セピア色の映画手帳 改め キネマ歌日乗

映画の短い感想に歌を添えて  令和3年より

「わたしは、ダニエル・ブレイク」

2018-02-04 22:58:04 | 映画感想
 「わたしは、ダニエル・ブレイク」(「I, DANIEL BLAKE」、2016年、英・仏・ベルギー)
   監督 ケン・ローチ
   脚本 ポール・ラヴァティ
   撮影 ロビー・ライアン
   音楽 ジョージ・フェントン
   出演 デイヴ・ジョーンズ
       ヘイリー・スクワイアーズ
       ディラン・フィリップ・マキアナン
       ブリアナ・シャン

 心臓発作で倒れ職を失ったダニエル、彼の前に立ち塞がる役所の厚
い壁・・・。

 去年観た「幸せなひとりぼっち」と似た感じ。
 「幸せなひとりぼっち」は老境をどう生きるかが主題だったと思うけど、
こちらは、もっと社会派作品。(ダニエルは初老の入り口辺りで、老人と
いう訳でないけど病後静養中)
 作品は、弱者の為のシステムがマニュアルでしか動かず、人間性を失
い、それによって弱者がより一層疎外され転落していくイギリスの現状を
告発しています。
 似た結末でも、ハッピーエンド感のある「幸せな~」と違い、僅かな救い
はあっても何一つ変わらぬ状況が続く本作は暗澹たる気持ちにさせられ
ます。
 家持ち年金生活者のオーべとホームレス手前のダニエルという経済
格差が根本にあると言ってしまえば、身も蓋もないのですが。
 頑なで排他的なオーべより、正直で他人に親身になれるダニエルの
方が救われないのは、映画の中とはいえチト辛いかな。

 景気が悪く失業者も多いから、生活保護局もフルイの目を粗くして落
せる者は容赦なく落すのだろうけど、やがて、日本も同じになるんだろ
うな。

 予告編 https://www.youtube.com/watch?v=NE9QXcEWQaE

※イギリスでは医師の診断書に信用がないの?

 H30.1.28
 DVD
コメント
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