江戸情緒を残すY地区、塀に囲まれた長屋式のアパートの2階に、友人が来客用に借りている部屋があります。一日中歩き回って、この部屋にたどり着きお茶を頂く時、心も体もほぉーっと弛むのがわかります。
夜もふけて、楽しき晩餐も済んで皆が帰ってしまうと、私は一夜のねぐらを作り始めます。落ち着くわよ、と勧められてから、そこでは季節を問わず蚊帳を吊るのが習慣になりました。蚊帳の中でぐっすり眠って目覚めた瞬間、ここはどこ?と、混乱を覚えることがありますが、そこで混乱しているのは現在の大人の私ではなく、子供用の蚊帳の中、午睡から目覚めたばかりの幼き日の私のようです。
塀と建物の間には土の空間があり、年輪を重ねた木もチラホラとある。そんな自然の気配が、木枠のガラス戸越しに入ってくる畳の間。
この部屋はどうしてこんなに落ち着くのだろう?
木と畳と自然の光と風。人の奏でる生活音を微かに聞いて、蚊帳の中に眠る。記憶を辿れば、これら全てが、私が幼い日に感じていた<やすらぎの原型>と重なることが解ります。
夜もふけて、楽しき晩餐も済んで皆が帰ってしまうと、私は一夜のねぐらを作り始めます。落ち着くわよ、と勧められてから、そこでは季節を問わず蚊帳を吊るのが習慣になりました。蚊帳の中でぐっすり眠って目覚めた瞬間、ここはどこ?と、混乱を覚えることがありますが、そこで混乱しているのは現在の大人の私ではなく、子供用の蚊帳の中、午睡から目覚めたばかりの幼き日の私のようです。
塀と建物の間には土の空間があり、年輪を重ねた木もチラホラとある。そんな自然の気配が、木枠のガラス戸越しに入ってくる畳の間。
この部屋はどうしてこんなに落ち着くのだろう?
木と畳と自然の光と風。人の奏でる生活音を微かに聞いて、蚊帳の中に眠る。記憶を辿れば、これら全てが、私が幼い日に感じていた<やすらぎの原型>と重なることが解ります。