三十路の食卓

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「食べもの屋の昭和」を読んだ

2011-10-15 11:38:34 | 食とレビュー
〈10月7日の食事〉
朝:カボチャのマッシュサンド(ブラウニーのプレーンベーグル使用) パン・オ・ヴァン(シニファンシニフィエで購入) コーヒー
昼:お弁当(玄米ご飯、ネギ入り卵焼き、ウィンナー、パプリカとエリンギのチーズ焼き、ほうれん草のごま和え)
夜:玄米クリームブラン・塩バニラ 野菜ジュース

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「食べもの屋の昭和」という本を読んだ。
岩崎信也さん著。
老舗と呼ばれるような色んな食ジャンルの名店にスポットを当て、当代の店主にお店の歴史やこだわりを尋ねたルポ本だ。

絶好の食材を得るための奔走や、こだわりの作り方。
たとえば焼き鳥屋の店主が話す「刺し置きしておくと鶏のあぶらが浮いて美味しくなくなるから、お客が来店してから切って刺して焼く」といった知識に、そうなのか!と感心しきりだったのだが。
一番骨身に染みて思ったのが、「人のからだに伝統の味だけじゃなく、かつての記憶というのが宿っているのだなあ、それが歴史ということなんだなあ」ということだ。

この本の取材は約20年前。
話を訊いたのは当時六十代・七十代だった店主が多いから、とすればご存命ならば、現在八十代・九十代。
身近にいる一番の年輩者である祖父母と同年代かそれ以上の方の話す、店を継いだり始業したりした当時の話といったら。

戦前の握り寿司は、今の倍~三倍くらいの大きさがあったらしいですよ。
で、戦後の委託加工の時代に「一合の米で10個握って加工費が40円」という決まりが出来て、それが尾をひいて寿司が小ぶりになったのだとか。
(と考えると寿司を10個食べたらご飯を一合も食べたってことになるので、そりゃあ寿司ってヘルシーだけど痩せないメニューだよなあ)
あるいは、昭和のはじめ頃のニューグランドホテルのボーイの服は、ハッピに股引・地下足袋という出で立ちだったんだそうな。
こんな思い出話がバンバン出てくるのだ。
興味深いことこの上ない。

歴史を変えたような出来事じゃないから大々的に語られはしないけど、実はとても面白い過去の話など、いくらでもあると思うのだ。
彼らはまさに歴史の生き証人で、お年寄りのことを「生き字引」というのは、なかなか上手い表現ではなかろうか。
ふと、この夏に自分の街の商店街で扇風機を買ったとき、「昔は東京も『府』だったのよ」などとお店のおばあさんに教えてもらったのを思い出した。

さて、こう綴ってきたものの、紹介されたお店たちには一度も行ったことがないではないか、と気付いたのだ。
伝承され今も息づく味に、そのうち会いに行きたいなと思う。

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