古巣のT根から誘いが来た。「飲みましょう」と。
なんか構えちゃうんだ。
「ちょっと様子を見てこい」と、誰かが指示したのではないか。ただ、T根は、それほど頭がキレないから、彼にはいつもこう言っている。
「プー太郎だよ」。
すると、彼は決まってこう言う。
「昼間は何をしてるんですか」。
なるべく人には、本当のことは言わないようにしている。
「ぼちぼちです」というのが、一番無難だ。大阪人は、それをよく理解していると思う。それは、「知らんけど」も同じだ。
「たまには埼玉で飲む?」と言っても、彼は「赤羽」を主張した。困ったな。赤羽は飲むところは多いけど、納得できるお店は少なかったりする。
でも、まぁ仕方ない。赤羽で待ち合わせをして、合流。結局、一番街に来て、「まるます家」の角を左に折れたら、なんだかピカピカしてるお店が目についた。はじめ、その店は、「串かつ田中」かと思った。店が黄色っぽかったからだ。だが、やけに装飾が派手だった。
やがて、店に近づくと、それが、「田中」でないことが分かる。看板には、「からあげ番長」と書かれていた。なんだか、お店が賑わっているし、この日は座りたい気分だったから、入ってみることにした。
席に座ると、有無も言わさず、馬鹿でかい唐揚げがどーんと置かれた。お通しらしい。一瞬、無料かと思ったが、390円らしい。でも、いずれ唐揚げは頼む訳だから、まぁいいかとなる。多分、これ、戦略だろう。
飲み物が驚くほど安かった。
「ハイボール」の普通サイズが、99円。「番長」サイズが289円。「酎ハイ」は普通サイズが199円、「番長」サイズが499円〔いずれも税抜)。
どれ、ちょっと「番長」の実力を見せて貰おうじゃないかと、「酎ハイ」の「番長」サイズをオーダーした。
確かにジョッキはでかい。通常サイズの3から4倍はありそうだ〔左が通常サイズ、右が「番長」サイズ)。焼酎は、キンミヤらしい。
お通しには、クイズが書かれた紙がついてきた。クイズに正解すると、99円の唐揚げ用トッピングが貰えるらしい。そのクイズは「唐揚げ番長の経営理念はどれか」という問題で、三択だったが、どれも当てはまりそうな回答群だった。
T根は適当に答えをいうと、見事に正解した。多分、どれを言っても正解のような気がする。
店には、色紙のサービスがあった。有名人の色紙が店に飾られている、あれである。有名人でもない自分らだが、無料で色紙にサインでき、しかもそれを店内に飾ってくれるらしい。我々はトライした。考えてみると、顧客固定化策としては理に叶っていると思う。だって、必ずリピートするはずだ。自分のサインがお店のどこに飾られているのか、誰もが気になるだろう。
ドリンクの安さがとにかくすごい。
「番長」サイズの「ハイボール」なら、4杯飲んでも、税込で1,000円ちょっと。お通しと「番長」だけでも、充分センベロだ。
最近、唐揚げがちょっとしたブームなのか、至るところで見かけるようになった。「天才」もいれば、「番長」もいるのだろう。
さんざん飲んだのに、結局、2人で4,200円。
安い。相当安い。
もしかすると、ドリンクだけ見れば、赤羽最安かもしれない。さて、いずれ再訪しなければならないのは、自分とT根のサインが飾られているのを、いつか見に行かねばならないからだ。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます