小寄道

日々生あるもの、魂が孕むものにまなざしをそそぐ。凡愚なれど、ここに一服の憩をとどけんかなと想う。

神田古本まつり

2016年11月02日 | 日記

 

行く予定はなかったのに、久々に晴れわたる空が気持ちよく、浮き浮きとして神保町へ。買わないぞ、覗くだけだぞ、と言いきかせ念じつつ向かった。通り沿いのワゴンだけを、背表紙だけをさらっと目で追った。なんとも知らない本が多いのだが手は伸びない。そそる本が少ない。いや、直に触れて読みたくなったら、を想像すると自重するしかない懐具合もある。

ゴッホの手紙は6分冊もあるのか・・。ジッドとヴァレリーの二冊の書簡集は意外と大部なつくりで驚いた。ちょっとだけよと言いきかせつつ、アート系のK宮書店に入った。割引率が少ないと憤慨するも、垂涎のスペイン本国版・アントニオ・ロペスが2万5千円では手も足も出ない。小遣いの限度を超える。

でも、見たことのない作品、デッサンなどの習作、彫塑など掲載の作品点数は驚くほど豊富、しかもデザイン・印刷も秀逸だ。ググッと胸に迫る思いが私の血を一瞬沸かせたが、かみさんの顔がちらと浮かんできたらもうお終い。辛抱とへたれが共存するがゆえに、我ありなんです。

帰り際に、店の奥の、値の張るリトグラフとかポスターの陳列コーナーを眺めたら、北川何某の大振りで例の作品が立てかけてある。作者名も値段もまだ貼っていない。レジにいる美術系の可愛い女の子に作者を確認したらそうだという。値段はまだつけられないとのこと。周辺の商品は大体が2,30万円するから、たぶんそれぐらいだろう。彼の作品も古本屋で流通するようになったのか、そういう時代になったのかと感慨を深める。

 

           

▲店番の店員にも美しい外国人女性がいたり、香港・台湾の中国人、日本画のガイドブックを持つ欧米人が目立つ。日本中がグローバリズムですね。でも、なんか全体的にさみしい感は否めない。平日で来客が少ないせいもあろうが、やはりネット通販に押されているんだろうか。

何だ神田いっても、ボワソナードの「経済学者ラ・フォンテーヌ」とモーリス・パレスの「グレコ トレドの秘密」と文庫本の3冊をお買い上げ。何事もなければ月末に本物のグレコを目の当りにできるし、プルーストを訳した吉川一義の名前にも惹かれてパレスの本を買ってしまった。あと一週間もないのか、さてロペスはどうかな・・。

 

 


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