小寄道

日々生あるもの、魂が孕むものにまなざしをそそぐ。凡愚なれど、ここに一服の憩をとどけんかなと想う。

渋谷ヒカリエの(超)福祉展へ

2018年11月12日 | 日記

 

日曜日、渋谷ヒカリエに行ってきた。昔、東急文化会館があったところである。ここは馴染みぶかいビルで、子ども時代にはプラネタリウム、大人になってからはパンテオンや東急名画座、1階にはフルーツパーラーがあって女性との打ち合わせ・デートには最適であった。

『燃えよドラゴン』『エクソシスト』『2001年宇宙の旅』などの評判の高い映画などの封切りでは、ほとんどをパンテオンで観た記憶がある。アルバイト先が渋谷の広尾にあったからで、その仲間と呑みに行くのは渋谷が多かった。

前回の記事に書いたが、渋谷の名画座にいくなら全線座はメインだったが、ここ東急名画座にもお世話になっていた。ヴェンダースの初めての映画を観たのはここで、確か『事の次第』でありドイツ映画祭だったはずだ。

こんなことを書いていると本題にたどりつけない。

渋谷ヒカリエで行なわれている「2020年、渋谷。超福祉の日常を体験しよう展」に、妻のお供で行ってきた。新聞の記事を読んでどうしても行きたくなったらしい。天候もいいし、ちょっとした「お出かけ気分」に乗じて、渋谷の今を体感するのも一興だとおもった。

▲ブースのなかにあったポスター

福祉に関する最新のテクノロジーや機器、アプリなど種々のソフトウェアが紹介され、それらを体験したり、様々なテーマによるシンポジウムやセッションが展開される。「超福祉」とは少々大袈裟ではないかと思いつつ、主催者側のスタッフが若い人たち中心で、その熱意やプロ意識も感じられ、いろいろ体験できて行ってよかった。

▲スズキが開発したkupo。車椅子にも運搬車にもなるという。インド人も関わったらしい。

▲洗練されたデザインと先進テクノロジーの融合。カッコよく街を走りたい障がい者向けとのこと。

▲上記の車椅子は溶接がなく、かつオーダーメイド可能な折りたたみ型。


▲女優・東ちづるさんの進行によるイベント。『MAZEKOZE PERFORMANCE ~プチ月夜のからくりハウス~』

自閉症のラッパーや車いすダンサー、LGBTのバレイダンサーなど様々なパフォーマンスを拝見した。テレビの『バリバラ』(NHK/Eテレビの福祉バラエティ番組)でよく登場する手話通訳の方(森本行雄さん)の手話はよどみなく流石であった。会場には、そのほかのお馴染みの出演者たちの顔が見られ、観客として大いに楽しまれていた。

とはいえ、世の中では、障がい者やLGBT、さらに生活保護者など社会的な弱者や少数者へのバッシング、不寛容な意見・ムードがネット上に目立つ。どうやら行き着くところ「税金の無駄づかい」という浅ましい損得勘定からの、感情的かつ無理解の意見・考え方に支配されているような気がする。

いわゆる「ネトウヨ」という人たちの過激な発言に、メディアふくめて影響をうけやすい風潮があるからだが、そんな私たちもネットのSNSを嚆矢に、自分に都合のいい意見、耳触りの良い情報しかアクセスしない傾向がある。自戒しなくてはならない。

最近では、本も新聞を読まない、情報・知識はもちろん友人との繋がりもすべてスマホに依存する人たちが多いらしい。そんな慣習が常態化すれば、思想・立場を異にする人たちの言動をシャットアウトしがちになる。これでは、テリトリーを横断するような、柔軟で幅広く掘り下げるような思考はできない。(あっ、愚痴っぽくなってきた)

▲ヒカリエの11階、展望ロビーから駅、ハチ公前交叉点をのぞむ。「全線座」があったところは「ビックカメラ」になったが、今は移転し雑居ビルに・・。

商業施設とオフィスビルが合体して超高層ビルになったヒカリエのようなランドマーク・タワーがあちこちにできた渋谷。駅もいま、建設中の真っただ中だ。渋谷という街の様変わりは激しいし、そこに行きかう人々も、小生の想像を超える。

ヒカリエのなかの、京都の洋食屋の出店レストランで昼食をとったが、全員が若い女性たち。男で爺のひとりがそのなかに混じるのは、居心地悪いったらありゃしない。食事し終わって化粧直しをしている女性たちを見て、ただただ慨嘆するしかなかった。

オスカー、ライブイン、エッグマン、屋根裏、芽瑠璃堂、いまは消えて久しい名前が思い浮かぶ渋谷。道玄坂百軒店はまだあるだろうが、ずい分と様子も変わったであろう。今の人たちはハロウィンで燥(はしゃ)いだことを、いつか懐かしむのであろうか・・。そのときは小生は娑婆から消えている、諸行無常ということだ。

 

 


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