どうすることもできないと
たぶん君は分かっていた
だから笑っていたね
僕の姿を瞳にうつして
明日は雨が降るといいながら
タバコをぷかぷか吸っている
ぼんやり空を見上げながら
大きなキャンバスに描くように
あの日のことをうつしてる
誰か教えてくれないかな
いとしいあのこの忘れ方
僕は知らない忘れ方を
こんなに切ないココロなら
雷のなる空の彼方
胸にまで響く轟音が
よこしまな僕を打ちつけた
押さえ込まれた圧力を
微動だにしないとどろきは
伝説の竜を引き連れて
光と音を投げつけながら
地上に衝撃を与える
身が震えるほどのはげしさで
鼓膜が爆発する
圧倒される自然の驚異に
僕は叫びを上げながら
ダダイズムが胸のしんから
浸透する
僕はミカンを書いている
あのまあるいミカンさ
成熟してるかわからない
だから味もどうなんだか
とにかくミカンを書いている
コロコロころがるまあるいミカンを
ミカンは未熟な僕の思い出さ
「独女日記2」
藤堂志津子 著
エッセイ、ささやかな日々。
そうささやかな日々。
愛犬はなとの日々。
62歳のわたし。
年を経ておもうこと。
変わること、思い出。
そしてやっぱりはな。
すがすがしく、たのしく、
でもちょっぴりせつなく。