病室でのんびりと、と思っていると
―頸動脈狭窄症―
「あそこまで歩いていたんですよ」、廊下で看護部長の声。主治医の先生と話しています。どうやら私のことのようです。
2月22日、ICUから病室に戻り、リハビリの先生から身体の運動機能の確認をうけ昼食。その後ひと眠り。考えてみれば昼間うとうとすることはあっても、ベッドの上でゆっくり寝たようなことはかってなかったことです。3時過ぎ、目が覚めて給湯室でお湯をもらってコーヒーを飲んでいました。久しぶりに飲むコーヒーのおいしいこと。心配していた傷口の痛みもなく、テレビを見ながら、世の中から隔離された入院生活も悪くないと思っていた時のことです。
ドアをノックして看護部長と主治医が入ってこられました。主治医から「ゆっくりと過ごしてください。ベッドから離れて転倒すると傷口が開く可能性があります。動脈を触っているので血が噴き出すこともあります」、看護部長からは「ベッドを離れるときは必ずナースコールを押して看護師に付き添ってもらってください」と言われました。
給湯室まで歩いて行ったことが悪かったようです。術後歩いてはならないとは聞いてはいませんでしたし、普通に歩くこともできたので意外な思いでした。
どうも手術の前に聞いていた「手術の翌日には起きることができる」というのは「ベッドの上で体を起こすことができる」ということだったようです。
とりあえず25日までは厳守、25日に様子を見て規制解除を検討するということになりました。
それからが大変なことになりました。朝の洗面はもちろん、ベッドから数メートル離れたトイレに行くときにもナースコールを押さなければなりません。
給湯室に行ったとき開いている病室のドアから垣間見た寝たきりのお年寄りを思い出しました。
入院生活はこのようなものか、普通の生活のありがたさをつくづく感じさせられました
ベッドに腰かけて、傍の机に向かうことまでは自由にしてよいといわれたことがせめての幸いでした。

夕食