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BASEBALL馬鹿 BLOG

加油!中国の棒球よ。その2

2004-12-06 23:48:47 | Weblog
 8年ぶりに歩いた中国は激変していた、といってもよい。最も驚いたのは英語の看板だ。かつてほっつき歩いた中国の記憶ではほとんど英語の看板など見当たらなかった記憶がある。上海ではごく稀に見た。しかし、広州ではほとんど見かけなかった。福州、泉州、アモイ、陽朔、昆明、大理、麗江ではバックパッカー向けのメニューカード以外ほとんど英語などは見かけなかったほどである。だが、今回訪れた杭州では町の至るところにEnglishが掲げられていたのだ。
 急速に近代化する中国。だが、町をぶらぶらしてもどうも面白くないのである。どうにもわくわくしてこない。むしろ、大きなビル郡をすり抜け、すっかり日陰となった一角を歩き、少し小腹が空いたらぶらりと入れる水餃屋や面屋が軒を連ねた裏通りに紛れ込むとやはりホッとするのだ。
 牛肉面一杯が3元。日本円で僅か39円。3元もあれば空腹を満たし、おばちゃんと身ぶり手振りで話をし、幸せな気分になれる。一方、賑やかな町にある星巴克珈琲(スターバックス)で42元のキャラメルマキアートを頼んでも実に味気なく、つまらない気分にさせてくれる。
 03年11月、札幌ドーム。
 アテネ五輪に向けたアジア選手権でドリームチームと呼ばれた野球日本代表と相対した中国棒球隊を思い出した。ほとほとがっかりし、落胆した憶えがあるからだ。
 01年にプロ野球リーグを創設し、代表監督に元シアトルマリナーズ監督を経験したジム・ラフィーバー氏を招聘した中国代表チームが一体どんな野球をするのか、とても興味深かった。
 1回裏後攻めの中国先頭打者、孫嶺峰はカウント2-1からの4球目、中前打でいきなり出塁する。中国代表の1番打者はまずこの人以外にありえないだろう。俊足巧打、身体能力と野球センスは高い。ちなみに04年シーズンは中国リーグで首位打者と盗塁王、そしてMVPにも輝いた超級星だ。だが、後続が倒れ中国代表は実に淡白な攻撃で好機をあっさりと逃す。その後、7回裏、主砲の江暁宇が左翼中段に特大の本塁打を打つまで中国打線は借りてきた猫のようだった。試合の趨勢は早い回に決し、中国代表は2年前インターコンチネンタル杯で0-3と日本を苦しめたチームとは別人のように淡白に敗れた。
 中国野球連盟が何故ラフィーバー氏を監督に招いたのかは分からない。02年サッカーW杯で初出場を果たした足球代表のようにメジャーの監督経験者であり、日本のロッテオリオンズでプレーするなど国際経験豊富な人選をすれば、強化の近道になるとでも考えていたのだろうか。
 果たしてそれは安易でなかったか。ボラ・ミルチノビッチ監督辞任後、中国足球代表は強くなったと言えるのだろうか。確かに04年アジア杯では準優勝はした。だが、06年W杯に向けた予選では一次予選で敗退した。何故か。それは中国のアイデンティティが欠如していたからではなかったか。中国棒球隊も同じことが言える。チームが米国モデルのイミテーションのようであり、単なる寄せ集めに過ぎなかった。それは急速に近代化を図る中国の町並みとぴったり重なって見える。中国らしさ。それが果たして何かは分からない。だが、中国棒球の強化は自身のアイデンティティを見出すことではないか。
 それとも、誰もがいつか通るこの道はプレモダンのプレモダンたる宿命なのか。
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