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余白のメモ

詩と短歌と好きな本
指の上で四季はほほえむ

幸福な王子

2020-10-21 17:40:51 | マイブック(あ)
「幸福な王子」
      オスカー・ワイルド 著
        西村孝次 訳

幸福な王子の物語がとても好き。
王子とツバメの関係。
ナイチンゲールとばらの花の物語もとても好き。
ナイチンゲールの切ない血のばらのいろ。

無音

2020-10-21 09:38:34 | 天秤の詩
手に持った感触はあるけれど
見失う
それはほんとうに見失う
そばにあっても、目にうつってはいても、
光にあたってはいても
さわれない
鳥の囀り、木々のザワツキ、
景色の色さえ
当たり前にあったものたちが
意味をまったくなさず
すとんとおちる
過程はあったのだろうし
思考の渦にとらわれたのだろうし
黒に白が映えすぎたせいか
闇の中で雪虫が飛ぶ
「世界」のむかしからつながれた
愛のカタチがこの今の現状を
秤にかける
それは暴きだされたのか
もともとあったものなのか
到達してしまったのか
「違和感」が空中に浮かび
この違和感が感情の発露を
誘発するよう
ポケットのコインをさわりながら
数字に見いだされた
個という単位が
またすこし広げて家族という単位が
固定され
持っていた死生観は割れる
世界中の悲しみが、
世界中の怒りが、
世界中の嘆きが、
体のなかに染み込んでいきすぎ
すべての哀しみと同居する
顔、顔、顔、
一輪の花はあったのに
一部分変色したせいで
手を差だせない
その執着もまた
変容に飲み込まれていく
「無音」
世界の空にあり
音はあるが
確かに聞こえてはいるが
今この時のカタチは
音のある無音の世界
静寂とはほど遠い無音が
心に宿る