小寄道

日々生あるもの、魂が孕むものにまなざしをそそぐ。凡愚なれど、ここに一服の憩をとどけんかなと想う。

風花や上下分かつな夢かざせ

2022年01月01日 | 日記

明けましておめでとうございます。

本年は寅年である。小生は年男である。六回も年男を重ねたところで、正直なんの感慨もない。それだけ歳を重ねてしかるべき感慨もないのか、と揶揄される向きもあろう。社会や人のために何事も成し遂げたことがないと自認するので、こればかりはしょうがない。

まあ、精々お上のやらかす理不尽なことにいちゃもんを付けるぐらいで、寄る年波をのらりくらりと越えていくしかない。花鳥風月、自然のちょっとした恩恵に肖って、ボケた写真を撮ったり、下手な俳句を詠んだりするのが関の山だ。

家庭内別居は相変わらず続けていて、自分としては忸怩たるものがあるが、基本的に家事の一切を独力でこなしている。こなしているレベルとはいえないと、しょっちゅう突っ込まれるが仕方ない。高年齢としては、平均的な家事が出来ているのではないかと思う。これからの残り少ない人生を、自分の眼にはいる事象、人とのつきあい方において、できるだけ「丁寧」に処していこうと思っている(南アフリカに暮らす日本人青年にインスパイアーされた)。

この「丁寧」を英語に訳すと、どんな単語になるか調べてみた。例えば形容詞でいえば、polite、courteous、conscirntious、close、diplomaticなどが候補に挙げられる。意外と多いというか重層的な意味をもっている。

「polite」は、丁寧、丁重、恭しく、礼儀正しいなど多義的である。さらに、この言葉を語源にした「politic」は、文字通り「政治的」を指す言葉になる(語源は逆か?)。ところが、その他にも「丁寧」というニュアンスも含まれるという。辞書上の解説にすぎないが、政治という概念に「丁寧」という行動とか生活様式の概念を重ね合わせると、政治は新たな意味をもちはじめるのではないか・・。

能書きはやめよう。俳句の同人誌によせた新年句は以下の二句。

香は仄か誰を待つのか松飾り
年玉で足袋を買う孫笑ふ祖母

年賀状については、妻が手書きを添えて作ることにこだわっている。小生は自分用として、新年にこだわらずに詠んだ句を賀状のキャッチコピーとした。

風花や上下分かつな夢かざせ

「風花」は冬の季語で、厳しい冬の青空から舞い降りる雪片のこと。コロナ禍が収束しないなか、経済はもとより社会や人々の分断が進んでいるように思える。目に見えにくい分、貧富の差だけではなく、生き方も含め人間をもっと社会的ヒエラルキーに分断している。これは相当に深刻な事態ではないか。

そんな中、空から舞い落ちる雪片に、一縷の望み、救いがあるように「夢」を託したつもり。成功している気はしないが、少しでも前向きな気持ちが表せたら良いと考えた。実際は、もっと感覚的に詠んでいるが、自分の句を後になって心理的に分解し、解説するとこういう書き方になった。

ヴィジュアル・イメージは残念ながら出来合いのものを使った。

 


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