地下鉄淡路町を降り、JR神田駅の方向に向かう。
しばらく、見ない神田は何故か新鮮だった。特に町並みが変わったわけでもないのだが、NTT神田局に差し掛かった辺りで、旧会社社屋を眺めるとノスタルジックな気持ちがこみ上がってきた。
今pと久々に飲むため、神田駅を目指す。
さて、どこで飲もうか。
山田家(居酒屋放浪記NO0035参照)でFさんが教えてくれた「鶏刺」を食べるのも悪くない。とりあえず、神田駅ガード下沿いを歩いた。
山手線外側から物色し、適当なお店がなければ、内側のお店に流れていこうと考えていた。すると、神田駅東口傍のガード下に温かみのある香りが鼻腔についた。
おでんである。
今年は、まだそれほど寒さがこたえるわけでもないが、冬にはやはりおでんが恋しくなる。店の目の前でその香りを確かめていると、厨房で料理を作る店のおやじと目があった。
「どうぞ、お二人さん」。
と掛け声がかかり、お店に入ることにした。
お店の名前は「岩波」。
間口が狭く、奥行きは深い。一階はカウンターとテーブル席。我々は二階のテーブル席に腰を下ろした。
二階にはひとりの女性店員がいた。特に若くもなく、さりとて老いてるわけでもない。 その女性に早速、おでん盛り合わせと生ビールを頼んだ。
ジョッキに注がれたビールはすぐさま運ばれてきた。
「はい、お待ちどう」という女性店員の応対には、いくらか棘のようなささくれだつ含みを感じ取った。誤解がないようにいえば、それは決して悪びれたものではなく、自分を 誇示しようとする無意識の虚勢に感じられた。
わたしは、「どうも」とお礼を言いながら彼女の顔を見た。
上品とはいえないが、古びれた居酒屋で働くような容姿でもない。辛気臭い雰囲気の居酒屋で、しかも2階の一角で注文を取るだけの手合いにはどうしても見えないのである。
そうこうするうち、おでんも運ばれてきた。やはり、少し冷淡な物言いでお皿をテーブルに置く。そうして、やっと気がついた。その応対は「ぞんざい」や「冷淡」ではなく、大衆居酒屋に不慣れな、或いはミスマッチさが招いているようなのだ。
もしかして、このおばはん、以前は銀座のママだったのではないだろうか。
銀座でそれほど大きくもないスナックを持っていたのだが、不景気により店をたたまなければならず、こうして辛気臭い居酒屋に流れてきたのではないだろうか。
だから言外に「本当はこんなところにいる女ではないのよ」とニュアンスが混じるのではないか。
店内にいしだあゆみが歌う「昨日の女」が流れてきた。
おでんは、じっくりと煮込まれしっかりと味が沁みて、ものすごくいい味を出していた。おでんはすっかり中まで茶色に染まり、ホクホクのうまさだったし、昆布も蒟蒻もがんもどきも頗るうまかった。
おでんを出すお店は数々あれど、本当にうまいお店は意外と少ない。
その点、「岩波」は「当たり」だった。
焼酎を頼んだ。「蕪村」のボトル。お湯割りの梅干し入り。
相変わらず、店内は懐メロが流れてくる。松竹映画のような、こんな居酒屋では安い焼酎のお湯割がよく似合う。頭上を走る山手線の音が更に郷愁を掻き立てるのだ。
我々は、牛筋にかぶりついた。ほどよいだし汁が牛筋の肉汁と合わさって口の中に広がっていく。
「うん、これはうまい!」
わたしと今pが顔を合わせる。
影のある女店員は他のお客のオーダーを取っているところで、その後姿だけがここからは見える。
冬は暖かいおでんに温もりを求める。心も冷え切ってしまわぬよう。
きっと誰もがそう思っているのだろう。
しばらく、見ない神田は何故か新鮮だった。特に町並みが変わったわけでもないのだが、NTT神田局に差し掛かった辺りで、旧会社社屋を眺めるとノスタルジックな気持ちがこみ上がってきた。
今pと久々に飲むため、神田駅を目指す。
さて、どこで飲もうか。
山田家(居酒屋放浪記NO0035参照)でFさんが教えてくれた「鶏刺」を食べるのも悪くない。とりあえず、神田駅ガード下沿いを歩いた。
山手線外側から物色し、適当なお店がなければ、内側のお店に流れていこうと考えていた。すると、神田駅東口傍のガード下に温かみのある香りが鼻腔についた。
おでんである。
今年は、まだそれほど寒さがこたえるわけでもないが、冬にはやはりおでんが恋しくなる。店の目の前でその香りを確かめていると、厨房で料理を作る店のおやじと目があった。
「どうぞ、お二人さん」。
と掛け声がかかり、お店に入ることにした。
お店の名前は「岩波」。
間口が狭く、奥行きは深い。一階はカウンターとテーブル席。我々は二階のテーブル席に腰を下ろした。
二階にはひとりの女性店員がいた。特に若くもなく、さりとて老いてるわけでもない。 その女性に早速、おでん盛り合わせと生ビールを頼んだ。
ジョッキに注がれたビールはすぐさま運ばれてきた。
「はい、お待ちどう」という女性店員の応対には、いくらか棘のようなささくれだつ含みを感じ取った。誤解がないようにいえば、それは決して悪びれたものではなく、自分を 誇示しようとする無意識の虚勢に感じられた。
わたしは、「どうも」とお礼を言いながら彼女の顔を見た。
上品とはいえないが、古びれた居酒屋で働くような容姿でもない。辛気臭い雰囲気の居酒屋で、しかも2階の一角で注文を取るだけの手合いにはどうしても見えないのである。
そうこうするうち、おでんも運ばれてきた。やはり、少し冷淡な物言いでお皿をテーブルに置く。そうして、やっと気がついた。その応対は「ぞんざい」や「冷淡」ではなく、大衆居酒屋に不慣れな、或いはミスマッチさが招いているようなのだ。
もしかして、このおばはん、以前は銀座のママだったのではないだろうか。
銀座でそれほど大きくもないスナックを持っていたのだが、不景気により店をたたまなければならず、こうして辛気臭い居酒屋に流れてきたのではないだろうか。
だから言外に「本当はこんなところにいる女ではないのよ」とニュアンスが混じるのではないか。
店内にいしだあゆみが歌う「昨日の女」が流れてきた。
おでんは、じっくりと煮込まれしっかりと味が沁みて、ものすごくいい味を出していた。おでんはすっかり中まで茶色に染まり、ホクホクのうまさだったし、昆布も蒟蒻もがんもどきも頗るうまかった。
おでんを出すお店は数々あれど、本当にうまいお店は意外と少ない。
その点、「岩波」は「当たり」だった。
焼酎を頼んだ。「蕪村」のボトル。お湯割りの梅干し入り。
相変わらず、店内は懐メロが流れてくる。松竹映画のような、こんな居酒屋では安い焼酎のお湯割がよく似合う。頭上を走る山手線の音が更に郷愁を掻き立てるのだ。
我々は、牛筋にかぶりついた。ほどよいだし汁が牛筋の肉汁と合わさって口の中に広がっていく。
「うん、これはうまい!」
わたしと今pが顔を合わせる。
影のある女店員は他のお客のオーダーを取っているところで、その後姿だけがここからは見える。
冬は暖かいおでんに温もりを求める。心も冷え切ってしまわぬよう。
きっと誰もがそう思っているのだろう。
あっこのおばちゃんにはそんな過去があったのか・・・。なーんかヌケてたけどね(笑)。
先生、後ろ姿がステキです。
寒い日はおでんですよね。
先日神田北口の福ますというおでん屋さんに行きました。大衆酒場系では無くこじんまりしっとり系なお店でした。なかなか美味しかったです。
岩波も気になります。メモメモ
しかし、怪鳥もすごい荒業したね。傘を持ち、おでんとワンカップで一杯やる。そんなギャラリーもあまりいないだろうね。
ワンカップってうまいよね。しかも、最近けっこう本格的なワンカップも出ていたりして侮れないよ。マジで。
そんでもって、今p。お腹の調子はどですか?そろそろいきますので体調を万全にしておいてください!
京都ネタもっと早く貰っていれば・・・。実は先週京都に遠征してきました。
Fさん。いつもありがとうございます。
福ますですね。メモメモ。
北口あたりはよく徘徊されるのですか?
あのあたりの雰囲気がとてもボクは好きですねぇ。
Fさんのプチphotoブログ拝見しました。いろんなところに行ってますね。見るとアキバにも来ているようで。実はどこかですれ違っていたりして。
そんなわけで怪鳥、今p、そしてFさん、年忘れホピ研大会を開催します。12月16日(金)決行というのはいかがでしょう。(日にち調整可)場所は追って連絡します。
記事読んでて、なんとなくじわーんときてしまいました。
なんとなく立ち寄ったお店で、
こんな雰囲気が味わえるなんて・・・
なんだか、東京のガード下ならでは、のような風景だなぁ、なんて。
その良さが分かるのもまたステキです。
ところでFさん、神田飲み会のメンバーさんとの合流もオッケーです。マジで楽しみです。
怪鳥、おでんをリベンジしたいの?