余白のメモ

詩と短歌と好きな本
指の上で四季はほほえむ

怒り

2021-11-19 22:53:58 | マイブック(や~わ)
「怒り」
      吉田修一 訳

だれも救われない。
きっとそう。
犯した罪や奪われたものたち。
なにがほんとう、なにがしんじつ。
それでも歩み続けるのは生きるという
ほんの小さなともし火のため。
怒り。
この本に怒りはそっとしか描かれない。
でも怒りは人のエネルギーとなる。
良い方にはまずいかない怒りという感情。
隣り合わせなのか、背中あわせなのか
喜怒哀楽の重複が、光と影の顔かたちを現し、
隠れさせる。
逃亡犯、山神一也の顔に似ていたために関わった、
三つのストーリー。
怒りはやがて悲しみとなる。
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アンチ

2021-11-19 22:43:03 | 十五の詩
見つからない真白な地図
失われた怪奇の波高
照らされる右側と
隠された左
二面性の島の上には
激しい雨が降っている
息つまる胸の苦しみ
残した生きた証し
書き残した断片は
無謀な地図に当てられる
光のささない地図
心臓にさされた
芳香の冒涜
アンチは地図に杭を刺す
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足跡

2021-11-19 22:41:33 | 十五の詩
沈み込んでいく地面
見上げた白い太陽
太陽から生まれる幻の影
甘いけむり
押さえ込んできた心の激流は
だしてはいけない
誰かの幸せを願うなら
彼方の幸せを願うなら
心のナイフは妖しい波
止められるのは自らを傷つけること
他者には与えられない苦しみは
パズルとなって
足元にぱらぱらと転がり落ちる
危うい狂気は泪となり
記憶のピースが風に吹かれる
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苦しみ

2021-11-19 22:40:20 | 十五の詩
偽りの自分
いつしか何が真実なのか
わからなくなった
内に潜む塊が疼く
甘えてはいけない
 隠された奥底と
  犯し続けた透明の瞳
   本当を偽る紫めの唇
苦しみは僕が生きる理由
悲しみは僕の魂の半分
 傷つき崩れ落ちるのは
  傷つけられたものだけが
許されるもの
まとわりつく命の灯火は
   儚い影の夢
夢は表裏一体
うすい色素は空色に染まる
許されない灼熱に悶えながら
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あお

2021-11-19 22:37:49 | 十五の詩
ここは暗いなあ
明かりがほしいなあ
窓のちいさい部屋
てんめつする雪の花
空からひらひら落ちる
無数の結晶

横たわるのは死の影
上を見ると嘘の生
妖精はここにはいない
甘みのない体は誰にも触れられない
  あお・・・

瞳の奥に燃えあがる幻の私小説
偽りの風景ともろい階段
焦がしていく肌の重みと
移動する静寂の音

そしてあなたが側に
手を伸ばしても触れられない・・
  あお・・・
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