阪神甲子園駅を降りたら、そこはもう虎の街だった。
グッズショップも、ローソンも吉野家も。森田公一の青春ベストテン風に言えば、「トラ、トラ、トラー」の世界。
ほぼ阪神ファンしかいない世界。これは凄い。
ホテルに行き、荷物を置いて甲子園球場へ。そしてレフトスタンドへと陣取る。やっぱり美しいスタジアムだった。甲子園の土と天然芝のコントラストが映える。日本一の球場だと思った。
阪神対カープ。
試合は序盤に阪神のエース藤浪をカープが攻略し、3点を先取。カープもエース大瀬良を擁し、阪神は連敗街道まっしぐらだったから、正直なところ、「勝ったな」と思った。さて、試合後はどこで祝杯をあげようかと、近所の酒場を検索した。すると、良さそうな町中華を見つけた。22時まだ営っているらしい。酒のメニューも豊富だ。早くうまい酒が飲みたい。そう思っていると、たちまちタイガースに同点にされた。嫌な予感がした。これって負けパターンじゃないかと。抑えのエース、栗林を除けば脆弱なカープの救援陣。サヨナラは必至だなと思っていると、意外にもその救援陣が踏ん張った。気がつくと延長12回。時刻は10時半をまわり、場内アナウンスでは終電のお知らせが流れてきた。近所のホテルに泊まる自分に終電はないが、あたりをつけていた町中華はもう閉まったはずだ。とにかく腹が減った。
結局試合はドロー。勝てなかったのは仕方ないが負けなくて良かった。球場を出ると、多くの人は駅へと向かった。さて、どこへ行こうかと辺りを見回す。
正直なところ、思っていた町と違っていた。もっと、ごちゃごちゃした町に甲子園があると思っていた。勝てば酒場で祝勝会、負けて酒場でくだをまく。甲子園はそんな町だと思っていた。だが、観客らは真っ直ぐ駅へと向かう。店がないのだ。
駅に隣接するショッピングセンターには「サイゼリヤ」の灯りが見える。仕方ない、あそこに行くかと歩きだすと、「白木屋」の看板が目に留まった。お、チェーン店だが、居酒屋に変わりはない。今夜はここで一人お疲れ様会をするか。
席についてタブレットのメニューを眺める。分かりにくいし味気ない。「酎ハイ」が欲しかったがどうせ甘ったるいのが来るのだろう。ここは無難な「生ビール」(438円)から。つまみはやめてもう〆のメニューをいただくか。
タブレットの頁を繰っていると、いいのが見つかった。
「オムソバ」(548円)。
安くはないが高くもない。その「オムソバ」をオーダーすると、黄色いオムレットにマヨネーズのストライプが入った料理が出てきた。
まるでタイガースじゃないか。
腹が減っていたから、無我夢中で食べた。うまい。とにかくうまい。
結局これにて会計。。朝6時半に家を出て、今時刻は日付をまたごうとしている。疲れたな。
レジでは1,568円を請求された。いや、ビール一杯と「オムソバ」にしては随分高くないかと思い、店員さんに尋ねるとお通しとチャージが440円ですと言われた。随分法外だ。しかも、それに10%の深夜料金がオンされているとのこと。高いはずだよ。チェーン店て、結局高くつくんだよね。
さて、宿に戻るとするか。
オムソバが548円なのに。
よく大阪でこういう値段で営っていけますねぇ。
ここは阪神甲子園球場がある駅前の立地です。タイガースが勝っても負けても、恐らくそれなりにお客さんが入るのでしょう。
恐らくそれなりのテナント料だと思うんですが、この値段が示すように、それを上回る売り上げがあるのだと想像します。
だって、現に自分も周囲にお店がなく、仕方なくここに入った訳で。