小寄道

日々生あるもの、魂が孕むものにまなざしをそそぐ。凡愚なれど、ここに一服の憩をとどけんかなと想う。

小さな正義・仮想≪妄想編

2018年02月02日 | エッセイ・コラム

 

 

今年の1月はじめに200万円を超えていた1BitCoin(ビットコイン)が、現在は約半分の110万円ぐらいになっている(1年ほど前は10万円ぐらいだったか)。

2,3日前には同じ仮想通貨であるNEM(ネム※追記2)が、日本の取引所コインチェックから580億円もハッキングされる事件が起きて、世間をいまだに騒がせている。

仮想通貨とは、そもそもどうして生まれたのか? 誰が利用し、何のために作ろうとしたのか? 

世界初の仮想通貨は、もちろんBitCoin(ビットコイン)で、いちおうサトシ・ナカヤマという日本人が作ったことになっている。

ビットコインの考え方と仕組みは、論文としてメーリング・リストに発表されたらしいのだが、私は見たことも読んだこともない。そのとき2008年11月で、言わずと知れたリーマンショック直後のこと。金融バブルが破裂し、通貨をはじめ多くの金融派生商品の価値が暴落した、世界史としても忘れられない年である。

投資家や金持ちの資産が一気に目減りしたのは「様を見ろ」だが、企業やわれわれ一般人が所有する資産価値も下がって、全世界の人々が狼狽えたし、実被害は広範におよんだ。なかでも、外国に出稼ぎに行った、後進国の貧しき人々の落胆は目に余るものがあったという。

たとえば、可愛い子供を親に託し、中東やヨーロッパの金持ちの家に、フィリピン、タイ、インドネシアの女性たちは出稼ぎに行く。メイド(家政婦)などの職業は、住宅費・食費がかからないケースが多く、月給にして10万円前後の報酬を得る。その半分の仕送りでも、本国の家族4,5人の生活はマシなものとなる。彼女らはその為に、(毎月か、毎週か?)自国の家族のもとへせっせと送金するのだ。

ところが送金するには、しかるべき場所に行き、そこで手数料を払わなければならない。(手軽に済ませるために、法外な場所で手続きする人もいる)

仮にその国の現金をいったんドルに換えて送金する。本国で受け取った家族は、そのドルを自国通貨に換金する。そのときにも手数料や為替取引に関する税金が掛けられたりする。家族のために血と汗を流して働いたわずかな金額。それを送金・換金するために、理不尽とも思える手数料や税金がかかる。為替相場が不安定ならば、そのしわ寄せをもろに被る。


サトシ・ナカヤマがほんとうに日本人であるか分からない。しかし、ネット上で送金・交換した場合にはなんら手数料はかからず、自国で流通する貨幣、つまり現金として換金できる「仮想通貨」というものを構想した。

仮想ではあるが、この通貨というものの基本、使い勝手や交換機能性をしっかり考えている。国を越えて、無駄な金・労力をカットして、流通する通貨。これは、貨幣そのものの見事なデザイン設計があり、「通貨」の機能を最大限に見据えたものだ。

ネット空間と現実空間を自由に行き交う、まったく新しい「通貨」だ。(詳しい仕組みは、ここではふれない。きちんと説明できないことも理由のひとつ)

通貨というものは、その国の政府および中央銀行が発行し、いわばそのシステムの運営・管理は中央集権的に行なわれている。もちろん、グローバリズムが浸透しドルをはじめとする国際通貨は自由市場に委ねられているので、大手の金融機関や投資家、レバレッジを使いこなす投機筋、金融マフィアの思惑で乱高下するときもあるから厄介だ。


そんなハイエナのような金満家に、なけなしの送金が泡に帰すようなことはさせたくない。国際通貨はこのままだと、ハゲタカのような金融ファンドに蹂躙されるだけじゃないか。

もし、そこに「小さな正義」が発動したとしたら・・。ネット空間に「仮想通貨」というものをつくったら・・。

世界のみんなが同好の士として「仮想通貨」を認め合い、自由に交換・使用できるとすれば、「ぼったくり」のような手数料の支払いに苦しめられることもない。自分が送金したい金額を、ほぼそのまま簡単に決済できる。こんなに便利で素敵なものはない・・。(この辺は、仮想より妄想に近いかな)


ビットコインが最初に使われたのは、発表2年後の2010年5月22日、アメリカフロリダ州のプログラマーが、ピザ2枚を1万ビットコインと交換したのが、BitCoinでの最初の商取引だった。1万ビットコインは現在約110億円。ピザ1枚を1000円として計算すると、550万倍もの価値に上がったことになる。

ビットコインが通貨としての使用価値、及び交換価値いや資産として十分に信用があると評価されてから、前述した金融筋のプロや個人の資産家が投機目的で売買するようになったからだ。

最初はゲーマー同士でやりとりしていた仮想通貨ビットコインは、たぶん自分たちの勝負けの報酬として使われたはずだ。当初は1ビットコインが日本円で、0.07円ぐらいの価値しかなかった。(この微小な価値が第三者に目ざとく認められる。ここに至るまでが、ネットの醍醐味ともいえるのかで・・)


現在、仮想通貨は何百種類もある。NEM(ネム)を流出させた取引所コインチェックでは何種類を扱っているのか知らないが、ネット上では世界の100種類ぐらいの仮想通貨の取引を、常時確認できる。

東証一部上場のGMOなるインターネットの関連会社は、政府公認の取引所ではないにも関わらず、FXや仮想通貨の売買ができる。瞬間的な取引量をネットで見ると、その売買にいそしむのは為替トレーダーと同じ水準であり、ハイスペックなPCを駆使しているようだ。

こりゃ素人が手を出したら、いつか痛い目に合うだろう。その取引量に目が眩んで、メガバンクが参入するのも馬鹿げている(目先のことを読んでいる証左のあらわれだし、それを裏で指示している政府系の方もいつかはマボロシー!)


ここまで来ると、もはやサトシ・ナカヤマの構想は逸脱し、理想の「仮想通貨」は絵に描いた餅になってしまったのか。

(実在する「サトシ・ナカヤマ」なる人物は、あの「核」を産みだしたアインシュタインのように深い自省の淵に沈んでいるかもしれない)

(但し、発行量の上限設定とブロックチェーンの仕組み、残量約20%の発掘(マイニング)にかかる報酬規定があるなど、他の仮想通貨が参考にすべきで優れたプリミティブ・デザインだった、と私はおもう)


想像するに、仮想通貨のモデルはいわゆる「地域通貨」であり、使用する人や空間を限定して使われる貨幣であり、成長の緩やかな「閉じられた世界」をイメージしたものではないだろうか。柄谷行人やミヒャイル・エンデの思想にもふれてみたかったが、話が大きく、複雑になるので止そう。


追記:1日経って2月2日。ビットコインは前日の1,100,000円程から、15%下げの1BitCoin910,000円になった。他の仮想通貨も20~30%もの大幅な値下がりをしている。もちろんFBのザッカ―バーグが、仮想通貨関連広告の全面禁止を発表したからであろう。なにか別の理由があるかもしれない。それにしても、この手の広告出稿量は凄い。私のこの記事で、GMOについてちょっと触れたら、そのバナー広告が頻繁に現れるようになった。そんなに儲かるものなのか、仮想通貨取引所は?   (2018.2.02記)



※追記2:NEMはここでは、通貨の単位として記載しているが間違っている。大きな間違いであるから、そのまま残すことにした。正確な名称は「XEM」であり、発音は「ゼム」なのか「ネム」なのか・・。 NEMとは、その「XEM」を発行している財団で本部は中国の深センにある。この組織の創立及び運営に、ある日本人が関与している。仮想通貨がメジャー(実金融派生商品)になるための、イニシャルな技術を持つ逸材である。

個人として合法的に蓄積した富でも、それが理知を超える過剰なものであれば、この世界に偏在する不当かつ超越的な富として考える人がいた。彼はどんなことをするか。「神の見えざる手」が働いたように見せかけて、再配分するのが穏当なやり方ではないか。というように、彼がほんとの善人であるなら、私はそのような能力を発揮できる人として仮想した。もちろん、そんな人物は不遜な輩であり、善なるものが49%あっても。51%は欲望に溺れた人だといえる。このとき「法」は、どこを向いているのか。

いまのところ、次々と面白い事実、つまり電脳空間からマイニングができて、この67歳の糞爺の頭脳をワラワラさせている。次の記事に仕立てられるか不安だし、その技量があるかおぼつかない。ともかく興趣冷めやらぬうちに書き留めることにした。(2018・02・04・3:00記)


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