選 挙
少し前のことになるが、この1月下旬、市議会議員選挙があった。定員43人のところに51人が立候補、いつものことながら選挙が近くなるとはがき、封書が届き、電話がかかってくる。電話にはいつも「ごくろうさまです」、「がんばってください」と応対し、演説会に動員を頼まれれば「はい」「はい」とその都度出かけている。
投票日が近くなると51人の中から一人を決めなければならない。51者択一である。これが難しい。51人もいれば昔から地元で世話になっている人、若いけれどすばらしい考えの人、年輩で経験豊かな尊敬できる人、昔の関係団体が推している人などいろいろな方がいる。この中から、白か黒、1か0かを決めなければならない。1を決めると、他の50人がすべて0になる。ところが、私の意の中では他のすべてを0にすることはできないのである。51人もいれば他にも1の人はいるし、限りなく1に近い人もいる。
毎回投票日が近くなるとこの一人を決めるために葛藤が始まる。適当な返事をしたことを悔い、後ろめたさ心苦しさを感じ、選挙はいやだという気にさえなる。
そこで提案である。
定員が43人、立候補者が50人を超えるというような今回の選挙のような場合、投票者1人に3票を割り当ててはどうだろうか。3票を別々の人に投票してもよいし、同じ人に3票投票してもよい。0か1かというデジタル的な今の投票制度に少しアナログ的な趣向を入れてみるのである。
投票用紙の数が3倍になり、投開票の手間が増えるが、AIを搭載した自動開票機を使えば、それほどの手間の増加にはつながらないのではないか。
選挙の都度感じる心の葛藤がなくなり、投票率の向上にもつながるのではないだろうか。また立候補者の選挙運動にも余裕が生まれるような気がする。
この方法、より的確な民意の反映がなされた選挙結果が得られると考えられるが、政治、統計学に造詣の深い諸氏のご意見を伺いたいものである。
