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米英、レバノンに国際部隊派遣の国連決議案提出で合意
ブッシュ米大統領とブレア英首相は28日、ホワイトハウスで会談し、イスラエル軍とレバノンのイスラム教シーア派民兵組織ヒズボラの戦闘を停止させるため、国連憲章7章に基づく国際部隊のレバノン南部への早期派遣などを盛り込んだ決議採択を国連安全保障理事会に求めることで合意した。両首脳はレバノン南部を強固な基盤とするヒズボラの弱体化に照準を定め、国際社会の支持を求める姿勢を鮮明にした。 (以上、共同通信社)
ブッシュ大統領は、この部隊の派遣は、決議案を平和への脅威に武力行使を含む措置で対処する「国連憲章7章に基づくもの」と明示した上で、「敵対行為を停止させる明確な枠組みをつくり、国際部隊の任務を定める」ことを内容としてあげた。一方で、任務は、「レバノン政府軍を補完する」ことにとどまり、「レバノン軍の(南部)地域入りを助けることで、レバノン政府を強化するのが目的」と、あくまでシニオラ政権を前面に立てる意向だ。
大統領はまた、当面のレバノンでの優先課題として<1>緊急の人道支援<2>暴力停止<3>避難民の帰還<4>復興支援――を挙げた。
ブレア首相は「国際部隊は、(レバノン南部に)戦って展開するものではない」と述べ、イスラム教シーア派組織ヒズボラとの合意が必要との認識を示した。決議案は来週中の採択を目指すという。
今回の合意内容は、伝えられているかぎり、これまでの米英のとってきた態度を大きく変えたものではない。部隊派遣は、米国が主張してきた、米国の考える「中東民主化」、つまり米国の思いのままに政権を維持すること、イスラエルの恒常的地位の確保、ヒズボラの弱体化を前提としたものといえるだろう。
米英両国は、別のエントリーでみたように、ローマで開かれた国際会議で他の欧州やアラブ諸国が求めた即時停戦に抵抗、国際世論に背をむけ、批判にさらされている。このため、『読売新聞』によれば、会見では「我々は暴力停止が緊急との意識を共有している」(ブッシュ大統領)と強調する場面が目立ったという。今回の合意は、こうした批判をかわすものでもある。(写真:読売新聞)
とくに英国では、イラク戦争で表面にでた米国・欧州間の溝が再び顕在化することを案ずる意見が広がっているという。また、ブレア政権の親米路線の「行き過ぎ」への批判の強まりは、野党・自由民主党のキャンベル党首は「ブレア首相の無批判な米政策受け入れは間違っているばかりか、英国の国際的評判を傷つける」との声明を発表したことにも表れている。対米追随はそれが度を過ぎると諸外国でも批判にさらされるようだ。わが日本国の政権は、ことあるごとに米国の顔色をうかがっている。それは、米国牛肉の輸入再開にも端的に表れているではないか。対米追随には英国に負けないくらいの、厳しい批判が必要だ。
YouGov社の世論調査によると、64%が「ブレア首相は米国の言うことは何でも聞く」と回答。25日付のICM社の世論調査では、63%が「あまりに米国寄り」と答えており、ブレア政権に対し、米国主導の対中東政策に是々非々で対応するよう促す声が高まっている(朝日新聞)。
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