興趣つきぬ日々

僅椒亭余白 (きんしょうてい よはく) の美酒・美味探訪 & 世相観察

ドアを閉めさせていただきます

2006-03-04 | チラッと世相観察
 先日の朝日・天声人語にこんな記述があった。
《…▼日本社会は親切すぎる社会ではないかと思うときがある。おせっかい社会と言ってもいいかもしれない。たとえば電車で。乗ってドアが閉まってから「危ないですから、駆け込み乗車はおやめ下さい」と、構内放送がある。(もう乗っています)▼…》(2001.8.23)

 たしかに、この「…駆け込み乗車はおやめ下さい」というアナウンスは、駅のホームでよく聞く。しかし、わたしはこれを聞いて、「親切」や「おせっかい」を感じたことはない。「責任回避」、「予防線をはる」というような言葉が浮かんでくる。
 つまり、(駆け込み乗車で、滑って転んでケガをしても、こちらは責任をもてません。われわれはこうしていつも注意を喚起しているのですから)と言っているように聞こえてしまう。

 でも、よく考えてみれば、ケガ人が出て電車が遅れるようなことにでもなったら、駅員だけでなく、たくさんの乗客にも迷惑がかかる。ほんとうは、責任回避ではなく‘乗客のため’と解すべきなのであろう。「親切」ではなく「管理」である。

 先日乗った新幹線で、東京駅発車直後に、やはり「駆け込み乗車はおやめ下さい」というアナウンスがあった(これは車内に)。だれかが、ぎりぎりに飛び乗ったのにちがいない。このアナウンスには、親切どころか「怒り」がにじんでいた。

 構内放送といえば、最近よく聞くアナウンスに、
「ドアを閉めさせていただきます」
というのもある。
 これは、少していねいすぎるのではないだろうか。「ドアを閉めます」または、「ドアが閉まります」で十分と思う。
 「させていただきます」と表現する裏には、乗“客”に高飛車な印象を与えまいとする「配慮」が窺える。

 鉄道の人たちも、「管理」し、「配慮」し、さらに「サービス向上」もはからねばならず、たいへんだと思う。
 わたしとしては、「管理」も「配慮」もいらないので、その分、確かな「安全」と、ラッシュ時過密の緩和という「サービス向上」をお願いしたい。
2001.9.6

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