セピア色の映画手帳 改め キネマ歌日乗

映画の短い感想に歌を添えて  令和3年より

「ペティコート作戦」

2018-11-11 22:53:44 | 外国映画
 「ペティコート作戦」(「Operation Petticoat」、1959年、米)
   監督 ブレイク・エドワーズ
   原作 ポール・キング   モーリス・リッチマン
   脚色 スタンリー・シャピロ   モーリス・リッチマン
   撮影 ラッセル・ハーラン
   音楽 ジョセフ・ガーシェンソン
   撮影 ケイリー・グラント
      トニー・カーティス
      ジョーン・オブライエン  

 今年のGWに観ようと思ったけどDVD未発売で断念、それが、今日TSUTAYAへ行ったら発掘良品で陳列されてた、お陰さまで40ン年振りに再見、TSUTAYAさん、ありがとう。
 ビートルズの「イエロー・サブマリン」ならぬ「ピンクの潜水艦」のコメディ。

 太平洋戦争開戦2日後、フィリピン、スービック軍港に停泊中の潜水艦「シー・タイガー」は日本軍の奇襲を受け敢え無く沈没。
 艦長のヘンダーソン(フィリピンの空軍基地だね)大佐は、米軍がフィリピンを撤収する2週間内に引き揚げ、応急修理しオーストラリアのドッグまで航行する事を司令部へ約束する。
 そこへ実戦経験も何もなく上官の奥様達の機嫌を取って暮らしていた海軍娯楽係ホールデン大尉(別会社のスターのおちょくり?)が赴任して来る、迷惑顔の艦長だが彼が主張する調達力を一応信じて補給将校に任じる。
 彼の能力で主要部品の調達に成功するが、寄港地で調達した塗装剤は上塗りのペンキがなく、下地は混ぜ合わせた結果ピンクに、更に緊急避難した島から陸軍看護婦隊まで調達してきて・・・。

 あくまで個人的感想ですがB・エドワーズという監督の本質はコメディよりシリアス劇の方に有ったのかもしれない、「酒とバラの日々」、「ティファニーで朝食を」等、「ティファニー〜」の失敗は会社の意向、M・モンローの拒否もあって、セレブ向けとは言え娼婦の役を気品が売りのヘップバーンに振った事、素晴らしいファッション・アイテムではあるけど彼女に娼婦役は合わない、案の定、ファッション的(音楽的にも)には成功したけどミス・キャストの汚名を着る羽目に。(この映画のヒロインが娼婦でないと言う方は「トイレで$50」の意味を納得いくように説明して下さい、男なら、それがハンドジョブかブロゥジョブ、多分、前者を意味するとピンときます〜当時のレートは$1¥360〜それが騒動の後、主役がヒロインに$50押し付ける意味に繋がる、M・バルサムはマフィア組織のその部門の元締め)
 只、この監督のコメディ・センスが当時のハリウッドの中でも輝いていたから、コメディ監督として重宝されてしまった、エドワーズ監督のコメディは瞬発力、持続力共に陸上競技で言えば中距離選手、競馬なら1600~2400で30000mという映画ではガス欠を起こしてしまうんですよ、それは「グレートレース」、「地上最大の脱出作戦」を観れば一目瞭然。(そこが、B・ワイルダーとの差)
 彼が「THE END」までコメディのクオリティを保った作品は少なく、最後まで持続できた貴重な一つが本作、その代わり、瞬発力を捨てイーブンペースで速力を維持した、そんな感じ。
 このコメディ作品の成功はツッコミにT・カーティスを持ってきて女優相手のボケ役を得意としていたグラントに男相手のボケ役を演らせた事にあると思います。(女優相手なら彼の愛嬌が強力な武器になるけど男相手じゃ渋面作るしかない(笑))。

 B・エドワーズ監督のコメディ部門、破壊力だけなら「地上最大の脱出作戦」、作品の質なら本作が僕のNo.1。(3番目は皆の評価の低い「ピンクの豹」かな、3番目はこれも大昔、TVで見ただけだから何とも言えない)
 太平洋戦域とは言えヘンな日本機(テキサン?)と東京ローズ(声のみ)くらいしか出てこなくて、取り敢えずの日本印みたいなもんだから、日本人が観ても特段、差し障りはないと思います。
 今から観れば大変緩いコメディだけど、僕は楽しく観終えました。

※「ティファニーで朝食を」のヒロインは、やはり皆が言うようにM・モンローが適役、若しくはシャーリー・マックレーン、但し、映画が今のように残ったかは予測不能。
※不調のエンジン音、艦名に合わせて虎を使ってるんだとか、確かに聞き直してみたら、ありゃ虎だわ、イビキも使ってる。(笑)
※この監督のもう一つの戦争コメディ「地上最大の脱出作戦」でも死者は1名(撃ち合いでなく住民による毒殺)、こちらは空襲、誤爆もあるけど死人無し(多分)、気楽に観られる作品です。
※懐かしのTVドラマ「奥様は魔女」の二代目ダーリンが乗ってました。(笑)

 H30.11.11 
 DVD
 
コメント (2)
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