三十路の食卓

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消えた包丁研ぎ

2012-12-13 11:06:36 | 食日記
〈11月15日の食事〉
朝:ピザトースト 挽き肉のカレー チャイ
昼:鶏のチリコンカン丼(近所の弁当屋で購入) トマトジュース
夜:ヴィドフランスのベーグルハムサンド ローソンのモッチチョコパン

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こんなことがあった。
あれは11月の、結構寒くなってからのことである。

雨の降る中を、最寄り駅から自宅へと急いでいた。
時刻は夜である。
そんな中、その貼り紙は現れたのである。
曰く、「包丁研ぎます」。
近所にあるらしき、研屋さんの広告なのであった。

もう一度書こう、雨の夜である。
そこへ突如として現れた、「包丁」の赤い文字(ダンボール紙に赤字で書かれ、それが針金で電柱にくくりつけられていた)。
その文字が雨で溶けて流れていなかったのがせめてもの救いだが、一瞬ゾクッと背筋が寒くなったのは言うまでもない。

一方で、包丁を研いでもらえる店が近くにあるのか、いいなあ、と思ったのも確か。
今家にある出刃包丁は、買ってからのおよそ3年、一度も研がずに使われ続けている。
先は丸みを帯びてきているし、そもそも切れにくくなっていることを、カボチャと格闘する度に痛感する。
砥石を買って自分でやるのは面倒だし、どこか遠くの研師さんに、包丁を持って電車に乗って会いに行くのも憚れる(荷物に包丁があるってだけで、挙動不審になりそうだ)。
歩いて行ける距離で、研いでもらえるなんて理想的ではないか。

次の日もその貼り紙があることを確認した。
昨日よりも読み進め、どうやら商店街の中のスーパーが目印で、その近くのようだぞ、というところまで把握する。
よし、じゃあ次の休みにでも行ってみるか。

そしてまた翌日。
その貼り紙は、あとかたもなく消えていたのであった。
研いでもらいに向かう際に、正確な場所が分からなかったらまた貼り紙を見ようと軽く考えていたから、当然のように書き控えてなどいない。
途方に暮れながら、目印であるスーパーの周りを少しうろついてみる。
殆どが民家やマンション・アパートで、テナントらしいテナントは、学習塾があるのみ。
落胆を覚えながら、帰路に着いたのであった。

特に看板などは出さないお店なんだろうか。
そして貼り紙の方は、無許可で掲示して怒られて、すぐに引っ込めたのだろうか。
店の名前すら把握していないから(或いは、店の名を提示していなかったような気もする)調べようもなく、途方に暮れている。

冬の幻のような体験であった。

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