。06年は04年の12倍程度に相当する。
これだけではなく、図には雇い兵の犯罪行為、暴力行為などの発生状況が示されています。国連人権委員会が強く指摘するのはこの点で、だからこそ作業部会による報告と監視を求めてきたのでした。
「軍事の民間委託」問題で派生するのはこれだけにとどまりません。委託先進国の米国では、イラクで活動する民間軍事会社に対する米国務省の管理責任を問う声が高まる一方、外交安全局のリチャード・グリフィン(Richard Griffin)国務次官補が10月24日、辞任しています。
AFP通信社によると、辞任の理由は明らかにされていませんが、辞任の前日には、民間軍事会社の監督強化を提言する国務省の内部報告書が提出され、ライス米国務長官が提言の受け入れを表明したばかり。国務省は数か月にわたって、ブラックウオーター(Blackwater)やディンコープ・インターナショナル(DynCorp International)などの民間軍事会社の活動をめぐり、米下院政府改革委員会のヘンリー・ワクスマン(Henry Waxman)委員長から報告書の提出を求められていました。
また米紙ニューヨーク・タイムズは23日、イラク復興に関する特別監察官による監査で、イラク警察の訓練に当たっているディンコープ・インターナショナルと国務省との12億ドル(約1370億円)に上る契約の財務記録が乱雑で、使途不明金などの問題点が明らかになったと報じています。
米国はもちろん、日本でも国家財政の少なくない部分を占める軍事費。しかも、軍事や防衛は機密を口実に情報が公開されず、国民がそれを知ることはなかなか困難です。国民による監視が必要なことは、守屋前防衛事務次官と山田洋行の癒着問題でも明らかなのでしょうが。だとすると、冒頭の民主党が検討しているという文民警護への民間委託も国連報告がいう雇い兵の新たな制度とみてもよいのではと思える。だから軍事の民間委託にももっと関心をもってよいのではないでしょうか。
ブラックウォーター社や山田洋行などのように法外な契約、そして癒着をうまないためにも、国民の監視が不可欠です。そのためにも、日本では、政治と産・軍の癒着問題は徹底して国会で解明され、国民に知らされることが要る。もちろん民主党はいったん、民間会社委託の検討を止めなければならないと私は考えます。
■よろしければクリックを ⇒
■ブログ村ランキングもお願い⇒
*1;民間に「戦闘」を委託する。
小沢劇場の外では。国会で・・・
小沢氏が辞意撤回して喜ぶ人も、怒る人もいるようですが、小沢劇場で演じられる喜劇、あるいは悲劇とはまるで無関係であるかのように、国会では無視できない動きがあります。
小沢氏の行動は、自民党との連立を一時打ち出し、代表辞任を表明したものの、翻意して代表の座に復活したという眼の回るようなものでした。こんな中で昨日、国会では、自公政権と民主党が一致をして、労働2法案が衆院で可決されました。最低賃金法案と労働契約法案です。参院選後の国会だからこそ、民主党は国民の期待を感じていたはず。なのに、国民の声にこたえた対応でしょうか。
2法案とも前国会で継続審議となり、今回、自民、民主が修正協議をおこない、これに公明を加えて修正案が提出されていたものです。修正案では、生活保護と最低賃金の「逆転」現象などが指摘されるなか、「生活保護との整合性に配慮する」という文言は入れられましたが、実効性のあるものでは決してありません。
民主党は最低賃金1000円に引き上げること、全労働者に適用される「全国最低賃金」創設をかかげていたことをご存知の方があるでしょう。これにてらしても国会の対応は首をかしげざるをえません。また、労働組合の分野ではこれを基本方向として一致した状況もあったのではないでしょうか。だから、最低賃金の抜本的改正にむかう条件は、参院選をへていっそう広がっていたといっても過言ではありません。
けれど、可決された法案には、文言上の追加のみで全国最低賃金は盛り込まれないという不十分なものです。率直にいえば、国民の立場にたって民主党が頑張れば、少なくとも前進というべき成果を得る可能性はあったように思えます。
メディアで流される喜劇や悲劇に関心を寄せがちですが、国会ではすでに自民、民主の「協議」が重視されるような事態になってはいないか。政治の世界に妥協はつきものなのでしょうが、福田・小沢の「密室協議」と同じことが常態化すれば、国会をないがしろにすることにつながる。すでに、その兆しがあると受け取るのです。
表向きの大連立はいったん消えましたが、事実上、自公民ですすめる体制が形づくられているように思えてなりません。密室協議と小沢氏の動向、そして小沢氏の代表復帰を求めざるをえない民主党の状況は、いっそうそう疑わせるに足るものではなかったでしょうか。
■よろしければクリックを ⇒
■ブログ村ランキングもお願い⇒
PS;この国会の動きはメディアでも大きくは扱われていません。TBいただいた世界の片隅でニュースを読むでこの国会の動きに言及されています。毎回、このブログの鋭い切り口と批評眼には驚くばかりです。
民主党は自民と異なるのか?
小沢代表、続投を正式に表明 両院議員懇談会で(朝日新聞)
小沢氏の行動は、彼の眼中に国民のことなど一切ないことを示しました。自民党ではダメというのが国民の意思であって、結果的に民主党大勝にそれが表現されたのが参院選でした。だから、民主党は国民の期待をどう受け止めるのか、常に問われるので、小沢氏の行動はこの点での厳しい批判を免れえないものだと思います。
しかし、なかには、小沢氏の辞意撤回を歓迎する向きもあるようです。が、歓迎するのは何ゆえ、こんな疑問が沸いてきます。それは、例の、ともかく今の自民党を、というやつです。これを政権交代真理教とよぶ人もいる。要するに主張するところは、ともかく政権交代を、なにがなんでも政権交代を、というこの一点に尽きる。けれど、これすら怪しいではありませんか。小沢氏自身が自民党と手を組むことを一度は考えたのですから。だから、小沢氏がいくら政権交代を表向きさけんだところで、連立を考える、考えうる相手との政権交代など本質的な意味はない、すでに消失しているということではないでしょうか。簡単なことですが、同じものなのに「交代」などとよべないでしょう。
さすがに政権交代の旗をふってきた識者はやはり自らの主張と「つじつまを合わせ」ている。経過を冷静に考えていくと、民主党による自民党との政権交代を唱えていた以下の人たちもこう考えざるを得ないのです。これが正しいのかどうか別にして、小沢氏が「寝返った」と考えざるをえないのです。
曰く、
「大連立の話に乗ったところで、小沢氏の政治生命は終わった」(山口二郎)
http://www.asahi.com/politics/update/1107/TKY200711070002.html?ref=goo
また、小沢氏辞任表明の際、森田実氏はこう語っていました。
http://news.goo.ne.jp/article/asahi/politics/K2007110500010.htm
首相との事実上の約束を守れなかったのだから、責任をとるのは当然だ。ただ、会見を見ていて「小沢さんは分かってないなあ」と思った。国民が彼に不信を持つのは、「政権交代をする」と言い続けて参院選で支持を集めたのに、違う方法をとろうとしたから。これでは国民を欺くことになってしまう。そもそも首相と2人だけで会談したのはなぜか。「密室政治」「独断専行」と言われても仕方がない。
もしも党代表を辞めないまま政権が交代していれば、間違った人物が権力を持ってしまうところだった。もっとちゃんとやってくれると期待していたが、参院選の成功がおごりに転じた。英雄が失敗する典型的なパターンだ。
これが、まず政権交代ありきを唱える人の最低限の対応ではないでしょうか。政権交代に意義を認めるのは、前の政権から変わるべき、異なる価値があるからであるはずです。しかし、それは小沢氏によれば連立を組む、組べき相手という形で否定されたのですから。
自党の理由を優先させ、国民そっちのけではいずれ支持を失うのではないか。民主党に求められるのは、いまこそ国民の声に率直に耳を傾け、国民とともに行動するということでしょう。自民党と同じ議員政党から、活動スタイルからただちに脱却しなければなりません。とはいえ、私はそれはなかなか難しいだろうな、と率直に思っているのですが。
民主党に自民党と異なるところがはたしてあるのでしょうか。その違いを、国民は自らの眼で確かめ、実感したいとそんな気持ちに今あるのではないでしょうか。
■よろしければ、応援のクリックを ⇒
■ブログ村ランキング、こちらもお願い⇒
小沢氏;自民党政治を維持しようとした。
一夜あけて考えるのは、権力を維持するための並々ならぬ執着のことです。以前に権力維持の安定装置という言葉を私は使いましたが、そのことです(参照)。
小沢氏の姿勢からも、もちろん自民党・福田首相の姿勢でも、そして影で動いているといわれる連立推進論者たちの動きから、そう思うのです。小沢氏がいみじくも語ったように、それは別の言葉でいえば二大政党制という枠組みにおいてです。そう思うのは、この二大政党制を、いま権力を有する勢力にとっては権力維持のための安定装置として位置づけていると思うからです。
小沢氏の本意がどこにあっても、小沢氏のとった行動は、国民の意思とは無関係に権力を維持しようという勢力の意向にそったものとして批判されなければならないでしょう。もっと、分かりやすくいえば、自民党政治(*1)の枠組みを維持しようとする意向です。米国に追随する点においても、そして財界の意向をうけて政治をおこなおうとする点においても。
しかし、有権者は、自民党にノーをつきつけることを結果的に民主党大勝に託したのでした。それは、選挙戦で、民主党が自民党への対決姿勢を前面に押し出したのとむろん無関係ではないでしょう。だからこそ、国民・有権者にとっては、今回の小沢辞意表明がいっそう分かりにくいものとなりました。
議事堂には「まさか」という「坂」があるといわれているそうです。なるほど、小沢氏の辞任は、だれもが驚くような出来事だったかもしれません。辞任の直接の引き金は、いうまでもなく福田・小沢の秘密会談。大きな揺れの震源でした。結果は、小沢本人の意思とは別に動いたということになるでしょう。
小沢氏らしい臭覚で政権奪取の道と政策実現の道を探った結果なのでしょうが、この氏の政局重視の姿勢が命とりになりました。たしかに参院選では、小沢氏の政局主義が奏功しました。私からみると、年来の主張からまるで転向したかのように新自由主義批判をやってのけましたし、新自由主義の波に洗われた国民、とりわけ地方でそれが際立たせ、支持を広げました。けれど、今度は、彼の臭覚が裏目に出たということでしょう。
当ブログで繰り返しのべているように、民主党にとっては、対決姿勢を強めれば強めるほど、同党内に矛盾を抱え込むことになる。それは昨日の小沢会見でも、民主党がかかげた政策を実現する上で連立がベターな選択肢である旨、氏自身が明確にのべていたことからも明らかでしょう。
対決姿勢を鮮明にすると国民に約束した政策を実現するのに困難がともなう、矛盾が広がる。参院選結果に同党は縛られつつ、今日まできましたが、小沢氏はこの限界も感じながら、つまり、参院選を受けて国民の期待を受け止めようとすれば、政権党の自民党をもわが方に呼び込まなければならないという、政権を狙う党としての矛盾にはまってしまうという限界を前に、小沢は「連立」の決断をしたといえるのでしょう。
自民党は、小沢辞任の結果、形勢は自民有利に働くと考えているでしょう。そして、次期選挙の情勢分析で民主党不利とする昨日の小沢氏の認識からさらにすすみ、状況はいっそう民主党に不利になるように思えてなりません。
小沢氏には、あるいは民主党もそうなのですが、国民とともに政策を実現する道を模索するという発想はさらさらないように感じられます。今回の一連の流れをふりかえると、それが見事に反映しているのではないでしょうか。国民に行動を提起し、国民とともに対決の相手を倒すという発想がない。議員政党で、しかも寄り合い所帯の同党には望むべくもないのかもしれません。そして、辞任表明前後の同党の対応は、伝えられるところもふくめて、とても政権をとろうとする政党の、政党としての機能が正常に働いているのかどうか、疑わしい。電話連絡で党幹部の認識の一致をかちとろうとする思考が私には信じられません。ことは同党にとって一大事ではないのか。それ以上に、同党に託した有権者の信頼をかちとるには、相当の明確な対応方針が必要なのではないか。
真に自民党政治に対決する姿勢があるのなら、国民にそれを示し、国民とともに行動する以外にありません。
■よろしければクリックを ⇒
■ブログ村ランキングもお願い⇒
*1;当ブログでこうよぶ場合、自民がおこなう政治のみをいうわけではありません。それは、政策的に米国追随の、財界・大企業を優先する政治をとりあえず指しています。だから、米国に追随する点においても、そして財界の意向をうけて政治をおこなおうとする意思が働いている点において、民主党もまた基本線で同じ方向だととらえています。
【関連エントリー】
東京都知事選・首長選はどうたたかわれるのか
小沢辞任を読む
民主党代表・小沢一郎氏が会見し、辞任する意向を明らかにしました。
周囲からはまったく理解しがたい福田・小沢協議でした。自民党側の局面打開の意向があったことは確かでしょうが、むしろ小沢氏にとってそこに至る必然的な理由があったのでしょう。
推測の域をでませんが、たとえばISAF参加発言にたいする批判、そして氏自身の事務所費問題などが存在して自民党側に追及のからめ手を握られている可能性がある、などと考えてしまうのです。小沢氏の印象では強引さが表に出ますが、一方で政治家としての氏個人にからむ問題がつぎつぎに表にでており、存外、脇が甘いようにも思えます。こんな矛盾を抱えつつ、氏は年来の強い政権交代への熱意でもってここまで来たのでしょうが、ついに力尽きたということでしょうか。
結果的に、「持ち帰り検討する」といわざるをえなかったし、そこに小沢氏自身は最後の賭けを決意したきらいがなかったとはいいきれません。役員会で大連合が追認されれば小沢氏は代表を続投できたでしょう。
参院選後の自民党の政策的妥協も、一方の民主党の対決姿勢維持も、ある面ではゆきづまった結果だと昨日のべましたが、小沢辞任はあらためてそのことを示す結果となったのではないでしょうか(参照)。国民の意思が自民党はダメというところにあって参院選の結果がもたらされたた以上、その期待を結果的に引き受けた民主党は当然、対決姿勢を維持しなければなりませんが、それは同党の政治方針との矛盾をますます深めることになる。氏の辞任は矛盾の端的な表現にほかなりません。
自民、民主の関係では辞任を契機としてこんどは自民が反転して攻勢に出ることが予測できるわけですが、いぜん自民、民主のゆきづまりはぬぐえない。民主党の党内分裂の機運が高まることも予想されます。
自民党政治がいっそう矛盾の深みにはまっていくなかで、福田政権がどのような舵取りをするのか、それが問われます。当面の、テロ特措法にからむ給油再開問題で、自民、民主がどう対応するのか、国民の監視がいよいよ重要になってきました。ゲーツ米国防長官来日、福田訪米と、福田・小沢密談をへて小沢辞任が公にされたことに脈絡を私は大いに感じます。
二大政党制の政治とは、この一週間ばかりの動向に端的に表れているように、国民そっちのけで権力保持にこそ収斂する「政治体制」だということがいよいよ明らかになったように思えてなりません。権力保持といったのは、仮に政権交代があっても権力の基盤が維持されているという意味において、のことです。
たとえば高齢者医療保険制度や薬害肝炎訴訟などいくつかの点で改善や解決が図られようとしていることは、国民が参院選でつくり出した政治状況によるものです。
憲法公布61周年を波乱のなかでむかえました。自民、民主が派兵恒久法で基本的に一致する方向がみえてきた今日、護憲の立場をあらためて明確にしておく意義はいよいよ大きくなってきました。
国民不在の政治には大いに声をあげ、衆院選で結果を出さなければなりません。
■よろしければ、応援のクリックを ⇒
■ブログ村ランキング、こちらもお願い⇒
新自由主義と決別できるか。―その2
チリでの実験的展開のあと、日本にも新自由主義的な政治経済路線が押し寄せる。前回、「運動」としての新自由主義に言及した。これは、新自由主義が権力の回復を企図したものであって、そのために新自由主義諸施策を徹底・深化させるためには、国民の下支え、国民の統合の運動が必要になるということを指している。
いうまでもなく、サッチャーやレーガンのとった経済政策も新自由主義にもとづくものである。「鉄の女」ともいわれた、英国首相のマーガレット・サッチャーと米国大統領のロナルド・レーガンは80年代の人物。彼らの言葉でいえば、第2次世界大戦後の福祉国家路線によって肥大化した政府がもたらした財政危機・経済低迷などの問題を解決するために、新自由主義による経済政策を彼らはとったのであった。サッチャー政権は、電話、ガス、航空などの各種国営企業の民営化や、労働法制に至るまでの規制緩和、金融ビッグバンなどを実施した。しかし、こうした政策の下、たとえばイギリスでは、サッチャー首相在任1期目で失業者数は倍増し、1982年には300万人を数えるまでとなる。その後も1986年半ばまで減少に転じることはなかった。このイギリスの失業者数や、今日の日本の状況は、新自由主義の政治が国民にもたらすものが何かを端的に示唆している。
一方、同時期に日本でも中曽根康弘政権によって電話、鉄道などの民営化が実施されたことを多くの人は記憶にとどめているだろう。また、90年代に日本では、時の人でもある小沢一郎が、その著書『日本改造計画』で新自由主義の思想をのべている。『日本改造計画』では、小選挙区制の導入、市町村の全廃と300市への収斂などが語られている。だから小沢にかぎっていえば、参院選での民主党の主張と小沢の動きにてらして考えると、小沢が転向したのか、それとも一時の政局をみすえて年来の主張をひっこめているのか、いずれかということになる。小泉政権の経済政策はこれらの流れを汲むものだと位置づけることができる。小沢にしても、中曽根にしても、この時期に新自由主義の旗をふった政治家が今この時点でも蠢いていることが興味深い。
80年代以降の国民にむけられた構造改革という名で新自由主義政策の具体化が図られた。主なものを独断的に列記すると以下の以下のようになる。この時期に消費税、小選挙区制が導入されているのも、「運動」としての新自由主義とからんだ、権力基盤の回復の具体的表現だとみることができるだろう。
- 83年 老人保健法の実施(有料化)
- 83年 国保法改悪(国保安定化計画)
- 84年 健保法改悪(本人1割負担)
- 85年 電電公社民営化
- 85年 専売公社民営化
- 87年 国鉄民営化
- 89年 消費税導入
- 94年 小選挙区制導入
- 97年 健保法改悪(本人2割負担)
- 00年 措置制度廃止(障害者福祉)
- 05年 郵政民営化
- 05年 障害者自立支援法
一瞥して明らかなように、国民はさまざまな「改悪」をつきつけられ、新自由主義の波に洗われていったのだ。この時期に1989年に総評が、そして1996年に社会党が解体し、一方で1989年に連合と左派の全労連が結成されている。労働戦線の再編はむろん以上の動向と無関係ではない。
■よろしければ、応援のクリックを ⇒
■ブログ村ランキング、こちらもお願い⇒
2人で決めてしまおうなんて。
首相が連立打診、民主拒絶 協議も「反対」(朝日新聞)
大げさにいえば、この国も終わり、そんな印象すらもった。深刻な貧困と格差を生む前の日本を美しい国となぞらえて、美しい国は終わったとコメントを寄せていただいた方があったが、2人で決めようという魂胆が気にいらない。持ちかける福田氏にしたら、それが彼の政権を担う唯一のかもしれない根拠でもあろう。一方の小沢氏。彼の政局主義が見事に表れているこの1週間だった。あらためて彼の危険な一面をみた気がする。
国会そっちのけで、宗主国のための「給油活動再開」を決めてしまおうというのだから。それだけでなく、「大連合」で一つの頭にしてしまおうというのだから、事実上、翼賛体制に持ち込もうという魂胆である。
一つの頭といったが、これまで、オルトロスのように頭は二つなのだが、体は一つであった。私はそう思ってきた。体が一つであるからこそ、福田首相がこんな話を持ちかけることも可能であったはずだ。民主党のなかのリベラル的潮流の存在を私にいわせれば過大に見積もる人もいたが、当ブログでは繰り返し自民、民主の「二大政党制」を批判してきた。ことこの事態にいたって、先の参院選で民主党に投票した人のなかには裏切られたと実感する人もいるのかもしれない。しかし、一方で、自民党と密室で話ができるような政党だから民主党に入れる人も少なくないと思っていて、その結果が参院選での民主大勝をもたらしたと考えてきたし、いまもそう思う(*1)。要は、自民、民主の合算した得票率はあまり変化をしていないのだ。また、共産、社民の投票率の総計も変化していない。だから、この現状に安住していられない左派は、事態をどのように打開していくのか、そのプログラムを提示することがいよいよ求められている。
小沢氏の「持ち帰り検討」というのも嗤ってしまう。結果、大連立はやらないということになったそうだが、この筋書きにのってしまう民主党の底はほぼ完全に割れてしまったといってよい。解散もふくめて曲折はあるだろう。しかし、別の言葉でいえば、解散しても、自民党にいれようが、民主党にいれようが、それは同じことだということが明らかにされたということである。ここまでくれば、事態はすいぶんみえてきたのではないか。自民か民主かをつきつけてきた、マスメディアをふくめた二大政党推進勢力のたくらみが。
こんなこともいえる。これまでの自民、民主という2つの顔のものが実は体は一つだったことがバレたわけだから、彼らも純化していかざるをえないだろうということだ。そんな気骨のある人は少なかろうと思うけれど、先にいったリベラル的潮流がはずれ、事実上の大連合化にすすむという道である。
しかし、すでに小泉9・11選挙で改憲可能な国会議席配置が形づくられていたのであって、参院選ではこの構成の内容がかわったにすぎない。同時に、参院選は国民が政治を動かしうるということも我われに示した。その後の一連の自民党の妥協をみればよい。結局、今日の事態は、自民党のこうした妥協も、一方の民主党の対決姿勢維持も、ある面ではゆきづまった結果だともいえる(*2)。自民党と対決しようとすればするほど、民主党内の矛盾は深まるのだ。
ただ一つ変わったのは、政治を動かしうるという国民の実感と、参院選後の事態の進展である。参院選後の事態は、繰り返すと、二大政党制とは何なのかをより分かりやすくしたということである。
だから、つぎの総選挙は、改憲をえらぶのか、阻止するのかということが問われる。換言すれば、二大政党制の是非を問うものになるだろう。
国のあり方を2人で決めてしまうなんてことを許してはならない。翼賛体制はごめんだ。
■よろしければ、応援のクリックを ⇒
■ブログ村ランキング、こちらもお願い⇒
*1;参院選結果をながめてみる
*2;民主党も問われている。
PS;冒頭の朝日記事がリンク切れのときは、ここ。
« 前ページ | 次ページ » |