ホウ・シャオシェンのミューズ、スー・チー主演

久しぶりに中国映画のご紹介。しかも監督は、カンヌ国際映画祭パルムドールに何度もノミネートされている、台湾出身のホウ・シャオシェン。ちなみにノミネート作品は…

審査員賞を受賞した「戯夢人生」（９３）、「好男好女」（９５）、「憂鬱な楽園」（９６）、「フラワーズ・オブ・シャンハイ」（９８）、「ミレニアム・マンボ」（０１）、「百年恋歌」（０５）の６本。

ホウ・シャオシェン監督作といえば、「冬冬（トントン）の夏休み」（８４）、「恋恋風塵（れんれんふうじん）」（８７）、「悲情城市」（８９）、「戯夢人生」（９３）などがあります。

ジュリエット・ビノシュ主演のフランス映画「ホウ・シャオシェンのレッド・バルーン」（０７）以来、８年ぶりに監督最新作が公開されます。それが「黒衣の刺客」（１５）です。

本作もパルムドールにノミネートされ、そして見事監督賞を受賞しました。カンヌ国際映画祭常連の感があるホウ・シャオシェン監督作品は、その美術の美しさにも注目です。

９世紀、唐代の中国。１３年前に何者かに誘拐された隠娘／ニエ・インニャン（スー・チー）が、両親の元に帰って来ます。涙ながらに迎え入れ、喜ぶ両親。

しかし、インニャンは嘉信／ジャーシン（シュウ・ファンイー）によって、非情な暗殺者として育てられていました。標的はかつての許婚者で今は地方財政を牛耳り、暴君となった…

田委安／ティエン・ジィアン（チャン・チェン）。インニャンは、どうしてもティエン・ジィアンに止めを刺すことができず、窮地に追い込まれてしまいます。そんな時、運良く…

日本人青年（妻夫木聡）に救われるのでした。彼は、遣唐使船が難破し旅の途中にあるというのですが…。スー・チーは「ミレニアム・マンボ」（０１）と「百年恋歌」で監督作品に主演。

本作が３作目。ルイ・レテリエ＆コリー・ユン監督、ジェイソン・ステイサム主演「トランスポーター」（０２）、チャウ・シンチー監督「西遊記 はじまりのはじまり」（１３）など、大活躍。

時計屋と呼ばれる男

５代目ジェームズ・ボンドを演じたピアース・ブロスナン。マーティン・キャンベル監督「００７／ゴールデンアイ」（９５）、ロジャー・スポティスウッド監督「００７／トゥモロー・ネバー・ダイ」（９７）

マイケル・アプテッド監督「００７／ワールド・イズ・ノット・イナフ」（９９）、リー・タマホリ監督「００７／ダイ・アナザー・デイ」（０２）…と、１７作～２０作まで４作品に主演。

現在はダニエル・クレイグですが、ブロスナンのタフでエレガントでユーモラスなボンドは、今も大好き。ボンド役を続ける意思はあったそうですが、結局降板。でも役のイメージが…

固定化しないように他の作品にも積極的に出演。それが「マーズ・アタック！」（９６）「マンハッタン・ラプソディ」（９６）「ダンテズ・ピーク」（９７）「トーマス・クラウン・アフェアー」（９９）

「テイラー・オブ・パナマ」（０１）など。もちろん、降板後の「ダイヤモンド・イン・パラダイス」（０４）「あぁ、結婚生活」（０７）「マンマ・ミーア！」（０８）「ゴーストライター」（１０）

「ケイト・レディが完璧な理由」（１１）「愛さえあれば」（１２）「ラブ・パンチ」（１３）「スパイ・レジェンド」（１４）などもあり。１９５３年５月１６日アイルランドのナヴァン出身の６２歳。

ジョン・エリック・ドゥードル監督「クーデター」（１５）に続く、最新作はジェームズ・マクティーグ監督「サバイバー」（１５）です。エリート外交官のケイト・アボット（ミラ・ジョヴォヴィッチ）は…

ロンドンのアメリカ大使館に派遣されます。彼女の任務は、アメリカへの不正入国を狙うテロリストたちを阻止すること。１２月２９日、ケイトはある不審な入国者に気付きます。

しかし伝説のテロリスト“時計屋”（ピアース・ブロスナン）に狙われ、爆破テロに巻き込まれます。テロの実行犯に仕立て上げられたケイト。そしてＮＹでのテロ計画を知るのでした。

ディラン・マクダーモット、アンジェラ・バセット、ロバート・フォスター、ジェームズ・ダーシー共演。ブロスナンは整形手術を繰り返し、誰もその顔を知らないというテロリスト役。楽しみ～。

ジェイクとケイティ、父娘物語

イタリア、ローマ出身ですが、ハリウッドでスター俳優を主演にして監督した作品が、いずれもヒット作となった監督がいます。ガブリエレ・ムッチーノと言います。覚えてます？

ウィル・スミス、ジェイデン父子主演「幸せのちから」（０６）、再びウィル・スミス主演「７つの贈り物」（０８）、ジェラルド・バトラー主演「スマイル、アゲイン」（１３）の３本です。

タンディ・ニュートン、ロザリオ・ドーソン、ジェシカ・ビールとそれぞれの共演女優もステキ！最新作は、なんとラッセル・クロウ主演！「パパが遺した物語」（１５）です。

１９８９年のニューヨーク。小説家のジェイク・デイヴィス（ラッセル・クロウ）は、妻と７歳の娘ケイティ（カイリー・ロジャーズ）と３人で幸せに暮らしていました。ある日…

ジェイクは交通事故を起こしてしまい、妻を失くしてしまいます。彼自身も長期入院となり、やむなくケイティは妻の姉エリザベス（ダイアン・クルーガー）に預けられることに…。

７ヶ月後、退院したジェイクは『れからはずっと一緒にいる』と、ケイティに約束します。事故の後遺症に苦しみながら書き上げた新作は、批評家に酷評されてしまうのでした。

さらにエリザベスと夫のウイリアム（ブルース・グリーンウッド）は、ケイティの教育権をめぐり訴訟を起こします。娘との生活を必死に守ろうとするジェイク。

そんな時、新たな小説に取り掛かります。それから２５年。ケイティ（アマンダ・セイフライド）は、大学院で心理学を専攻していました。彼女は過去のトラウマから…

人を愛せなくなっていました。ある日、父の小説の大ファンだという、キャメロン（アーロン・ポール）と出会います。彼と恋に落ちたケイティは、過去と向き合おうとするのでした…。

果たして、父の最後の小説とは？共演はクヮヴェンジャネ・ウォレス、ジャネット・マクティア、ジェーン・フォンダ、オクタヴィア・スペンサー。それにしてもラッセル、オヤジです。（ステキな）

“アルトマネスク”とは？

サム・ペキンパーに続いての映画人のドキュメンタリー作品、それが「ロバート・アルトマン／ハリウッドで最も嫌われ、そして愛された男」（１４）です。監督は、カナダ人のロン・マン。

アルトマンは、１９２５年２月２０日ミズーリ州カンザスシティ出身。第２次世界大戦では、爆撃パイロットだったそうです。戦後ミズーリ大学卒業後、コマ―シャルの仕事に就き、その後…

ドキュメンタリー映画「ジェイムス・ディーン物語」（５７）を製作し、ヒッチコック監督に気に入られて、ＴＶシリーズ「コンバット」（６２～６３）、「ギャラント・メン」（６２）などを監督。

監督デビューは「宇宙大征服」（６８）。「Ｍ★Ａ★Ｓ★Ｈ マッシュ」（７０）で、カンヌ国際映画祭パルム・ドールを受賞。「ロング・グッドバイ」（７３）「ナッシュビル」（７５）「ウエディング」（７８）

「ニューヨーカーの青い鳥」（８６）「ゴッホ」（９０）「ザ・プレイヤー」（９２）「ショート・カッツ」（９３）「プレタポルテ」（９４）「カンザス・シティ」（９６）「相続人」（９７）「Ｄｒ．Ｔと女たち」（００）

「ゴスフォード・パーク」（０１）などが主な監督作品。ロビン・ウィリアムズ主演「ポパイ」（８０）では、興行的に失敗し一時低迷した経験を持ちます。しかし、彼は常にまっすぐでした。

ロバート・アルトマンと言えば、多くの出演者が登場する群集劇がお得意。本作でもその交流の深さ、広さがよくわかります。インタビューに答えるのは、ポール・トーマス・アンダーソン監督

「宇宙大征服」のジェームズ・カーン、「ギャンブラー」（７１）のキース・キャラダイン、「ロング・グッドバイ」のエリオット・グールド、「ザ・プレイヤー」のフィリップ・ベイカー・ホール

「Ｍ★Ａ★Ｓ★Ｈ」のサリー・ケラーマン、「クッキー・フォーチュン」（９９）のライル・ラヴェット、「ショート・カッツ」のジュリアン・ムーア、「バード★シット」（７０）のマイケル・マーフィー

「ナッシュビル」でデビューしたリリー・トムリン、そして「ザ・プレイヤー」のブルース・ウィリス。アルトマンは、０６年１１月２０日ガンによる合併症により死去、８１歳でした。

本当のサム・ペキンパー

サム・ペキンパーがバイオレンス映画の巨匠として、その名を知らしめていたのは、１９６０年代から１９８０年代でした。映画のタイトルや評判は知っていても、実際には未見の作品が…

かなりあります。ペキンパーは、１９２５年２月２１日カリフォルニア州フレズノ出身。没年は１９８４年１２月２８日、５９歳でした。第２次世界大戦で海兵隊として従軍。

その後、舞台演出を学びますがＴＶ局で働くことに。そこでドン・シーゲル監督と出会い、「ボディ・スナッチャー／恐怖の街」（５６未）の脚本を担当し、出演もしています。

ＴＶシリーズ「ガンスモーク」（５５）、「ライフルマン」（５８）、「遥かなる西部」（６０）なども監督していたそう。西部劇の監督としても有名で、「荒野のガンマン」（６１）、「昼下りの決斗」（６２）

「ダンディー少佐」（６５）、「ワイルドバンチ」（６９）、「砂漠の流れ者」（７０）も監督。ペキンパー監督はその才能を認めれつつも、何かとトラブルが多かった人物でもあります。

生誕９０周年、没後３０周年の監督の生涯を紹介したドキュメンタリー映画が公開されます。製作から１０年、マイク・シーゲル監督「サム・ペキンパー 情熱と美学」（０５）です。

ペキンパー作品に出演した多くの俳優、女優が登場し監督を語ります。「ワイルドバンチ」「コンボイ」（７８）のアーネスト・ボーグナイン、「ビリー・ザ・キッド／２１才の生涯」（７３）の…

クリス・クリストファーソンとジェームズ・コバーン、「ゲッタウェイ」（７２）のアリ・マッグロウ、「戦争のはらわた」（７５）のセンタ・バーガー、「ガルシアの首」（７４）のイセラ・ベガ

他にもＬ・Ｑ・ジョーンズ、Ｒ・Ｇ・アームストロング、マリオ・アドルフ、デイヴィッド・ワーナー、ボー・ホプキンス…と懐かしい名前が！ペキンパー作品には、ダスティン・ホフマン主演…

「わらの犬」（７１）やスティーヴ・マックィーン主演「ジュニア・ボナー／華麗なる挑戦」（７２）、ルトガー・ハウアー主演「バイオレント・サタデー」（８３）などもあります。興味が湧きました？

Ｊ・Ｃ・チャンダー監督とオイル業界

劇場未公開の「マージン・コール」（１１）は、Ｊ・Ｃ・チャンダー脚本、監督作。さらに“ＭＡＲＧＩＮ ＣＡＬＬ”とは… コトバンクによると、『一般的には外国為替保証金（証拠金）取引において、

評価損が拡大し保証金（マージン）の担保余力が減少した際に、保証金の追加注入を依頼するための通知』とのことでした。難しいなぁ～。この作品はケヴィン・スペイシー、ポール・ベタニー

ジェレミー・アイアンズ、ザカリー・クイント、ペン・バッジリー、サイモン・ベイカー、デミ・ムーア、スタンリー・トゥッチと豪華俳優が共演。大手投資銀行が舞台の金融サスペンスドラマ。

ぜひとも見たいと思っていますが、こういう社会派ドラマの脚本を書くＪ・Ｃ・チャンダーは大注目！２作目がロバート・レッドフォード主演「オール・イズ・ロスト 最後の手紙」（１３）で…

セリフのない“我らの男”の海難ドラマでした。最新作もきっと期待に答えてくれるはず。それが、「アメリカン・ドリーマー 理想の代償」（１４）です。今度は、オイルビジネスがテーマ。

１９８１年、犯罪と暴力が氾濫するＮＹ。モラルを無視したつぶし合いが平然と行われているオイル業界で、移民のアベル（オスカー・アイザック）とアナ（ジェシカ・チャステイン）

のモラレス夫妻。２人は、クリーンなビジネスを信条にオイルカンパニーを築き上げます。さらに事業拡大に必要な土地購入の頭金として、全財産を投入。その直後でした。

彼の成功を阻止しようとする何者かに、積荷のオイルを強奪されてしまいます。その上、脱税疑惑、家族への脅威…次々とトラブルが襲い掛かります。悪い噂は一気に広まります。

銀行から融資を断られ、信頼し合っていた夫婦間にも亀裂が生じてしまうのでした。期限は３０日間。破産の危機が迫る中、アベルは？果たして、どうする？

「グローリー／明日への行進」（１４）のデヴィッド・オイェロウォと、アレッサンドロ・ニヴォラ、アルバート・ブルックス共演。２４の映画賞で４０のノミネート、６部門受賞の本作。必見です。

グレート・ピレニーズに夢中！

作品の解説に、日本でアニメ化されＴＶ放映されたとありました。セシル・オーブリー原作のベストセラ―児童文学『アルプスの村の犬と少年』。確かに「名犬ジョリィ」（８１～８２）のタイトルで…

ＮＨＫで放送済み。未見なので知りませんでした。ちなみにセシル・オーブリーは俳優で、「情婦マノン 」（４８）や「黒ばら」（５０）、「青ひげ」（５１）に出演していたそうです。

彼の『アルプスの村の犬と少年』を、「狩人と犬、最後の旅」（０４）のニコラ・ヴァニエが映画化。「ベル＆セバスチャン」（１３）です。登場する大きく真っ白な犬は…

グレート・ピレニーズという犬種で、山岳地帯の斜面で羊飼いに家畜の群れの護衛として飼われています。１９４３年ナチス占領下のフランス。雄大なアルプスの麓の小さな村。

孤児の少年セバスチャン（フェリックス・ポシュエ）は、いつか母親が迎えに来ると信じ、おじいちゃんのセザール（チェッキー・カリョ）と暮らしています。ある日、セバスチャンは山の中で…

巨大な１匹の野犬と出会います。人間や家畜を襲う“野獣”だとして、村人たちは犬を殺そうとします。セバスチャンは必死で犬を庇い、ベルと名付け、世話をするのでした。

やがて孤独なセバスチャンとベルは、心を通わせていきます。同じ頃、村には戦争が影を落とし始めていました。そして、ナチスに追われるユダヤ人一家を救うことになります。

命がけで危険な冬のアルプス越えに道案内人として挑む、ベルとセバスチャン。雪と寒さとナチスの冷酷な追っ手。果たして、無事にアルプス越えに成功するのでしょうか？

セバスチャンを演じるフェリックス・ポシュエは、２００５年パリ生まれ。２４００人もの中からオーディションで選ばれ、映画初出演。すでに本作の続編にも出演しているそうです。

白髪のチェッキー・カリョは、１９５３年１０月４日トルコのイスタンブール出身。リュック・ベッソン監督「ニキータ」（９０）「ジャンヌ・ダルク」（９９）などでお馴染み。犬好きはぜひ！

色彩遠近法と風景画

オーストリアのウィーンにある“美術史美術館”。日本では“ウィーン美術史美術館”と表記されています。いずれにしても、１８９１年に開館し現在ではウィーン大学の一部だそうです。

日本でもたびたび収蔵作品が来日しているので、いつの日か行ってみたい美術館の１つではありますが…。そうは言っても気軽には行けませんから、来日展は見逃せません。

渋谷のザ・ミュージアムで開催の「ウィーン美術史美術館所蔵 風景画の誕生」は、タイトル通り、風景画にこだわる興味津々の展覧会です。日本では印象派の人気が高く…

風景画を観賞するチャンスがたくさん。かつて絵画は、宗教画や肖像画が主でした。聖書の物語や王侯貴族の権威を示す作品です。しかし、レオナルド・ダ・ヴィンチの『モナ・リザ』

（１５０３～１５１９年）の背景には曲がりくねった小道や人気のない橋、木々や山々も描かれています。宗教画や肖像画の背景にも、しっかりと風景画が描かれていたんですね。

美術史上初めて風景画家と呼ばれたのは、ヨアヒム・パティニールと言われています。知りませんでした。パティニールは、現在のベルギー南部出身、初期フランドル派の画家です。

色彩遠近法を使った『聖カタリナの車輪の奇跡』（１５１５年以前）は必見です。パティニールってどんな画家か楽しみ。展示作品には、ホーホストラーテンの画家『聖母子と聖カタリナと聖バルバラ』

１５１０年頃。南ネーデルラントの画家『東方三博士の礼拝』（１５２０年頃）。アールト・ファン・デル・ネール『月明かりの下の船のある川の風景』（１６６５～７０年頃）。

アダム・ペイナーケル『ティヴォリ付近の風景』（１６４８年頃）。通称：カナレット『ヴェネツィアのスキアヴォーニ河岸』（１７３０年頃）など。印象派の作品とは違いますが…

第１章）風景画の誕生と、第２章）風景画の展開…で風景画の歴史的流れを確認してみませんか？そして、ウィーン美術史美術館の素晴らしい作品たちを堪能しましょう！

不良少年と父

８月もあと少し。夏休みの話題作はもう見ましたか？「ミニオンズ」（１５）、「アベンジャーズ／エイジ・オブ・ウルトロン」（１５）、「ターミネーター：新起動／ジェネシス」（１５）

「ジュラシック・ワールド」（１５）、「ミッション：インポッシブル ローグ・ネイション」（１５）、「ゴッド・ヘルプ・ザ・ガール」（１４）、「ラブ＆マーシー 終わらないメロディー」（１５）

「彼は秘密の女ともだち」（１４）と、見逃せない作品ばかり。劇場はいつも混んでます。けれどもう秋の作品が始まります。予告編では来年の作品も紹介され始めています。待ち遠しい。

話は変わりますが、オーストリアのメルボルン出身のベン・メンデルソーンをご存じ？珍しい名前なので、覚えているかも。１９６９年４月３日生まれの４６歳。気になる俳優です。

デビュー作は、ジョン・ダイガン監督「君といた丘」（８７）。デヴィッド・ミショッド監督「アニマル・キングダム」（１０）、デレク・シアンフランス監督「プレイス・ビヨンド・ザ・パインズ／宿命」（１２）…

リドリー・スコット監督「エクソダス：神と王」（１４）、ライアン・ゴズリング監督「ロスト・リバー」（１４）と、出演作も気になるものばかり。いつもどこかで見ている感じ。

「猟人日記」（０３）「パーフェクト・センス」（１１）のデヴィッド・マッケンジー監督「名もなき塀の中の王」（１３）にも、出ています。１９歳のエリック・ラブ（ジャック・オコンネル）は…

少年院で暴力事件を起こし、刑務所へ移送されます。凶暴で気の強いエリックは、刑務所内でも反感を買ってしまうのです。ところが、ことあるごとに彼を庇う人物が…。

それは長期刑のネビル（ベン・メンデルソーン）という男。実は、ネビルはエリックが幼い時に生き別れた父親でした。将来を思い事実を告げず、命がけで彼を守ると決意します。

メンデルソーンはケヴィン・マクドナルド監督「ブラック・シー」（１４）に、オコンネルはヤン・ドマンジュ監督「ベルファスト７１」（１４）に出演。ルパート・フレンド共演です。

最高のパフォーマンスとスキャンダル

“ライブ・ビューイング”というのをご存じですか？多くの劇場で上映されて知るので、ポスターやチラシ、または実際に見られた方もいらっしゃるかも。演劇、ミュージカル、オペラ…

バレエなど、劇場で上演されたパフォーマンスを映画として見ることができるのです。渋谷の文化村にある、ル・シネマでは、バレエのライブ・ビューイングを多く上映しています。

またライブ・ビューイングではないですが、バレエやタンゴなどのドキュメンタリー映画も多く上映している劇場なんです。その他、コンサート、ファッション、絵画、美術館なども。

「アルゼンチンタンゴ 伝説のマエストロたち」（０８）、「フラメンコ・フラメンコ」（１０）、「バレエに生きる パリ・オペラ座のふたり」（１１）、「ファースト・ポジション 夢に向かって踊れ！」（１１）

「至高のエトワール パリ・オペラ座に生きて」（１３）など、本当にたくさん。ロシアのモスクワにあり、世界的に有名なボリショイ劇場を本拠地とするボリショイ・バレエ団。

そのボリショイ・バレエ団で起きた事件を覚えていますか？ニック・リード監督「ボリショイ・バレエ 華麗なるバレエの裏舞台」（１５）は、初めてカメラがその舞台裏を捉えました。

２０１３年１月１７日夜。ボリショイ・バレエ団の元プリンシパルで芸術監督のセルゲイ・フィーリンが、自宅の外で覆面の男に襲撃されます。顔に硫酸を浴びせられたのです。

重傷を負ったフィーリンは、片目を失明。犯人はバレエ団のソリスト、パーヴェル・ドミトリチェンコでした。世界的に有名なバレエ団に起きた事件と、その犯人逮捕で受けた衝撃は…

計り知れないものでした。さらにドミトリチェンコの起訴によって、次々に明るみになるバレエ団の内情。やがて新たな芸術監督が就任します。しかし、事件後退団するダンサーが続出。

果たして、バレエ団の行方は？当然、素晴らしいバレエ・パフォーマンスも描かれます。『白鳥の湖』 『ラ・バヤデール』 『スパルタカス』 『イワン雷帝』など。バレエは美しい…。